文鮮明氏発言録と自民 
関わりの再調査が必要だ
毎日新聞 2022/12/7
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 なぜ自民党はこのような教団と長年関係を持ち続けてきたのか。疑問は増す一方だ。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)創始者の文鮮明氏が行った説教の発言録の内容を、毎日新聞が日本の教団広報部に内容を確認した上で報じた。

 1998年に韓国の信者に向け、日本国内にある預貯金を「皆さんのためのもの」と語った。80年代以降、霊感商法や高額献金のトラブルが問題になっていた。

 教団は現在、日本と韓国の関係は「対等」だと強調するが、当時は日本を活動の「資金源」とみなしていたことがうかがえる。

 文氏は2002年に日本の天皇を「平凡」と表現し、その後、長崎県の対馬を「韓国の土地」と明言した。伝統と国益の「保守」を掲げる自民の主張と相いれない。

 反共産主義や家族観で同調したとしても、根底にある文氏の考えを知らなかったのか。それとも、選挙支援を受けることを優先して目をつぶったのだろうか。肝心の疑問が解消されていない。

 教団が政界工作の足がかりにしたのが、安倍晋三元首相の祖父・岸信介元首相を源流とする派閥・清和会(現安倍派)だった。冷戦下、反共政治団体「国際勝共連合」を発足させ、文氏は「岸首相(の時)から私が(日本の政界に)手を出した」と振り返っていた。

 89年の説教では、安倍氏の父・晋太郎元外相が領袖(りょうしゅう)だった清和会を中心に、国会議員との関係強化を図るよう訴えていた。地方議員への働きかけも呼び掛けた。06年に第1次安倍晋三政権が発足した直後には、安倍氏の「秘書室長」との面会を信者に指示した。

 教団は発言録について「信者の拝読用で、行動指針として特別に使われることはない」と説明する。だが、実際、党の調査で接点が最も多かったのは安倍派だ。各地の地方議会でも関わりが明らかになっている。

 働きかけを受けていたとされる安倍氏は21年に教団関連団体のイベントにビデオメッセージを送り、清和会の領袖だった細田博之衆院議長も接点があった。

 自民は「関係を絶つ」と言う。全容の解明には、過去の経緯を含め、細田、安倍両氏についての調査は避けて通れないはずだ。