No Nukes 原発ゼロ

初代「No Nukes 原発ゼロ」 の後続版です。 政治・原発問題などを中心に、世の中の「気になる動き」をメモします。

イラン攻撃とG7 米国に停止促さぬ不誠実
毎日新聞 2026/3/13 東京朝刊
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主要7カ国(G7)首脳によるオンライン会議に出席する高市早苗首相=内閣広報室提供

 国際法に反する先制攻撃への批判を棚上げし、激化する戦争の責任をすべてイランに押し付ける。不誠実だと言わざるを得ない。

 米国とイスラエルによるイラン攻撃後、初めて主要7カ国(G7)の首脳がオンラインによる会議を開いた。原油価格高騰への対策をすり合わせたという。

 石油の重要な輸送ルートであるホルムズ海峡を封鎖し、世界経済を混乱に陥れているイランの責任は重大だ。国連安全保障理事会も対イラン非難決議を採択した。

 緊急対応として国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は過去最大規模の石油備蓄の協調放出で合意し、G7も歓迎した。


 だが、価格抑制の効果は限られる。放出量が不十分なうえ、戦争の長期化を懸念する見方が強まっているためという。

 一刻も早い戦闘終結が必要なのは論をまたない。混乱をもたらす原因を作った米国にまず攻撃をやめるよう促すことが求められる。

 そもそも攻撃の根拠は曖昧だ。米国は自衛権の行使を主張するが、イランからの差し迫った脅威について具体的な説明はない。

 イランの女子小学校が被弾し、160人以上の児童らが犠牲になった攻撃では、米軍による誤爆の疑いが指摘されている。あってはならないことだ。

 トランプ米大統領の言動も二転三転している。「作戦の終結は近い」と言ったそばから長期戦を示唆する。政権内では意見の対立もあるという。

 振り回されているのは、同盟諸国や国際社会だ。だが、「国際法違反」と指摘するフランスがG7の場で公然と批判した節はない。国連安保理決議も先制攻撃を問題視していない。理解に苦しむ。

 欧州はウクライナへの軍事支援を米国に頼る。日本は対中国で米軍の存在が欠かせない。関係をこじらせたくないのが本音だろう。

 悪化する中東情勢は看過できない。民間船舶に被害が拡大し、イランが機雷の敷設を始めたという報道もある。戦争が長期化すれば世界経済の混迷は深まり、影響が各地に広がるのは避けられない。

 米国はイスラエルと共に軍事作戦を停止し、イランとの対話を再開すべきだ。それを後押しするのがG7の役割である。

東電の事故から15年
脱原発の土壌 再エネをさらに
朝日新聞社説 2026年3月12日 5時00分
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原子炉建屋が爆発した東京電力福島第一原発4号機
=2012年5月、福島県大熊町、本社ヘリから

 思い出してほしい。東京電力の過酷事故で恐ろしい思いをした日々を。炉心溶融、建屋の爆発、原発の暴走を抑えられなかった。首都圏を含む広い地域で、避難が必要になるとも指摘された。

 あれから15年、政府は忘れたかのように「原発回帰」に前のめりだ。事故後の2011年7月、朝日新聞は社説特集で「原発ゼロ社会」を提言した。拡大を訴えた再生可能エネルギーは15年で格段に増え、政府も主力電源化を掲げる。脱原発と再エネ拡大を、着実に進めるべきだ。

 ■「原発ゼロ社会」のいま

 原発を一気にゼロにすれば生活や経済が打撃を受ける。提言では、無理せず着実に減らすことが現実的として、ゼロの時期は「20~30年後がめど」とした。分散型で地域密着の電源として「希望の星は自然エネルギー」と訴えた。しかし、政府は原発の活用へと舵(かじ)を切り、60年超運転を認める制度もつくった。

 5年後の原発ゼロは難しいが、前進はしている。

 再生可能エネルギー(大型水力をのぞく)の電源構成に占める割合は、震災前の約2%から、23年度に約15%まで拡大した。事業用太陽光発電の買い取り価格は、12年度の1キロワット時あたり40円が十数円に低下した。政府は40年度の電源構成で再エネを最大の4~5割と掲げる。拡大の土壌は育っている。

