今日時点で今年観た映画は103本。それでも映画館でそれほど外さなかったので、そんなに"別にわざわざ観なくていい映画"のストックが出来た訳ではないけど、振り返ってみるとやっぱりちゃんとどーでもいい映画も観ていたので、ベストをやる前にワーストを2本お見舞いします。あと、今回もネタバレするし、それなりに悪意も込めて書くのでご注意!



1. "マイ・インターン" ナンシー・マイヤーズ監督

アン・ハサウェイが"プラダを着た悪魔"以来のアパレルもの演じると話題になった今作。当初の触れ込みは、"プラダを着た悪魔"でメリル・ストリープにこき使われたアン・ハサウェイが、今度は立場を逆転させ嫌みな鬼社長としてシニア・インターンとして雇われたロバート・デ・ニーロを足蹴に!的な感じだったと思う。

で、実際はどうだったのか。なんてことない、アン・ハサウェイは"嫌みな鬼社長"どころか、十分周りからは慕われている。そんなに嫌みな社長なら部下の誕生日をさも楽しげに一緒に祝うとも思えないし、そもそも祝いの場にも呼ばれるはずが無い。

そして、映画の軸となるロバート・デ・ニーロとの関係性だが、序盤こそは「別にシニア・インターンのアシスタントなんていらない!」といって大して相手にしないものの、別に罵るわけでもなく、嫌がらせをするわけでもなく、それなりにちょっと距離を置いているだけで、"何もコトが起きない"のだ。
とは言え、部下に「あいつを担当から外して!」と直訴するもののあっさりとそれも撤回する。撤回するまでの映画の体感時間としては、5分-10分程度。

先に"何もコトが起きない"と書いたが、この映画は総じて『何も起きない』。ホントに。この手の劇映画は、困難な事件が起きてそれを解決してハッピーエンド、もしくは解決しないでバッドエンドと往々にしてなるけど、この映画の最大の事件(山場)は、"アン・ハサウェイの旦那が不倫する"っていう本筋とは何の関係もないクソしょうもない事柄。

とにかく別にアン・ハサウェイは"嫌みな鬼社長"なのではなく、単に"仕事熱心で家庭も大事にするカワイイ女子"に過ぎない。それの何が面白いんだか。この映画の唯一の見所は"アン・ハサウェイがカワイイ"ということのみ。なので、別にわざわざ観なくていい"つまんなめの映画"。




2. "ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール" スチュアート・マードック監督

この映画が話題になったのは"ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックが監督を!"だったから。ベル・アンド・セバスチャンと言えば90年代後半に人気のあったイギリスのギターポップバンド。日本でも人気があったし、何より当時のいわゆる"渋谷系"との親和性が非常に高かったと記憶している。そのスチュアート・マードックが映画を撮るとなると、自ずとどんな映画を撮るのか?!とそれなりに期待値は高くなってくる。

が、映画としては「メンヘラが施設を抜け出して昔の下北にいそうな(今もいるか)メガネのバンドマンとバンドやる」っていうだけ。そこから別に何も飛躍はしない。まずそこで一つ萎える。ミュージカルなのに大してドラマチックな展開でもないし、本当にそこらの"ゴダールとかに憧れてます"みたいないちいち鼻につく大学生が撮ったみたいなペラペラな映画がこれ。

さらに萎えるのは、"90年代懐古主義的過ぎる"こと。確かに世間的に90年代っていうのは、ある種のキーワードみたいにはなってるかもしれないけど、それをそのままやってどうする、と。あのパステルカラーの世界は、90年代に止めておくべきで今それをそのまま再現したところで何も生まれない。それを踏まえて、じゃあ今どう見せられるかを映画監督として考えるべきだったんじゃないのか。

"ミュージシャン=映画監督"としては、ロブゾンビが"マーダーライドショー"で成功(?)してはいるけど、やっぱり畑の違うところで成功するのは、余程のマルチな才能と勤勉さがないと難しいということ(石井竜也ももちろん失敗枠!)。別に次回作は撮らなくていいし(撮るなら自身のPVとかにすればいいんじゃないかな?)、ベル・アンド・セバスチャンを頑張ってほしいと切に願った。

ちなみにこの映画を観た時、シネマカリテがガラガラだったのは納得だと上映後に実感した。




来年は、これを書かなくていいくらい良作に当たりますように!