10月29日、インド首相の来日を記念して、ナレンドラ・モディ首相による講演やパネルディスカッションなどを実施するイベントが日本経済新聞社と日本貿易振興機構(ジェトロ)主催により帝国ホテルで開催されました。
このイベントの「デジタル・パートナーシップ」セッションに、寺澤達也 経済産業審議官、遠藤信博 NEC会長、NASSCOM(インド全国ソフトウェア・サービス企業協会)のGagan Sabharwal 部長、インドを拠点とする10大企業の1つであり従業員20万人を抱えるマヒンドラグループの1社であるTech MahindraのManish Vyas, President, Communications Businessといった錚々たる面々の中、ベンチャー代表として小泉文明 株式会社メルカリ社長兼COOのが登壇しました。
今回は、先日、メルカリの政策企画ブログである「merpoli」に掲載された記事をリライトしながら、このイベントの報告と、このイベントにメルカリの社長が登壇する背景となった今年10月のメルカリのインド人新卒採用について書いて行こうと思います。

日印デジタル・パートナーシップ「MOC」の協力のもと、新たな日印協力のあり方を多面的に打ち出して、今後の具体的な連携を示唆できればと実施されたのがこのセッションでした。
「デジタル分野における日印協力の拡大について」というテーマのもと、パネリストそれぞれから「5G、顔認証、海底ケーブル、物流可視化事業などインドとのこれまでの連携」、「インドにおけるスタートアップ支援策」、「日本企業との協業の事例紹介」などが紹介され、メルカリからはメディアなどでも最近取り上げられることの多い「インドメンバーの採用事例」について報告されました。

メルカリは、優秀な人材を世界中から集めようと、国内での採用活動と同時に、国外からのの社員採用も積極的に行っており、社員の国籍数は既に30近くまで広がり、今年10月1日入社の新卒社員については、採用50名の9割に当たる44人が外国籍だったと言います。
国籍別に見ると、アメリカ、中国、台湾、イギリス、ベルギー、フランス、カナダ、シンガポールと多くの国から集まっており、中でも圧倒的に多かったのがインド人の32人でした。
こうした採用戦略の一環として、メルカリでは2017年にはソフトウェアエンジニアが技術力を競う「ハッカソン」をインドでも開催するなど積極的に働きかけてきたそうです。

インドの中でも名門校と位置づけられ、世界中が人材として注目しているのが、インド工科大学(IIT)の学生です。
IITは、工学や科学技術を専門とするインドの国立大学の総称ですが、このIITには特有の就活ルールがあり、採用をめざす企業は、1週間程度開催される「面接会」の中に枠をもらい、その中で一気に面接から内定出しまでを行うことになっています。
とくに特徴的なのは面接会で一度内定を承諾した学生はそれ以降の面接会に参加できなくなります。
そのためIITのトップ層の学生を採用するためには、企業側はなるべく早い日程で枠をもらう必要があるという競争になるのですが、今回メルカリはインド採用初年度にも関わらず、IIT5キャンパスの面接会のうち、1都市で1日目の枠を、3都市で2日目、1都市で3日目の枠を獲得することができたことが、32人もの採用につながったと言います。

今回モディ首相来日記念のパネルディスカッションでは、さらに、インドのスタートアップとの連携や人材活用の可能性について議論され、今後、「日本との連携において、日本企業に何を期待するのか」、「日本というマーケットに対してインド側はどういった期待を持っているのか」、また「日本との関係構築においてどういった課題があるのか」といったこと、「日本との協業構築の課題や、今後の連携について何が必要か」と議論されました。
今回紹介したメルカリ内では、buddy制度はじめ、入社した外国籍のグローバルメンバーを受け入れるための体制づくりを進めており、同時にインドだけでなく、ワルシャワでのハッカソンの実施なども進めていると言います。

今回のコラムは、メルカリの政策企画ブログである「merpoli」で書いたものをリライトした記事でしたが、個人としても、こうした問題についてもブログなどで発信していくと共に、「政策企画」という第3のルールメイキングについて、こうした媒体でも発信していきたいと思っています。
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