 災害が多い日本の原発リスクは大きい。ひとつは予想外の災害が起きることだ。警戒度が高くない地域で大地震が起き、原発は想定を超える揺れに見舞われた。インフラ老朽化など社会変化も新たなリスクとなる。1基で大量の電力を供給する原発頼みでは、止まった時の影響も大きい。

 さらに、原発を動かす事業者にリスクを真摯(しんし)に受け止めない体質が残る。中部電力浜岡原発で、想定する最大の地震の揺れを示すデータの不正が発覚した。運転させるのに都合がよいデータの解釈は続き、業界の病巣は根深い。

 ■非現実的な回帰政策

 震災の前年、政府はエネルギー基本計画で原発の活用を進め、原発や再エネなど二酸化炭素を出さない電源比率を「30年に70%」と掲げた。事故後に大幅に見直し、昨年策定の計画は原発の割合を「40年度に2割程度」とした。

 この2割の達成には、地元が一部廃炉を求める東京電力の柏崎刈羽原発の全基と、地震リスクから原子力規制委員会が不許可にした敦賀2号機を動かし、建設中の大間原発や東通原発などの完成が必要だ。長期運転も常態化する。現実的な目標と言えない。

 安全確保の砦(とりで)である原子力規制委員会の変質ぶりも気になる。60年超運転では政府の方針に沿って性急に制度を変えた。テロ対策施設では事業者側の事情で、設置期限を延ばそうとしている。

 自然災害と原発事故の複合災害が起きた際の避難対策など、様々な課題が置き去りのままだ。ウクライナで顕在化した原発への武力攻撃のリスクも未解決だ。「核のごみ」の最終処分が見通せないことは、15年前と変わらない。

 足元の中東情勢の悪化はエネルギー自給の重要さを再認識させた。当面は天然ガスなど旧来のエネルギーに頼らざるを得ない。欧州では脱原発の機運がしぼむ動きもあるが、需給の逼迫(ひっぱく)を原発回帰の理由とせず、将来を見通した施策を練る機会とすべきだ。

 世界の投資の潮流は再生可能エネルギーだ。輸出も含めて原発を推進しているのはロシアと中国などに限られる。

 ■将来の危機を防げ

 原発も石炭火力発電も今ある設備を使い続ければ、帳簿上は電力会社の利益につながり、「安価な電力」として生活や産業を支援することにもなる。しかし、問題とコストの先送りに過ぎない。安全を確保し、子孫に負担を先送りしないことが重要だ。目先の利益を優先すべきではない。

 再エネは、政策の誘導で拡大の余地は十分にある。潜在的な供給量は、予想される40年度の電力需要を上回る規模がある。すべて活用できると限らないが、いまは送配電や蓄電の問題から、使える再エネさえ無駄にされている。

 持続可能な社会をめざす一般社団法人「プラチナ構想ネットワーク」は2月、「50年の全エネルギー需要の8割を再エネでまかなうのは技術的に可能」で、経済的にもメリットがあるなどとする構想をまとめた。他にも複数の民間団体が、原発ゼロや再エネの主力化を提言する。

 再エネという純国産資源の活用を広げ、脱炭素とエネルギー自給、世界に売り出せる技術開発で経済も後押しする。この好循環を生み出すことこそ、政治の役割だ。

 15年前の弊紙提言は「好きなだけ電気を使う生活を楽しんできた」としてエネルギー政策の国民的議論も訴えた。

 事故後、家庭でも街でも節電の知恵を絞った。その認識は薄れ、世論調査で原発再稼働の賛成が多数となった。国民的な議論も進んでいない。

 電気を使う誰もが自分の問題と考え、声をあげ、行動していくことが欠かせない。

すっかり後退した「脱原発」の機運…
 自民はすっかり再稼働推進、
野党も「ゼロ」主張から「活用」派が増えて
東京新聞 2026年3月12日 06時00分

 東京電力福島第1原発事故から15年を経て、国のエネルギー政策は「原発回帰」が鮮明だ。先の衆院選では、人工知能(AI)の普及などに伴う電力需要増を理由に再稼働推進を掲げた自民党が圧勝し、「原発ゼロ」を訴えた勢力は大きく議席を減らした。東日本大震災を機に与野党で高まった「脱原発」の機運は、すっかりしぼんでいる。

