連合新体制 存在意義を示せるか
<朝日新聞社説>
2021年10月14日 5時00分
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記者会見する連合の芳野友子会長
=7日、東京都千代田区、藤崎麻里撮影

 労働組合の中央組織・連合の新会長に芳野友子氏が就任した。1989年の連合発足以来、初めての女性の会長だ。

 これまでは大手企業の組合出身者ばかりだったが、芳野氏は中小の製造業が中心の産業別労働組合(産別)の出身。民間労組出身者が占めてきた事務局長には、官公労出身の清水秀行氏が就いた。

 組織内に野党との共闘を巡る意見の相違などを抱え、なかなか候補者が定まらず、届け出の締め切りを延長する異例の事態を経て誕生した新体制だ。目を引く顔ぶれは、連合を取り巻く厳しい現状の反映とも言える。

 一方で、長引くコロナ禍で雇用や暮らしは大きな打撃を受け、働く人たちの待遇改善を求めて活動する労働組合の重要性は増している。新体制のもとで結束し、山積する課題に取り組んでほしい。

 「組合の外にいる方たちにも声をかけ、現場の声をしっかり受け止めて活動を広がりあるものにしていきたい」。就任会見での芳野氏の言葉が、連合の直面する課題を象徴する。

 働き手は多様化し、非正規で働く人は4割近い。フリーランスなど雇用の形をとらない働き方も増えている。足元では労組離れが進み、雇われて働く人のうち労働組合に加入している割合は17%にとどまる。

 デフレ脱却を掲げた安倍政権下では、政府が経営者に賃金引き上げを求め、連合の存在感は薄れた。

 93年の非自民政権、2009年の民主党政権誕生の原動力となった組織力も、野党の分裂で立憲民主党と国民民主党に支持が分かれる状態だ。

 「残業代ゼロ法案」と批判された4年前の労働基準法改正案をめぐる政府、経団連との水面下での法案修正協議は、傘下の労組からも強く批判された。

 組織を立て直すには、目の前の課題に取り組み、成果を上げるしかない。貧困・格差はきたる総選挙でも重要な争点だ。長時間労働、過労死、職場でのハラスメントは後を絶たない。

 コロナ禍で深刻な打撃を受けた非正規労働者やひとり親家庭の多くは女性だ。女性の雇用環境の改善などに取り組んできた芳野氏は、そうした人たちの底上げに強い意欲を示している。

 「非正規の方たちから、連合に入りたいと思って頂けるような運動をしていかなければならない」

 非正規で働く人たちへの取り組みや、賃上げについての考え方は、労組の中でも業種や企業の規模によって様々だ。一つの方向性を示し、経営側や政府と渡り合っていけるのか。連合の存在意義が問われている。