停滞する再エネ導入 更なる普及へテコ入れを
毎日新聞 2026/2/17 東京朝刊

メガソーラー開発計画を未然に防ぐため北海道鶴居村が日本ナショナル・トラスト協会と共同で購入する予定のタンチョウのねぐら近くの民有地(左上)=同村で2025年11月26日午後2時14分、山口智撮影
電力の安定供給と脱炭素化の両立に欠かせない太陽光や風力発電の導入にブレーキがかかっている。
高市早苗政権は「原発の活用」にこだわるが、再生可能エネルギーの更なる普及に向けたテコ入れこそが急務だ。
高市早苗政権は「原発の活用」にこだわるが、再生可能エネルギーの更なる普及に向けたテコ入れこそが急務だ。
2011年の東京電力福島第1原発事故以降、政府の支援策を追い風に太陽光の導入が加速した。23年度の電源構成比率は事故前の約30倍となる10%弱となった。国のエネルギー基本計画は40年度に23~29%に高める方針を示す。
だが、足元では逆風が吹く。
メガソーラー開発を巡り、環境や景観への悪影響を懸念する地元との摩擦が顕在化している。北海道では釧路湿原の貴重な生態系を壊すとして反対運動が起きた。
これを受け、政府は環境規制を強化し、27年度からメガソーラー新設への支援を打ち切る方針だ。乱開発に歯止めをかけることは必要だが、太陽光の普及を停滞させては元も子もない。
懸念されるのは、首相がこれまでの普及策に否定的な姿勢を示していることだ。「私たちの美しい国土を外国製の太陽光パネルで埋め尽くすことに猛反対だ」と述べた。中国製パネルの使用を問題視しているようだが、圧倒的なシェアを占める中国製を排除しては事業が成り立たない。
代わりにビルの壁面などに張って使える国産のペロブスカイト太陽電池の導入を推進するという。だが、実用化には時間がかかる。
国が公募した洋上風力開発の第1号案件も頓挫した。資材価格高騰などが原因だ。このままでは40年度に再エネ比率を4~5割に引き上げる目標を達成できず、50年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする国際公約も守れない。
原発は再稼働が順調に進んでも40年度の電源構成比率が2割にとどまる。再エネ拡大なしには、人工知能(AI)の普及で増加する電力需要を賄いきれない。
太陽光は規制強化一辺倒ではなく、地元と共生できる仕組みを整えるべきだ。工場の屋根など新設の余地も大きい。洋上風力は、企業が投資回収を見通せる環境づくりが欠かせない。
再エネを軸に脱炭素時代に対応したエネルギー戦略を再構築することが求められている。




国の中長期のエネルギー政策の方向性を示す「第7次エネルギー基本計画」の原案が公表されました。