◆官民一体で原子力産業の再興を図る構えに

 高市早苗首相は11日、福島市内で開かれた追悼復興祈念式に出席し、震災の教訓を後世に受け継ぐ決意を示した。一方、原発事故に関しては、1年前の石破茂前首相と同じ文言で「いまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされている」などと触れただけだった。
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東日本大震災の追悼復興祈念式を終え、記者の質問に答える高市首相=11日、福島市で(代表撮影)

 事故の翌年の衆院選では濃淡こそあれ、主要政党が原発の積極活用から距離を置いていた。与党の民主党が「2030年代に原発稼働ゼロ」を主張したほか、野党の自民は「原子力に依存しない経済・社会の確立」を公約した。

 だが、自民は徐々に姿勢を転換。岸田政権は2022年に「原発を最大限活用」という方針を示し、高市政権も昨年10月、自民と日本維新の会の連立政権合意書に「安全性確保を大前提に再稼働を進める」と明記した。日米関税合意に基づく対米投資では原発建設が有力案件とされており、官民一体で原子力産業の再興を図る構えだ。

◆廃止を訴える勢力は大きく議席を減らして

 原発ゼロを主張する野党も少数派になった。民主を源流とする立憲民主党は綱領に原発ゼロを掲げてきたが、衆院選前に公明党と合流して中道改革連合を結党する際、条件付きながら再稼働容認に転じた。国民民主党や参政党、チームみらいは原発活用の立場だ。

 原発廃止を訴える共産党は、衆院選で公示前の8議席から半減し、れいわ新選組は1議席しか確保できなかった。これに伴い、国会論戦でも原発そのものの是非を巡る議論は低調になっている。(近藤統義)
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原発事故で「東北の鬼」に
武藤類子さんの15年 「誰も責任を取らない」
裁判が終わっても、抗い続けるのは
東京新聞 こちら特報部 2026年3月10日 06時00分

 「私たちはいま、静かに怒りを燃やす東北の鬼です」

 2011年、東京電力福島第1原発事故の半年後に東京で開かれた集会で、福島県三春町から参加した武藤類子さん(72)が約6万人の聴衆に語りかけた言葉だ。

 その後、東電旧経営陣の幹部3人を刑事告訴した告訴団団長として、数々の原発訴訟の法廷に足を運び、事故の責任を問い続けてきた。各地で再稼働が進む今、何を思うのか。武藤さんの15年を追った。(片山夏子)

◆「国は国民を守らない。私たちはすてられたのだ」

 2011年9月19日の「さようなら原発集会」。東京・明治公園を埋め尽くした人たちを前に、武藤さんはこう呼びかけた。「福島のみなさん。どうぞ一緒に立ち上がってください」

 福島県内や避難先から何台ものバスを連ね、被害に遭った自分たちこそ「原発はいらない」と声を上げようと、誘い合って会場に来た人たちだった。
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「さようなら原発集会」で脱原発を訴える作家の大江健三郎さん(中)。右端が武藤類子さん=2011年9月19日、東京都新宿区の明治公園で

 「みなさん、福島はとても美しい所です。(中略)3.11原発事故を境に、その風景に、目には見えない放射能が降り注ぎ、私たちはヒバクシャになりました」

 「毎日、毎日、いや応なく迫られる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。(中略)さまざまな苦渋の選択がありました」

 事故から半年たって鮮明になってきたこととして、武藤さんは言葉を継いだ。

 「真実は隠されるのだ。国は国民を守らないのだ。事故はいまだに終わらないのだ。(中略)大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ。私たちはすてられたのだ」

 事故から15年がたつ今、このときの自分の言葉が武藤さんの胸によみがえる。

◆悲しみや悔恨、絶望が入り交じった猛烈な怒り

  2012年、福井県の関西電力大飯原発3号機が再稼働する際、首相官邸前は子どもを連れた母親や若者、会社員など、危機感を持った人で埋め尽くされた。だが今、国は原発を最大限活用するとし、各地で再稼働が進む。

 「あんなすさまじい事故が起きたのに、たった15年で忘れられていく。考えてみると、あのときもう今の状況を感じていたのかもしれない」

 明治公園の集会で「東北の鬼」という言葉を使うかは悩んだという。事故から半年の自分の心情をどう伝えたらいいのか。
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原発事故前まで喫茶店をやっていた所で事故から15年を振り返る武藤類子さん=福島県田村市で

