伊方原発3号機の運転差し止め決定 広島高裁
(20/01/17)


伊方原発、運転差し止め 広島高裁仮処分
 地裁支部決定を取り消し

 山口県東部の住民3人が、四国電力伊方原発3号機(出力89万キロワット、愛媛県伊方町)の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審が17日、広島高裁であった。

森一岳裁判長は申し立てを却下した2019年3月の山口地裁岩国支部の決定を取り消し、四電(高松市)に運転差し止めを命じる決定を出した。11年3月の東京電力福島第1原発事故以降、司法による運転差し止めの判断は5例目。
キャプチャ
四国電力伊方原発3号機=愛媛県伊方町で
2020年1月13日、本社ヘリから大西達也撮影

 伊方原発3号機は、福島第1原発事故を受けて停止したが、原子力規制委員会による新規制基準の安全審査に合格し、16年8月に再稼働した。現在は19年12月からの定期検査で停止している。仮処分はただちに効力が生じるため、四電は決定の取り消しを求める保全異議と仮処分の執行停止を高裁に申し立てる方針だが、4月27日に予定されている営業運転の再開は微妙な情勢となった。
 原告は、原子力災害対策指針などで避難計画の策定が義務付けられていない原発から30~40キロ圏にある島しょ部の住民。岩国支部への仮処分申請で住民側は、伊方原発周辺の海底に延びる中央構造線が活断層であると主張。地震による被害や阿蘇カルデラが噴火した場合は火砕流が到達する危険性があると訴えたが、同支部は19年3月、四電の対策が過小とは言えないなどとして申請を却下した。

 即時抗告審で四電は、伊方原発周辺の中央構造線が活断層ではなく、海上音波探査によって最も近い活断層も伊方原発の沖合8キロ地点にあると確認されていると主張。住民側は原発の沖合600メートルにある中央構造線も活断層の可能性があるとし、地震が起きた場合は伊方原発に四電が想定する2~3倍の揺れが生じるとの意見書を、高裁の求めに応じて提出していた。

 四国西端の佐田岬半島に立地する伊方原発は原子炉が3基あり、廃炉が決まった1号機と2号機は18年までに運転を終えた。3号機を巡っては周辺の山口、大分、松山、広島の各地裁や支部で仮処分申請や提訴が相次ぎ、17年12月には広島高裁が火山の噴火リスクを理由に運転差し止めの決定を出したが、四電の不服申し立てで決定が取り消された。

関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた14年5月の福井地裁判決など、運転差し止めを認めた他の3例も上級審などで判断が覆っている。【手呂内朱梨、賀有勇】

四国電力の話
 これまで最新の科学的知見も踏まえながら、地震や火山に対する安全性を丁寧に立証してきた。今回の決定は極めて遺憾であり、到底承服できない。早期に仮処分命令を取り消してもらえるよう、決定文の詳細を確認の上、速やかに不服申し立ての手続きを行う。