イラン攻撃とG7 米国に停止促さぬ不誠実
毎日新聞 2026/3/13 東京朝刊

主要7カ国(G7)首脳によるオンライン会議に出席する高市早苗首相=内閣広報室提供
国際法に反する先制攻撃への批判を棚上げし、激化する戦争の責任をすべてイランに押し付ける。不誠実だと言わざるを得ない。
米国とイスラエルによるイラン攻撃後、初めて主要7カ国(G7)の首脳がオンラインによる会議を開いた。原油価格高騰への対策をすり合わせたという。
石油の重要な輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖し、世界経済を混乱に陥れているイランの責任は重大だ。国連安全保障理事会も対イラン非難決議を採択した。
緊急対応として国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は過去最大規模の石油備蓄の協調放出で合意し、G7も歓迎した。
だが、価格抑制の効果は限られる。放出量が不十分なうえ、戦争の長期化を懸念する見方が強まっているためという。
一刻も早い戦闘終結が必要なのは論をまたない。混乱をもたらす原因を作った米国にまず攻撃をやめるよう促すことが求められる。
そもそも攻撃の根拠は曖昧だ。米国は自衛権の行使を主張するが、イランからの差し迫った脅威について具体的な説明はない。
イランの女子小学校が被弾し、160人以上の児童らが犠牲になった攻撃では、米軍による誤爆の疑いが指摘されている。あってはならないことだ。
トランプ米大統領の言動も二転三転している。「作戦の終結は近い」と言ったそばから長期戦を示唆する。政権内では意見の対立もあるという。
振り回されているのは、同盟諸国や国際社会だ。だが、「国際法違反」と指摘するフランスがG7の場で公然と批判した節はない。国連安保理決議も先制攻撃を問題視していない。理解に苦しむ。
欧州はウクライナへの軍事支援を米国に頼る。日本は対中国で米軍の存在が欠かせない。関係をこじらせたくないのが本音だろう。
悪化する中東情勢は看過できない。民間船舶に被害が拡大し、イランが機雷の敷設を始めたという報道もある。戦争が長期化すれば世界経済の混迷は深まり、影響が各地に広がるのは避けられない。
米国はイスラエルと共に軍事作戦を停止し、イランとの対話を再開すべきだ。それを後押しするのがG7の役割である。

