 武藤さんがスピーチの内容を考えていたとき、頭によぎったのは、全国各地の民俗舞踊を習う中で、かつて見た岩手県北上地方を中心に踊られてきた「鬼剣舞(おにけんばい)」の躍動する舞だった。

 原発事故でぼうぜんとした後、襲ってきたのは悲しみや悔恨、絶望が入り交じった猛烈な怒りだった。

◆搾取され蹂躙されてきた東北、象徴するのが「鬼」

 「その怒りを表現したのがあの言葉だった。東北は歴史の中で貧しく、中央から虐げられた土地だった。電気だけでなく、人やさまざまな物が搾取され、いろいろなことで蹂躙(じゅうりん)されてきた。『鬼』は東北が中央からどう扱われてきたかという悲しい一面を象徴していると思うのです」

 火にはさまざまな表情がある。まきの表面をなめる炎は濃い赤で激しく動く。やがて明るい朱色のなめるような炎となり、さらに中心が火の玉を抱いたように白くなるという。

 「時間がたつにつれますます困難を極める福島の中で、エネルギーを内包したおき火のような冷静で静かな怒りを、私たちの生きる尊厳を奪うもの、命をないがしろにするものに、ぶつけていかなければならない」

◆里山喫茶で意識するようになった「コンセントの向こう側」

 武藤さんが原発問題に取り組み始めたのは、1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ(チョルノービリ)原発事故だった。

 「そのころ姉が骨髄性白血病を発症した。私たち姉妹が育った時代は米ソの核実験の最中だった。もちろん因果関係の立証はできないが、私が原発に向き合う一つのきっかけになった」
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 チェルノブイリ原発事故後、反原発運動は各地で盛んになった。武藤さんも「脱原発福島ネットワーク」を結成し、自治体や東電との交渉をしてきた。1988年に東京であった2万人デモでは、延々と続くデモ隊の列に「世界は変わるかもしれない」と感じた。しかし、原発は増設されていった。

 無力感と絶望感に襲われる中で、自分にとっての脱原発とは何かを考え、暮らしを見つめ直した。田村市の自然豊かな里山で喫茶「燦(きらら)」を始めた。夏の日差しを遮るよしず、太陽光発電、まきストーブ…。この電気はどこからくるのという「コンセントの向こう側」を意識するようになった。

◆「長い間恐れていたことが現実になった」

 だが福島の事故で生活は一変する。かすかな山鳴りの後、木造の家がぎしぎしと音を立て食器が割れた。そして夕方、約45キロ離れた福島第1原発での「全交流電源喪失」をラジオで知る。
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原発事故前まで喫茶店をやっていた所で見送ってくれる武藤類子さん=福島県田村市で

 「長い間恐れていたことが現実になった」

 メルトダウン(炉心溶融)という言葉が頭の奥でこだました。子どものいる友だちに「逃げた方がいい」と伝え、吹雪の峠を家族と避難した。

 1カ月後に福島に戻ると現実が待っていた。山の恵みも出していた喫茶店は「安全な食材を提供できない」と閉めた。

 「放射線健康リスク管理アドバイザーと呼ばれる専門家が安全キャンペーンを繰り広げ、国は事実を隠し、被害を矮小(わいしょう)化していた」

 事故の真実が明らかになり、責任が取られれば少しは事態は変わるのではないか…。

◆「真実と責任が明らかにならなければ同じことが起きる」

 2012年、武藤さんは仲間と「福島原発告訴団」を結成。原発事故の責任を問い、約1万4000人で福島地方検察庁に当時の東電経営陣や政府関係者、学者ら33人を刑事告訴、告発した。だが2013年9月、全員不起訴処分に。東京の検察審査会に不服申し立てをした。
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原発事故前まで喫茶店をやっていた所で事故から15年を振り返る武藤類子さん=福島県田村市で

 「個人を訴えるしかなかったが、人の罪を問うのは怖かった。でも真実と責任が明らかにならなければ同じことが起きると思った」

 2014年7月、東京第五検察審査会は東京電力旧経営陣3人を起訴相当の議決。喜んだのもつかの間、2015年1月に検察は再び全員不起訴に。2回目の検察審査会が開かれ、3人は強制起訴された。

