講和条約と米軍基地
これで独立国家といえるのか
しんぶん赤旗主張 2025年4月28日(月)
4月28日は、日本がサンフランシスコ平和(講和)条約によって、「独立国」になった日です(1952年)。しかし同時に結ばれた安保条約(旧)によって米軍基地が占領時のまま居座り、現在も130カ所の基地が存在しています。
戦後80年―。その実態は、これで独立国家といえるか、を問いかけています。
■占領の継続として
「私は、日本はまだ真の独立国家とはいえない、と思っています。…世界に米軍基地を置いている国は数多(あまた)ありますが、条約上の義務として受け入れているのは日本だけです」。石破茂首相は昨年夏に出版した著書でこう認めています。一国の責任者になろうとする者がこんなことを言うこと自体、異様なことです。
米国は「日本のどこであれ、必要と思われる期間、必要と思われるだけの軍隊を置く権利」(米対日講和方針)を求め、世界に例のない「全土基地方式」を押しつけました。その結果、占領軍の基地面積の95%が継続しました。引き継がれた基地数659のなかには、東富士演習場や佐世保基地など日本の合意がないまま文字通り居座った基地も50ありました。
■治外法権的な特権
現在、日本は毎年、在日米軍のため「思いやり予算」など8000億円以上も負担しています。戦闘関連施設から豪華なレクリエーション施設、バーテンダーから観光ガイドまで日本が提供しています。
そのなかには、米情報機関のための日本の出版物等の翻訳経費もあり、「日本はたぶんほかの国に金を払って自分をスパイさせている唯一の国だろう」(チャルマーズ・ジョンソン『アメリカ帝国の悲劇』)と皮肉られています。
日米地位協定によって米軍には日本の法律が適用されず、基地を自由に使用でき、日本が裁判権を放棄するなど治外法権的特権で守られています。沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故(2004年)は、「沖縄の警察は入ることもできなかった。すべての機体の残骸は米軍が回収していった。これが主権国家なのか」(昨年の総裁選での石破氏の発言)と言うありさまでした。
各地で米軍の横暴な振る舞いに抗議し、飛行差し止めや騒音賠償を求める裁判がおこなわれ、700億円以上の賠償金が支払われています。地位協定では米側が多く負担する決まりですが、実際には支払いを拒否するため、日本がすべて肩代わりしています。
ここまで米軍を優遇する国は他に例がありません。ところがトランプ大統領は「日米同盟絶対」で主権国家としての誇りもない自民党政治の足元を見てさらなる駐留経費負担をふっかけています。どこまで図々(ずうずう)しいのでしょうか。
米軍基地はもともと日本防衛のためでなく、米戦略のための拠点として存在しています。在日米軍に日本防衛を任務とする部隊はありません。
いま、トランプ氏の登場で、「同盟国」である意味が根底から問われています。いったい、日本はいつまで米軍に基地を提供し続けるつもりでしょうか。戦後80年、いまこそ主権国家としての道に踏み出すべきときです。