維新の大阪ダブル選 民意もてあそぶ自作自演
毎日新聞 2026/1/18 東京朝刊

出直し選挙について記者会見する吉村洋文大阪府知事(右)と横山英幸大阪市長=大阪市中央区で2026年1月15日午後8時42分、大西岳彦撮影
衆院解散に乗じて自党の主張を通そうとダブル選を強行する。選挙の私物化と言わざるを得ない。
日本維新の会代表の吉村洋文・大阪府知事と、副代表の横山英幸・大阪市長が任期途中で辞職し、出直し知事・市長選に立候補すると表明した。投開票日は衆院選と同日となる見通しだ。
吉村氏は大阪都構想を争点にする考えを示した。大阪市を廃止して特別区を設置するもので、維新は創設時から旗印としてきた。自民党との連立合意に、首都機能をバックアップする「副首都構想」を盛り込んだのも、都構想を後押しするためだ。
告示は知事選が22日、市長選が25日とみられ、準備期間はあまりにも短い。抜き打ち的なやり方では現職が有利になる。当選したとしても、都構想にお墨付きが与えられたとは言えない。

大阪府庁本館=大阪市中央区で2024年10月22日午後3時2分、本社ヘリから
都構想には二重行政を解消し、大阪の成長につなげる狙いがあるという。だが、2015年と20年の2度にわたり、市内の有権者を対象とした住民投票で否決されている。それでも改めて持ち出すのであれば、必要性についてさらなる説明が求められる。
任期満了が来年4月に迫る中、都構想だけを争点として選挙に踏み切る意義を見いだすことは難しい。党内からも疑問視する声が上がる。現職が当選した場合、残り任期が終わる約1年後に首長選を行う必要があり、さらに費用がかかることになる。
有権者は、4年間の自治体のかじ取りを首長に負託したはずだ。にもかかわらず、維新は過去にも都構想への支持を得るため、任期途中の出直し選を繰り返してきた。民意をもてあそぶような振る舞いが目に余る。
維新では不祥事が相次ぐ。国民健康保険料の支払いを逃れたとして、元職を含む地方議員6人が除名処分となった。藤田文武共同代表は、身内とも言える公設秘書の会社にビラ印刷などを発注し、公金を支出していた。ダブル選によって目をそらせようとしているのなら問題である。
衆院選で埋没せぬよう、ダブル選との相乗効果で票を伸ばそうとする思惑も透けて見える。党利党略そのものであり、有権者に対して不誠実だ。








