教団への調査 透明性の確保は十分か
朝日新聞社説 2022年11月23日 5時00分
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旧統一教会への質問権行使を了承した11月21日の宗教法人審議会=東京・霞が関の文化庁、井手さゆり撮影

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、政府が宗教法人法に基づく報告徴収・質問権を行使し、調査を始めた。解散命令請求を視野に、組織運営や収支財産に関わる報告を求める。安倍元首相銃撃事件を機に教団が改めて広く問題視されるようになって4カ月余り。政府の対応は新たな段階に入った。

 質問権の仕組みは、オウム真理教事件を機に95年の法改正で導入されたが、今回が行使する初めての例となる。旧統一教会に対して使ってこなかったことを、消費者庁の有識者検討会が批判し、岸田首相も行使を表明。文部科学相の諮問に対し、宗教家や学者らで構成する宗教法人審議会も了承した。

 教団による悪質な献金や勧誘の被害をこれ以上生まないためにも、法に基づいた厳格な対応が必要なのはいうまでもない。だが事を急ぐあまり、国民への説明や透明性確保のための手立てが不十分になっていないかとの疑念も抱かざるを得ない。

 例えば文科省は、教団にどんな報告を求めたのか具体的に明らかにしていない。明らかにすると「権限の効果的な行使ができなくなる」というがなぜか。にわかに納得しがたい。また、審議会にはどんな説明をして諮ったのか。こうした疑問に答えるべきだ。

 審議会自体の情報公開のあり方にも懸念が残る。

 質問権の行使を認めるにあたりどんな議論があったのか詳細は明かさず、解散命令請求をした場合、裁判所の結論が出た後で「議事要旨」として公開するという。なぜ議事録そのものではなく要旨にとどまるのか。

 繰り返すが、教団への対応は急を要している。前例のないなか模索しながら進むのは理解できるが、正当な手続きだったかどうかの議論や後世の検証を可能にするために、透明性の確保はおろそかにすべきではない。

 教団の名称変更を認めた経緯や、解散命令請求の要件について説明が大きく変わった理由など、政府が明らかにしていないことはほかにも多い。そもそも、教団の不法行為責任を認めた裁判例は積み重なっていたのに、なぜこれまで質問権を行使しなかったのか。政治との関係も含めて実態を明らかにしないまま、早く片をつけようというだけの姿勢は許されない。

 宗教法人法は、戦前・戦中の宗教弾圧の反省から、政府の権限を抑制的にすべく作られた。一方で、宗教団体の問題行為を放置し、オウム事件を許した苦い過去もある。そのはざまでかじ取りは難しいが、だからこそひとつひとつの疑問にていねいに答えつつ、目の前の手続きを確実に進める必要がある。