高額献金規制 被害防止へ実効性欠く
東京新聞 2022年12月2日 07時02分
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 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題の再燃を機に、政府が高額献金被害を防止、救済するための法案を閣議決定した。

 野党が主張したマインドコントロール(洗脳)対策も「配慮義務」として盛り込んだが、実効性に疑問が残る。国会では法案修正も視野に審議を尽くすべきだ。

 家庭崩壊や生活困窮など旧統一教会を巡る深刻な被害が続くが、教団が霊感商法から高額献金に資金調達の主軸を移したことで、消費者対策の枠を超えて献金を規制する法律が必要になった。

 法案は主に、
威迫や霊感などの口実の利用に加え、寄付者に借り入れなどを強いる献金の勧誘禁止
▽禁止行為に対する国の勧告・命令と、従わない場合の刑事罰導入
▽献金者の自由意思の抑圧や生活破綻を避けるための勧誘側の配慮義務
▽当人や家族らの献金取り消しの権利−で構成されている。

 「退去困難な場所への同行」や霊感の利用などは反社会的勢力の脅迫や詐欺に等しく、禁止対象とするのは当然だ。

 ただ教団などは反社会的勢力などとは異なり、自主的に献金するよう寄付者の心理を誘導する。

 被害防止には洗脳への対策が不可欠だが、法案はこうした勧誘手段の規制を配慮義務にとどめ、国の勧告・命令や刑事罰の対象外とした。心の状態を法律で認定することは難しいという理由だ。

 政府は配慮義務でも訴訟になれば被害者に有利に働くため、教団は自制するとの見通しに立つが、この読みは甘くないか。
 教団に対する過去の訴訟では、寄付が使命や利益になると思い込ませる誘導は不法行為に当たるとの判断が重ねられてきている。

 しかし、訴訟で違法判決が出た後も、教団による高額献金要求は続いている。洗脳を法律で禁じなければ、高額献金被害が続きかねない。禁止行為に含めるため、法案修正の道を探るべきだ。

 子どもや配偶者が献金を取り戻す権利も対象は養育費などに限られ、しかも献金者に資力がないことが条件だ。子が独立していれば請求すらできない。これでは抑止効果は望めないのではないか。

 法案はNPOなども対象に含めており、NPO側には新法が活動の妨げにならないかとの不安がある。こうした懸念を拭うには、政府や国会による丁寧な説明が必要であることは言うまでもない。