三菱電機不正 うみは全て出し切れ
<東京新聞社説>
2021年10月14日 08時00分

 三菱電機の品質不正問題に関し、外部の弁護士などでつくる調査委員会が第一弾の調査報告書をまとめた。従業員らが調査委に申告した不正が疑われる事例は延べ二千三百五件に上るという。今年創業百周年。「品質奉仕」を社是に掲げる大企業が抱える闇は深い。

 今回認定された不正は、全二十二拠点のうちの名古屋製作所可児工場(岐阜県可児市)と長崎製作所(長崎県時津町)の二拠点計十八件だけ。会社と調査委は徹底的に現場と向き合い、不正のメカニズムの全容を解明すべきだ。

 可児工場では、早ければ二十七年前から、長崎製作所では三十五年間も不正が続いていた。いずれも組織ぐるみだったが、内部通報は一切無かった。二〇一六〜一八年に三度にわたり、不正をあぶり出すための全社点検を実施していたが、網にかからなかった。

 工場などの現場は人事異動があまりない「閉鎖的な組織」で、「事なかれ主義」がはびこっていたと、報告書は指摘する。「言ったもん負けの文化がある」という社員の声も採録されている。こういった風土が、不正を生み、温存したと、調査委は指摘した。

 産業用施設で使用されるモーターの運転を制御する電気制御機器の製造をしていた可児工場は、認証機関の規格に不適合なのに、認証があると偽って出荷していた。

 悪質なのは、不正の隠蔽(いんぺい)工作をしていたことだ。可児では、製造委託先の協力会社に虚偽の図面を渡して、認証機関に露見しないよう協力を要請。不正に加担するのを嫌がる協力会社を担当者が何度も説得する様子も報告書に収められている。
 長崎では鉄道用空調機器の品質検査で、数値を捏造(ねつぞう)する専用プログラムを開発していた。不正を隠すための労力をなぜ本業の技術力を磨くために使えなかったのか。

 報告書の発表を受けて、三菱電機の漆間啓社長が再発防止策を発表したが時期尚早だろう。品質部門を強化する方針を示したが、問題は現場にあるという認識を経営陣は捨て去るべきだ。不正を長年放置した代々の経営陣の責任は何より重い。
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