大泉洋さんの兄だけではない…今春の函館市長選が原発問題でも注目されるわけとは
東京新聞 こちら特報部 2023年2月2日 16時00分
函館の夜景=2019年撮影
今春の統一地方選で注目すべきが、北海道の函館市長選だ。俳優の大泉洋さんの兄が出馬表明したのも興味深いが、他にもある。対岸で建設中の電源開発大間原発(青森県)を巡り、建設差し止めを求める訴訟を主導するのが現市長で、4選を目指す彼を推すのが自民党の地方組織。
翻って党総裁の岸田文雄首相は原発活用に前のめりだ。「ねじれ」を想起させる現状をどう捉えるべきか。函館市長選を通し、原発論議のあるべき姿を考えた。(岸本拓也、山田祐一郎)
翻って党総裁の岸田文雄首相は原発活用に前のめりだ。「ねじれ」を想起させる現状をどう捉えるべきか。函館市長選を通し、原発論議のあるべき姿を考えた。(岸本拓也、山田祐一郎)
◆「弟とは選挙応援うんぬん話したことはない」
「私の選挙運動と、弟の芸能活動は別。弟といろいろ話はしますが、選挙応援うんぬんという話題は出たこともありません」
1日、「こちら特報部」の電話取材にきっぱりとした口調で答えたのが大泉潤氏(56)。大泉洋さんの7歳年上の実兄だ。
4月23日投開票の函館市長選へ出馬する。有名俳優の兄として世間の注目が集まるが、市の秘書課長や観光部長、保健福祉部長などを歴任した実務派だ。昨年7月に退職し、同10月に立候補を正式表明した。
「急激な人口減で、多くの大人が函館をあきらめている。でも魅力も大きなポテンシャルもある。市民が誇りを取り戻せるような未来をつくりたい」。無所属だが、立憲民主党支部が支持することを決めた。
◆現職は大間原発の建設差し止め訴訟を主導
有力な新人候補に対し、現職の工藤寿樹氏(73)も4選を目指して出馬表明した。コロナ禍からの経済再生や子育て充実などを公約に掲げ、その中で「大間原発建設の無期限凍結に向けて、引き続き建設差し止め訴訟に取り組む」と明記した。
この訴訟は2014年、函館市が提訴した。主導したのが市長の工藤氏。全国で初めて自治体が原告となって国などに大間建設差し止めを求めた。市は「少なくとも30キロ圏内の自治体の同意を得るべきだ」などと主張し、今も東京地裁で審理が続く。工藤氏は昨年10月、「大間の建設凍結を求めることは函館市民の総意だ」と述べるなど、今も意思は変わらない。
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