日産経営悪化 体制の刷新を急がねば
東京新聞 2024年11月16日 07時04分
日産自動車のロゴ
日産自動車の経営が急激に悪化している。2024年9月中間決算は最終的なもうけを示す純利益が前年同期比で93.5%減少し、同社は経営危機を乗り越えるために国内外で9000人を人員削減すると公表した。
裾野が広い自動車産業は各地域の雇用を支える基幹産業であり、日産もその一翼を担う。大規模な人員削減に踏み切るなら、経営体制を刷新した上で抜本的な出直しを図らねばならない。
日産の業績悪化は、世界の自動車販売の約半分を占める米中市場での売り上げ不振が主因。米国では電気自動車(EV)からハイブリッド車(HV)に流れる需要の変化に追いつけず、中国では現地メーカーとの競争で苦戦した。
日産は3月、世界販売を年100万台増やす計画を発表したが、今回生産能力の削減も公表した。わずかな期間で経営方針を根底から覆した形で、計画自体に無理があったと指摘せざるを得ない。
その直前、日産は下請け業者に納入代金の減額を強要したとして、公正取引委員会から下請法違反による勧告も受けている。
米中市場での戦略の甘さや経営計画の事実上の撤回、下請けいじめの悪質性を踏まえれば経営責任は重いはずだが、内田誠社長は役員報酬の50%返上を公表したものの続投の構え。人員削減を迫る経営者として責任の取り方が十分なのか疑問は残る。