e8309fab.jpg新潮文庫版、杉捷夫訳。
モーパッサンを嫌っていたという、かの漱石もこの作品だけは認めていたという。
小説と戯曲の中間のような表現。
それ故か批判も多く、モーパッサン自身「小説について」という別文を序文に附して出版された。
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人生は、じつにさまざまな、じつに思いがけない、じつに相反した、じつにちぐはぐな事柄からできあがっている。残忍で、筋がとおらず、脈絡がなく、説明のできない、非論理的な、矛盾した「三面記事」の範疇に入れられるべき異変に満ちている。
だからこそ、芸術家は、自分の主題を選んだあとで、この偶然と無駄のごった返している人生のなかから、自分の題目に役立つ特徴的な細部のみしか使用せず、残りはすべて、まとはずれのものはすべて、これを投げ捨てるであろう。
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真実を描くということは、だから、事物の通常な論理にしたがって、真実の完全な幻覚を与えることである。
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我々はめいめい、世界についての幻影を自分につくっているだけのことである。
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引き出せばきりのない程の示唆に満ちている。
何故これが絶版なんだ????
(4-10-br014D-a)
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