新型コロナ急増 感染爆発避ける対策を
<東京新聞社説>
2020年11月27日 08時17分

 危機感の表れだ。新型コロナウイルス感染症の急増が収まらない中、政府の対策分科会が再度、対策を提言した。政府には徹底した取り組みとともに、先を見越した対策も示す責任がある。

 分科会の尾身茂会長は、分科会の基準で上から二番目のステージ3(感染急増)相当と判断される地域に札幌、大阪両市に加え東京二十三区と名古屋市を挙げ対策を求めた。

 これ以上の感染拡大を許してステージ4(感染爆発)になる事態はなんとしても避けたい。分科会の危機感をいま一度、社会全体で共有したい。

 ステージ3相当の地域で懸念されるのは医療崩壊だ。感染症の患者、特に重症者が増えると医療従事者を感染症対応に取られ通常の医療が提供できなくなる。

 「助けられる命も助けられなくなる」との指摘はそれを意味する。既に医療態勢が厳しいとの声も現場から上がっている。政府と自治体は、病床の確保だけでなく人材を他地域から回すなどの柔軟な対応へ連携を強めてほしい。

 分科会はステージ3相当の地域での酒類を出す飲食店の営業時間短縮や、利用の自粛を求めた。
 「Go To トラベル」についても感染拡大地域からの出発分について見直しを提言した。

 政府は感染拡大地域へ行く場合のみ事業の一時停止を決めたが、不十分だとの判断だ。政府は分科会の提言に従い見直すべきだ。

 気をつけたいのは仕事や学校の授業、必要な受診など感染リスクの低い活動は制限する必要はないと分科会が指摘していることだ。対策に十分配慮した感染拡大地域以外の地域同士の旅行もそれに含まれるだろう。

 今春の「第一波」では社会経済活動を大規模に停止させたが、今は感染リスクがある程度分かってきた。リスクの低い活動を促すことは理解できる。

 ただ、これがアクセルとブレーキを同時に踏むように見えてしまい混乱を招いているようだ。政府は十分に情報提供する責任がある。

 マスクなしの長時間の飲食や、会話が発生しやすい職場の更衣室利用など感染リスクの高い場面を再確認し、各個人が注意したい。

 政府は三週間集中して対策に取り組むが、それでも拡大を抑えられない場合、さらに対策が必要となる。飲食店の営業自粛やイベント制限など想定される事態を示すことで危機感の共有を進めたい。


第3波への政府対応 首相の危機感が足りない
<毎日新聞社説>
2020年11月27日 東京朝刊

 新型コロナウイルスの「第3波」に対応するため、感染が急増している地域との往来を控えることなどを、政府の分科会が提言した。

 医療現場で悲鳴が上がる中、飲食店の営業時間短縮などを求めたのに続く、矢継ぎ早の対応だ。

 専門家は、東京都や名古屋市などで警戒のレベルが高まっていると判断し、今後3週間は飲酒を伴う会食の自粛や在宅勤務などの対策を徹底するよう訴えている。

 こうした危機感を、政府はしっかり受け止めているのだろうか。

 政府は先週、提言を踏まえて「GoToキャンペーン」の一部停止を決めた。トラベル事業は来月15日まで、大阪、札幌両市への旅行を割引の対象外とする。イート事業は食事券発行の一時停止を都道府県に要請した。

 しかし、これでは中途半端だ。移動そのものが感染リスクを高める。トラベル事業は、感染急増地域に向かう旅行だけでなく、出発地とする分も停止すべきだ。

 分科会はかねて、医療体制が崩壊する事態を防ぐには、感染急増地域をトラベルから除外することが必要だと提言してきた。

 それなのに、政府は地域除外の手続きすら決めていなかった。このため国と自治体の役割分担があいまいになり、除外の判断を押しつけ合って対応が遅れている。

 東京都の扱いが宙に浮いているのもそのためだ。一方で都は、飲食店などに営業時間短縮を要請しており、ちぐはぐさは否めない。

 国と地方が連携を強化し、感染防止策を機動的に打てる体制を整えるべきだ。

 そもそも、トラベルのリスクをことさら低く見せようとする姿勢に問題がある。

 菅義偉首相は、延べ4000万人の利用に対し、感染者が約180人にとどまるとの数字を引き合いに出し、「感染拡大の主要な原因という証拠はない」との説明を繰り返している。