 「東電が大津波が原発を襲う可能性を把握し、いったんは対策を検討していたことなどさまざまな事実がわかってきた」

 武藤さんは全公判で法廷に足を運んだ。だが東京地裁と高裁で無罪判決が出され、昨年3月、最高裁の上告棄却で確定した。

◆誰も責任を取らず終わった裁判…それでも

 多くの人の人生を根こそぎ変えるような原発事故が起きたのに、被害者の十分な救済がされず、誰も責任を取っていない。
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東京電力旧経営陣2人の無罪が確定することを受け、記者会見する福島原発告訴団の武藤類子さん=2025年3月6日、東京・霞が関で

 「これで裁判での責任追及は終わってしまうのか」

 ぼうぜんとした。準備から13年走り続けてきた。事故後、ずっと何か考えているように頭が休まらず、夜中に何度も目を覚まし、眠れたのかわからない日々を過ごしてきた。大好きな音楽も聴けなくなっていた。

 国は今エネルギー基本計画で「原発の最大限活用」とし再稼働を進める。福島第1原発からは処理水の海洋放出が始まり、国は除染で出た8000ベクレル以下の汚染土を各地で再利用しようとする。

 「福島の復興のための再利用? とんでもない。放射性物質をあえて拡散するなんてありえない。15年で福島の事故を忘れ、原発の最大限活用とは堪え難い愚かしさと思う。理不尽で絶望的な現実の中でも、現実を見つめ、その中に小さくても光が見いだせると信じて、諦めずあらがい続けたい」

◆デスクメモ

 原発事故後に取材した福島出身の女性は、母子で自主避難した知人女性が自死をしたと明かし「不条理」と話した。この国が原発を手放さず再稼働を進める後ろに置き去りにされた人々の思いがある。コンセントの先はどこにつながっているか。首都圏に暮らす私たちも問われている。(恭)

強引な予算審議 議会政治 根幹揺るがす
(朝日新聞社説) 2026年3月10日 5時00分
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衆院予算委の集中審議で、中道改革連合の小川淳也代表の質問に答弁する高市首相=2026年3月9日、岩下毅撮影

 高市首相がめざす新年度当初予算案の年度内成立を実現するため、与党が週内の衆院通過に向け、「数の力」を頼みとした強引な国会運営を続けている。

 前例のない審議時間の短縮で、国民の代表である国会のチェックが尽くされない事態は、議会制民主主義の根幹を揺るがすものだ。あしき前例にもなりかねない。与党は今からでもスピード優先を改め、国民生活への影響回避と熟議の両立を図るべきだ。

 首相が出席する衆院予算委員会の集中審議がきのう開かれた。首相はあくまで予算案の年度内成立をめざすとして、暫定予算案の編成を否定した。一昨日は日曜にもかかわらず地方公聴会が行われ、きょうは採決の前提となる中央公聴会が開かれる。

 一連の日程は、自民党の坂本哲志委員長が、野党の求めを顧みず、職権で決めた。首相が出席する集中審議は例年なら数日間は開催されるが、今回は今のところ、きのう午後の半日のみだ。
首相は予算成立を急ぐ理由として、「国民に支障が生じないよう」と繰り返すが、自身が答弁に立って、野党の追及を受ける機会を極力減らしたいという思惑も透けて見える。

 予算委は、予算案の具体的な中身にとどまらず、政権の方針や政治姿勢全般が俎上(そじょう)にのぼる場である。衆院選圧勝をもたらした首相の力は強まっており、その考えを直接ただす機会をせばめることは、国会の行政監視機能をないがしろにするものだ。

 社説は、予算案の早期成立を後回しにした通常国会冒頭での衆院解散を、国民生活より政権基盤の強化を優先するものだと批判した。今回の駆け足の審議にも、冒頭解散の正当化や説明責任の回避といった「自己都合」があるのではないか。

 政権の予算審議軽視は、首相の出席を減らすだけにとどまらない。分野別に詳細な審議を行う「分科会」は、このまま開催されなければ37年ぶりだ。

坂本委員長自身、かつてブログに「きめの細かい質問が集中的になされる」とその意義を強調していたにもかかわらずである。また、先週3日間行われた省庁別審査には、予算案の主管大臣であるのに、財務相は一部しか出席しなかった。

