60代70代以上が圧倒的に多い地方議会の実態

統一地方選の前半戦で、女性議員の少なさを指摘したが、若手議員に関しては、女性議員の問題にさらに輪をかけて深刻な状況と言える。
統一地方選もいよいよ後半戦がはじまり、今回は地方議員の年齢別割合、とくに若手政治家をクローズアップしていきたい。
4年に1度の統一地方選、4年前の2011年の選挙結果をもとに、地方政治家の世代別割合から見ていくことにしよう。
前回の統一地方選挙で最も多く当選したのは60〜64歳で、全体の1/4に当たる25.0%を占めている。次いで56〜59歳の18.6%、65〜69歳の13.7%、50〜54歳の13.0%と続き、50歳以上が全体の77.4%もを占める。60歳以上でも半数近い45.8%だ。
逆に30〜34歳は2.7%、35〜39歳は4.4%と、30代はたった7.1%しかない。20代にいたっては、わずか1.0%だ。
首長と議員とでも異なる結果が出ている。首長になると20代は1人もいなくなり、30〜34歳が0.8%、35〜39歳も1.7%と極めて少ない。最も多い60〜64歳が31.0%を占め、70歳以上が13.4%もいる。
こうしたデータからも、首長になると、議員以上に高齢の政治家が選ばれる傾向にあることが分かる。
30代以下と60代以上の割合をそれぞれのカテゴリー別に見てみると、県議(30代以下10.4%、60代以上37.1%)、知事(8.3%、50.0%)、政令指定都市議(16.2%、29.8%)、政令指定都市長(0.0%、40.0%)、一般市議(8.7%、42.6%)、一般市長(5.7%、52.3%)、特別区議(19.1%、22.5%)、特別区長(0.0%、76.9%)、町村議(2.4%、62.6%)、町村長(0.0%、67.8%)となる。
なかでも顕著なのが特別区で、区議は30代以上が他のどのカテゴリーよりも多い19.1%を占める一方で、区長になると逆に60代以上が最も多い76.9%もを占めている。

図表1:世代別当選人(2011年統一地方選挙)
150423コラム 図表1


30代以下若手議員の割合は増え続けている

図表1を見ても、30代以下の若手政治家がいかに少ないかが分かるだろう。しかし、それでもかつてと比べれば、政治家への参入障壁も少しずつ緩和され、若手議員は増えている。
2011年統一地方選挙で当選した30代以下の政治家は、じつは1,279人もいる。絶対数で見ると、むしろ「そんなにいるのか!」という印象だろうか。
数の上で人数が横ばいに見える背景には、市町村合併や議員定数の削減などにより、議員数自体が減ってきたことなども影響している。

図表2:30代以下当選人数(2011年統一地方選挙)
150423コラム 図表2

実際に当選した議員の中における30代以下の政治家の占める割合を見ると、町村議員以外のすべてのカテゴリーで常に増加し続けていることが見えてくる。
こうした若手政治家の当選については、今回の統一地方選挙においても同数以上の若手政治家が誕生することが予想される。
ただ一方で、女性議員についてのコラムで書いたように、これまで少なかった女性・若手というだけで、既存の政治を変えてくれるだろうと期待して選んでしまうのは、いささか短絡的だとも思う。
地域地域によって課題も異なり、また、若手の中には、いわゆる「ホンモノの政治家」と、若いだけでむしろ怪しい「ニセモノの政治家」が紛れている。
投票に際しては、こうした部分についても吟味しながら選択してもらいたい。

図表3:当選者に占める30代以下の割合(2011年統一地方選挙)
150423コラム 図表3


地方創生人材としての「優秀な」若手議員の必要性

話は少し変わるが、現在行われている国会では、選挙権を18歳に引き下げる公職選挙法の改正が与野党から提案されており、2016年の参議院選挙からは、18歳から投票できるようになることが、現実的になってきている。
筆者は2000年にNPO法人Rightsを立ち上げ、選挙権年齢の引き下げ問題について取り組み続けており、現在も代表理事を務めている。選挙権の問題と同時に、昨年、ジャーナリストの田原総一朗氏や磯山友幸氏と共に、「国家戦略特区」における被選挙権年齢の引き下げを提案した。現行の公職選挙法のもとでは、地方議会での被選挙権年齢が一律に「満25歳以上」と定められているが、これを改め、市町村が条例により独自に、被選挙権年齢を引き下げられるようにする(条例により、例えば「満20歳以上」とするなど)案だ。

参照)「18歳から選挙権ほか、『万年野党』が提案した国家戦略特区」(http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/51904406.html

こうした提案をするに当たって期待したのは、「若者が立候補することによって、より多くの若者が投票所に足を運ぶこと」、「立候補した若者が当選して、議会に新しい風を吹き込み、これまでの地方政治を活性化すること」、「さらに、地方政治の若返りと活性化を通じて、地域全体の活性化をもたらすこと」などであり、地方創生が叫ばれるなか、どうやって若く優秀な人材を地域に集めるかということを考えての提案でもあった。
地域経済の活性化や、人口構造の問題など、地域課題の複雑化、深刻化は大きな課題であり、こうした状況をどう大きく転換していくことができるかは、多くの自治体にとって大きな課題になっている。
一方で、大きな構造的改革を進めていくための人材は少なく、地方議員や首長としてどうやって優秀な人材を集めるかは、大きな可能性とも言える。
今回の選挙を、こうした視点からも考えてみてはどうかと思う。


若手議員割合の都道府県ランキング。トップは東京都

若い=優秀というわけではもちろんないが、最後に各地域ごとの若手議員の割合を紹介したい。
2011年の統一地方選挙で、30代以下の若手地方議員が最も多く生まれたのは、東京都で15.37%、次いで2位は兵庫県の14.13%、以下、3位が大阪府の13.20%、4位が滋賀県の9.32%、5位が神奈川県の9.12%、6位が千葉県の8.85%、7位が埼玉県の8.63%、8位が山口県の8.00%、9位が和歌山県の7.46%、10位が長崎県の7.43%と並ぶ。
データが存在する中でのワースト5も紹介すると、最も少なかった40位が広島県の0.79%、以下、39位が岡山県の1.33%、38位が山梨県の2.03%、37位が宮崎県の2.21%、36位が高知県の2.63%となっている。
傾向としては、多くの方の予想通りだと思うが、都市部にいくほど若手議員が多い構造にあり、地方にいくほどその割合は少なくなっている。
こうした地域状況も参考にしながら、ご自身が住む基礎自治体の議会構成などを比較し、統一地方選挙後半戦に挑んでもらえればと思う。

図表4:若手議員数及び割合の都道府県別ランキング(2011年統一地方選挙)
150423コラム 図表4