水原元通訳、容疑認める 
不正送金、司法取引が成立
毎日新聞  2024/5/9 東京夕刊
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記者会見に臨むドジャースの大谷翔平選手(右)と通訳を務めていた水原一平氏
=ソウル市内で16日、坂口裕彦撮影

 米司法省は8日、違法なブックメーカー(賭け屋)への借金返済などを目的に、大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(29)の銀行口座から不正に1700万ドル(約26億4500万円)近くを送金したとして銀行詐欺容疑で訴追された元通訳の水原一平容疑者(39)が連邦検察との司法取引に応じ、容疑を認めることで合意したと発表した。訴追内容の認否は14日に西部カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦地裁で行われる。

 水原容疑者には別に虚偽の納税申告をした容疑もあり、全て有罪になれば最高で禁錮計33年が科されるが、司法取引の成立で減軽される可能性がある。

 裁判資料によると、水原容疑者は2021年11月~24年1月、スポーツ賭博の負けで生じた借金を返済するため、計41回にわたり大谷選手の口座から賭け屋の関連口座などに送金。野球カードの購入などでも同じ口座を使った。その間24回前後、大谷選手になりすまして銀行に電話していた。盗んだ金は総額で1697万5010ドル以上になるとしている。

 また、水原容疑者が22年の納税申告で410万ドルの追加所得を故意に申告していなかったことも明らかになった。この未申告分は、大谷選手の口座から不正に取得したものだという。

 水原容疑者は、起訴するか判断する大陪審の審理を受ける権利を放棄し、事実関係を争わないことでも合意した。裁判資料の中で「容疑を認めているのは、私が罪を犯したからだ」と述べ、大谷選手に対して賠償する責任があることも理解しているという。

 水原容疑者は4月11日に訴追され、翌12日にロサンゼルスの連邦地裁に出廷。これに先立ち、捜査当局に出頭して一時身柄を拘束され、その後保釈された。【ニューヨーク中村聡也】

日本へ強制送還の可能性

 水原容疑者が、日本に強制送還される可能性があることが、8日に公開された裁判資料で明らかになった。

 資料によると水原容疑者が米国市民でない場合、裁判で有罪になると米国から追放または送還されることが事実上避けられない。さらに将来的に米国への入国が拒否される可能性もある。水原容疑者は既に弁護人と協議し、この点についても理解しているという。