 首相は施政方針演説の冒頭、「様々な声に耳を傾け、謙虚に、しかし、大胆に、政権運営に当たる」と述べた。「謙虚」というのは言葉だけなのか。強引な予算審議は決して「大胆」などではなく、議会政治を傷つけるだけだと知るべきだ。

高市女王様圧勝
「石破政権と高市政権の予算審議の比較」

「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」by高市
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高市は「馬車馬のように働いてまいります」をぶち上げたはいいが、高市のアドリブ答弁で馬車馬のように働かせられたのは官僚と、高市が推進しようとしている労基法改正で犠牲になるのが末端の労働者。

総裁になった時「馬車馬のように働く」と宣言した高市だったが、国会では自民党が少数与党のため、野党の枝野が予算委員長になり、当然総理に多くの質問が集中したが、高市はそれを気に入らなかったそうで。。。。

別に高市に嫌がらせをしているわけでは無く、総理としての見解を野党が質疑するのは当然だと思うが、首相の立場を理解しているのかしていないのか、「閣僚がいくら手を挙げても私にばかり当たる」と不満をためて、解散総選挙に突っ込んだのではないかとの見方は、けっこう聞いたことがある。

通常国会がようやく始まるから国会審議も活発になると思った矢先、冒頭解散を発表した高市。

どうもこの選挙にはものすごい巨額の金が官房機密費から支出されたのではないかと赤旗が報じていたが、、機先を制した高市の作戦は奏功して、目をむくほどの自民党の圧勝。

というわけで、自民党は選挙には圧勝したが、国会日程が窮屈なのは当たり前なのに、それでも年度末までに予算を成立させようと無無茶苦茶な国会運営。

今国会の、「馬車馬のように働く」高市の働きぶりはどうなったのか・・・・
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政府や首相に対する質疑がガクンと下がり、予算案の審議は例年なら80時間あったものが50時間台。

総理出席の質疑はたったの20時間台。

自民党の「坂本委員長」が首相のガード役に成り下がって総理に質疑をさせないようにしている。

「高市女王様」を守れと、自民党議員が総出でお守りしている図。

なんだ~。高市は「馬車馬のように働く」は看板だけで、実際は汚れ仕事は部下にやらせ、一国の総理として自分が目立つ場所にはどんどん出て行き信者達に「キャー高市さん、可愛いい」とチヤホヤされたかっただけの人か。

国が核ごみ調査打診 選定の議論深める契機に
毎日新聞社説 2026/3/8 東京朝刊
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太平洋に浮かぶ南鳥島
=2012年11月21日午前11時39分、航空自衛隊C130輸送機から鈴木泰広撮影

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場建設は、先送りできない課題だ。手続きの第1段階となる文献調査を東京都小笠原村の南鳥島で実施したいと、国が村に申し入れた。調査は3カ所で既に進んでいるが、国から打診したのは初めてだ。

 赤沢亮正経済産業相は「地域任せにせず、国の責任で協力をお願いする」と説明した。

 国は10カ所程度で文献調査を実施し、候補地を絞り込みたいとしている。自治体からの「手挙げ方式」を原則としたものの、住民の反対で断念したケースもあり、思うように増えていない。このため、国が関与を強めるよう求める声が出ていた。
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南鳥島の地図
 核のごみは、放射線量が安全なレベルに下がるまでの約10万年間、地中深くに埋めて保管する。地震や火山活動の影響を受けない場所に処分場を設ける必要がある。

 日本最東端に位置する南鳥島は、地質的に安定している。自衛隊基地などがあるだけで、民間人は住んでいない。全島が国有地である点でも、整備を進めやすい。

 一方で、面積が狭く、地上施設の用地が不足する恐れがある。地盤はサンゴ礁に由来する石灰岩のため水を通しやすく、地下施設を造る難しさも指摘される。核廃棄物の長距離の海上輸送は安全上のリスクがあり、コストもかさむ。
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核のごみ最終処分場の建設までの流れ
 文献調査の開始には地元同意が必要で、村は国側の説明会を聞いた上で判断するとしている。ただ、今回の申し入れは唐突で、しかも南鳥島は村役場のある父島から1200キロも離れた孤島だ。村民の間には戸惑いも広がる。