 しかし、無症状のまま感染を広げる可能性もある。そうした分析は不十分だ。気の緩みにつながる誤ったメッセージにならないか。

 トラベルの成果にこだわる首相の姿勢が、方針転換の議論をためらわせてきたのであれば、弊害は大きい。今は感染封じ込めを優先し、強くブレーキを踏む時だ。


菅首相の国会答弁 無責任ぶりが際立つばかりだ
<しんぶん赤旗主張>
2020年11月26日(木)

 菅義偉首相が出席し、衆参両院で予算委員会の集中審議が行われました。新型コロナウイルス感染拡大に対する政府の無策や、「桜を見る会」前夜祭をめぐる安倍晋三前首相側の費用補てん問題を中心に、野党は首相をただしました。

首相はコロナ感染を広げた「Go To」事業の誤りをあくまで認めず、「桜」前夜祭での安倍氏の国会の虚偽答弁についても見解を示すことさえ拒みました。あまりに無責任です。国政の焦点課題でまともに議論しようとしない姿勢は大問題です。政権を担う資格そのものが問われます。

前首相のウソ放置なのか

 都内の高級ホテルを会場に開かれてきた「桜」前夜祭の費用の一定額を補てんしていたと安倍氏の周辺が認めたことは、補てんを否定していた安倍氏の国会答弁を根底から覆すものです。

補てんしていた額は2015~19年で800万円以上とも、916万円とも報じられています。ホテルが発行した明細書や領収書の存在も明らかになりました。「明細書はない」などと強弁してきた安倍氏のウソはいよいよ動かせません。

 現職の首相が1年にわたって国会を欺き続けたことは、国会審議の前提を崩すものであり、民主主義を根幹から揺るがす重大事態です。

集中審議では、日本共産党の宮本徹衆院議員と田村智子参院議員をはじめ、立憲民主党などの議員が、「桜」疑惑を取り上げました。ところが菅首相は、安倍事務所のことであり「私の立場では答えられない」とか、検察の捜査中を口実に「答弁を差し控える」と言うばかりです。

安倍氏が虚偽答弁をしていた可能性についても答えません。菅氏が官房長官として、安倍氏の主張に沿った国会答弁をしていたことの責任を問われると、「(安倍氏に)確認していた」と居直りました。

 事実をきちんと確認をせず、安倍氏のウソ答弁をおうむ返しにして、真相を隠ぺいする片棒を担いできたことについて菅首相は責任や痛みを感じないのか。首相の開き直りは、通用しません。

 菅首相は自らの過去の答弁を反省し、「桜」疑惑の全容解明に動くべきです。安倍氏周辺が補てんを認めたことは、いままでと異なる新たな局面です。捜査当局任せにするのでなく、明細書などの資料提出をはじめ国会で徹底解明することが急務です。安倍氏の招致では、ウソを言えば偽証罪に問われる証人喚問として行うことが不可欠です。

 菅首相はコロナ感染対策でも反省がありません。「Go To トラベル」が感染を広げるきっかけになったと専門家の指摘が続いているのに、「Go To」事業に固執し、一部見直ししかしません。

「第3波」到来で、重症患者が急増し、「医療崩壊」が現実のものになっています。雇用も暮らしも深刻で「このままでは年を越せない」と国民の悲鳴が上がっています。従来型の対策から一歩も出ない姿勢を改めるべきです。

国民の苦境を直視せよ

 2020年度第2次補正予算の予備費約10兆円のうち使われていない7兆円以上の使途を、菅政権は臨時国会中に明らかにすべきです。PCR検査の戦略的な抜本拡充、医療機関への強力な財政支援、事業と雇用、暮らしを守り抜くための具体的な対策を一刻も早く示すことが政府の責任です。
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