石破首相の国会答弁
嘘とごまかしでは逃げられぬ
しんぶん赤旗 主張 2024年12月10日(火)
嘘(うそ)とごまかしに終始する石破茂首相の国会答弁は、政治家としての不誠実さと、総選挙での審判を受けてもなお裏金問題への国民の怒りに向き合あわずやりすごそうとする姿を如実に示しています。衆院本会議と予算委員会での日本共産党の田村智子委員長の追及への答弁はその典型です。
■嘘の上に嘘重ねる
総選挙で石破首相は裏金議員の一部を非公認とし「それがどれほど厳しいものか」と処分の重さをアピールしました。ところが実際には、裏金非公認候補にも公認候補と同額の2千万円を配っていました。
本紙のスクープでそれが暴露されると、「(党勢拡大のために)政党支部に出しているのであって、非公認候補に出しているのではない」「そのような報道に負けるわけにいかない」と選挙中の街頭演説で憤慨してみせました。
しかし、本紙日曜版(11月10日号)のさらなる報道で、公明党を応援し自民党が候補者を立てなかった選挙区支部には2千万円を支給しなかったことが判明。党勢拡大のためなら候補者がいない支部にも支給するはずで、石破首相の演説は有権者を欺く嘘でした。
これを本会議で田村委員長に突かれた石破首相は「支部が存在しない場合には、当然ながら支給していない」と答えにならない答えでごまかしました。
予算委員会で重ねて追及されると当初は、自民党候補のいない支部にも支給していると答えました。そこで田村氏が日曜版の記事を突きつけると、今度は、自民党候補がいない支部に「自民党が出ておる支部と同等の対応をしているということは、むしろおかしい」と2千万円不支給を認め、開き直りました。
さらに、それに続く答弁では「そういうところにも、広報、政策の周知などに当然拠出をしておる」としたうえで、自民党候補がいないところ(2千万円不支給)と裏金非公認候補のところ(2千万円支給)では「当然、事情は異なる」とはぐらかし、「倫理的な後ろめたさはない」と無反省ぶりを示しました。
■公然たる開き直り
石破首相答弁の特徴は、「私の経験では」などと長々と持論をのべ、木で鼻をくくる官僚答弁と違うように装いながら結局、従来の政府答弁を出ないことです。
それどころか、企業・団体献金禁止をめぐって野党に追い詰められるなかで「企業・団体献金そのものが悪だという話にはなりません」と公然と開き直り、30年前の「政治改革」で政党助成金の導入と引き換えに企業・団体献金廃止の方向となったことについて、「そういう事実は実際にございません」と否定までしはじめました。
1994年の政治改革法は、リクルート事件など金権腐敗事件が相次いだことへの国民の批判を受け、政治家個人への企業・団体献金を禁止し、政党や政党支部への献金は5年後の見直しを行うという付則を盛り込みました。企業・団体献金が政治をゆがめることへの反省から禁止が求められたのは明らかです。
嘘とごまかし、開き直りは国民のさらなる不信と怒りを呼ぶだけです。それで逃げられると思うなら大きな間違いでしょう。