 国が選定を主導するのであれば、なぜその場所を候補地とするのかの丁寧な説明が欠かせない。経産省が公表している「科学的特性マップ」によると、国土の約7割は最終処分場に「好ましい特性」を持つとされ、多くの市町村が候補地になる可能性がある。

 先行して調査に入った自治体では、巨額の交付金が地域振興に活用される一方、調査の是非を巡り住民が対立し、分断も起きている。

 候補地選定のプロセスはどうあるべきか、検証しながら見直しを重ねていくことが求められる。幅広い理解を得て事業を進めるための議論を深めねばならない。

自民党内からも「信用ならぬ」…高市スタイル
日刊スポーツ 2026年3月6日8時0分
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憲政史上初の女性首相・高市早苗が誕生して間もなく半年になろうとするが、年始に強引に総選挙を行い、与党大勝をもたらした。ただそのおかげで来年度予算の年度内成立には審議時間が足りないと、越年の準備にかかるが、この首相は自分の思い通りにならないと気が済まない。

審議時間を大幅に減らすことに躊躇(ちゅうちょ)なく、自民党・日本維新の会は衆参の院の慣例を変え、審議短縮で年度内成立をもくろむ。これが前例となれば、審議時間短縮だけが恒例化しかねない。自身がゴールポストを決め、自在に動かす権力を強引に行使する。それが高市政治のスタイルだ。

思えば最初に疑われたのが「米連邦議会立法調査官」という肩書。23年、安倍政権の総務相時代、放送法「政治的公平」解釈変更を示す内部文書(高市氏の発言記載)を「捏造(ねつぞう)文書」と国会で否定。「捏造でなければ大臣・議員辞職する」とたんかを切ったが、総務省が真正文書と認めると「内容が不正確」「確認できない」と迷走。

24年9月の自民党総裁選では総裁選選挙管理委員長・逢沢一郎が同月4日付で総裁選告示前の文書発送の禁止を通知していたが、高市は政策リーフレットを全国の党員らに郵送し、4日には既に発送を終えていたとして「党の決めたことには一切違反していない」と突っ張り、同11日、逢沢が「ルールに従い、選挙に臨んで欲しい」と口頭注意した。

ほかにもテレビで実際の税制で法人税減収分が消費税増税で穴埋めされているにもかかわらず「消費税が法人税減税に流用」との指摘に対し、「事実無根、撤回せよ」と猛烈に反論。

先の総裁選で「食料品の消費税率0%にするべき」と訴えたが、首相就任後「消費税は下げない」「レジ改修できないから無理」といい、選挙では2年間の食品減税を言い出したが、今ではやる気があるのかどうかわからない。

旧統一教会との関係、最近ではカタログ配布も妙な説明と言い訳が多く「ちょいちょい、ウソやごまかしがある。政策の転換ならともかく、言っていることが変わるなど信用ならぬという声は元々党内にある」(自民党議員)。(K)※敬称略

望月衣塑子が行く  
社民党が13年ぶりの党首選挙戦
新しい党の顔は誰に? 国会議員は2人だけ


東京新聞チャンネル
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社民党の党首選が3月4日に告示され、3人の立候補者が国会内で共同記者会見をしました。

出馬したのは現職の福島瑞穂氏、ラサール石井副党首、大椿裕子前参院議員です。

大椿氏は労働、農業問題の解決、ラサール氏は弱い立場の人たちの訴えを聞き、党の風通しを良くしたいと訴えました。
現職の福島氏は護憲やジェンダー平等などを訴えて再選を目指します。

開票日は3月23日です。

冒頭、取材した望月衣塑子記者が内容を振り返り、その後、会見をご覧いただけます。

2026年3月4日撮影(撮影・編集:デジタル編集部)

旧統一教会に解散命令 全面的な被害救済実現を
毎日新聞社説 2026/3/5 東京朝刊
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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を命じた東京高裁決定を受け、記者会見する紀藤正樹弁護士(右手前)ら全国霊感商法対策弁護士連絡会=東京都千代田区で2026年3月4日午後2時9分、西夏生撮影

 教団の財産を全て把握し、霊感商法や高額献金などの被害救済を確実に実施すべきだ。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に解散を命じる決定を東京高裁が出した。教団側の即時抗告を退け、昨年3月の東京地裁決定を支持した。高裁決定により解散命令の効力が生じ、清算の手続きが始まった。

 教団側は最高裁に不服を申し立てる方針だが、結論が覆らない限り手続きは止まらない。

 解散後も宗教活動は続けられる。とはいえ、宗教法人の資格が剥奪される重い判断だ。信仰に使っていた施設が清算対象になり、税優遇もなくなるため、運営基盤が揺らぐ。

 高裁は、教団側が通常の方法であれば達成できないような寄付金額の目標を定めて、信者らに勧誘させてきたと指摘した。

清算へ国の支援が必要

 深刻な悩みなどを抱えた人たちに「先祖の因縁」と告げて不安をあおるなど、悪質な手口で献金を集めた。被害は長期に及び、地裁決定が指摘しただけでも200億円を超える。

 教団側は昨秋に被害者への補償委員会を設けたが、高裁はこうした対応を不十分と一蹴し、「不法行為を防ぐ手段は解散命令以外に見当たらない」と結論付けた。

 オウム真理教など過去の解散命令では幹部が刑事処分に問われたが、今回は民事上の不法行為が理由となった。法を守り、一般的な活動をしている宗教法人には影響を及ぼさない。組織の実態を丁寧に認定し、被害の甚大さを踏まえて解散を命じた高裁決定は妥当だ。

 今後の手続きは、裁判所が清算人として選任した弁護士が担う。教団が保有する預金や不動産などを精査し、被害を届け出た人に弁済していく流れだ。教団側は解散請求に激しく抵抗しており、清算手続きの難航が予想される。

 懸念されるのは清算人の権限が十分ではないことだ。

 企業などの破産手続きにあたる管財人は、調査権限が法律で明確に定められ、企業側にも強制力を伴う協力義務がある。

 しかし、宗教法人法は清算人の権限を具体的に明記していない。文化庁は昨年10月に旧統一教会を念頭に置いた清算の指針を策定し、調査妨害や財産隠しがあった場合の対応などをまとめたが、法的拘束力はない。

 多数の被害者がいたオウム真理教の場合は、救済を進める複数の立法措置が執られた。今回も政府や国会の支援が欠かせない。

 教団の資産は1000億円規模に上る。献金の多くは教団が創設された韓国の本部に送られてきた。資産の全容解明を図るため、教団トップの韓鶴子(ハンハクチャ)総裁を逮捕した韓国の当局などに協力を求める余地もある。

政治との関係は未解明

 救済には被害者本人の申告が必要だが、教団側の報復を恐れてためらったり、自分が被害者だと自覚できなかったりする人もいる。文化庁の指針は、清算終了後に声を上げた被害者にも対応できるよう、弁済を続ける財団を設ける案を示した。全ての被害者の救済を図る手立てを講じる必要がある。
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東京高裁を出て報道陣の取材に応じる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の福本修也顧問弁護士(中央)=東京都千代田区で2026年3月4日午前11時8分、西夏生撮影

 教団を巡っては、信者となった親の下、苦難を強いられる「宗教2世」の問題が浮かび上がった。さらなる実態調査や相談体制の強化が急がれる。

 霊感商法といった教団による被害は1980年代から指摘されてきた。だが、90年代に合同結婚式が話題になった後は注目されない時期が続いた。再びクローズアップされたのは、2022年に宗教2世の被告が安倍晋三元首相を銃撃する事件が起きたためだ。

 問題を放置した国の責任は重い。過去の対応を検証し、高額献金などの被害再発を防ぐべきだ。

 見過ごせないのは、政治との関係がいまだに解明されていないことだ。教団関連のイベントなどに参加したり、選挙で支援を受けたりする自民党議員が多くいた。教団にお墨付きを与えるような形にもなっていた。自民は22年に検証結果を公表したが、十分なものではなかった。

 最近も、日本の法人が韓国の本部に報告した内容に基づく内部文書で、高市早苗首相をはじめ自民議員とのつながりが明らかになっている。

 解散命令が出ても、教団を巡る疑惑が全て解決したわけではない。自民は事実関係を明確にし、説明責任を果たさねばならない。

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