No Nukes 原発ゼロ

初代「No Nukes 原発ゼロ」 の後続版です。 政治・原発問題などを中心に、世の中の「気になる動き」をメモします。

毎日新聞

柏崎刈羽原発6号機の原子炉停止へ 
前日に再稼働 警報で作業中断 
毎日新聞 2026/1/22 18:38
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新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の7号機(左)と6号機
=2025年11月、本社機「希望」から

 東京電力ホールディングス(HD)は22日夕方、前日に再稼働させた柏崎刈羽原発6号機(新潟県)の原子炉を停止すると発表した。22日未明に原子炉から制御棒を引き抜く際に警報が鳴り、作業を中断していたが、原因究明に時間がかかると判断した。
記者会見した同原発の稲垣武之所長は「1日、2日で片が付くとは思っていない。何日かかるか全く言えない」と述べた。

 東電は、外部への影響や施設の安全性に問題はないとしている。ただ柏崎刈羽原発では制御棒を巡る別のトラブルが17日に発生し、当初予定した20日の再稼働を1日延期したばかり。再稼働直後に再びトラブルが発生して原子炉を停止するのは異例の事態で、同社の管理態勢が問われそうだ。

 東電HDは21日午後7時2分、柏崎刈羽6号機の原子炉を14年ぶりに起動した。同8時28分には核分裂反応が安定的に続く「臨界」に到達していた。だが、22日午前0時28分ごろ、制御棒の操作を監視するシステムで警報が鳴り、制御棒を引き抜く作業を中断し、原子炉を起動したまま原因を調査していた。

 東電が原発を再稼働させたのは、2011年福島第1原発事故後初めて。今後各種試験や原子力規制委員会の検査を経て、2月26日の営業運転開始を目指していた。

 同社は「安全最優先で慎重に対応していく」とコメントした。【中島昭浩】

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「議員辞職して命守る」 健康不安の山本太郎氏、
れいわ代表は続投
毎日新聞 2026/1/21 15:14
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参院本会議で代表質問を行うれいわ新選組の山本太郎代表=国会内で2025年11月6日午後4時12分、平田明浩撮影

 れいわ新選組の山本太郎代表(51)は21日、健康上の理由で参院議員を辞職すると発表した。代表は続けるが「無期限の活動休止に入る」とし、27日公示、2月8日投開票の衆院選にも立候補しない考えを示した。

 山本氏は党のYouTubeチャンネルの動画で「多発性骨髄腫の一歩手前にいる」と明かした。人間ドック後の再検査で判明したといい、「議員を辞職して自分の命を守る行動に入る。いつ最前線に帰ってこられるかは分からない」と述べた。

実質的な代表業務は大石晃子、櫛渕万里の両共同代表が担うとし、「私はポイントで必要な意思決定を行うとか、業務量をさらに大幅に減らした対応で関わっていく」と語った。

 2011年の東日本大震災をきっかけに反原発運動を始め、13年7月の参院選で初当選。19年4月にれいわを設立し、代表に就いた。同7月の参院選で落選後、21年10月の衆院選で当選。衆院議員を辞職して臨んだ22年7月の参院選で当選し、通算2期目だった。

 山本氏は「誰に言われるわけでもなく、強制されるわけでもなく、自分の意思でとことんまで完全燃焼を目指す14年間だった」と振り返った。一方で「どうしてこうなったのだろうと自分なりに考えた時に、過度なストレスが最も大きな原因だろうと感じている」とも述べた。【富美月】

幻の「2月1日投票」案 急転直下の衆院解散、
裏で揺れ続けた高市首相
毎日新聞 2026/1/19 18:11(最終更新 1/19 20:22)
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首相官邸に入る高市早苗首相=首相官邸で2026年1月19日午前11時53分、平田明浩撮影

 高市早苗首相が23日召集の通常国会冒頭での衆院解散を表明した。新年度予算案の年度内成立が極めて困難となる日程に、野党は批判を強め、与党も困惑する。なぜこのタイミングなのか。

実は政権内に、年度内の予算成立の可能性を残す日程の「幻の解散案」があった。首相はこの案を見送ったにもかかわらず、急転直下で投票日が遅れる日程での解散に突き進んだ。ちぐはぐに見える決断から、最後まで揺れた首相の姿が浮かぶ。

昨年末ごろは早期解散に慎重

 「私、やらないと言っちゃったから」

 首相は昨年末ごろ、冒頭解散を進言した自民党関係者に、慎重な考えを示したという。「(早期解散に)反対する人が多いのよね」とも周辺に漏らしていた。

 高い内閣支持率を追い風にするなら早いほど有利だ、との説明にも首相は納得しなかったという。自民関係者は「首相は政策実現を後回しにして選挙をやるのは無責任だとの考えが強かった」と振り返った。

 首相は就任以来、物価高対策など経済政策に最優先で取り組む考えを繰り返し表明してきた。臨時国会閉会を受けた昨年12月17日の記者会見でも、新年度予算の対応などやるべきことが山積しているとして、解散を「考えている暇がない」と述べた。
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衆院予算委員会で議事を進行する枝野幸男予算委員長(右)。左から片山さつき財務相、高市早苗首相=国会内で2025年11月7日午前9時、平田明浩撮影

 首相が早期解散に慎重だった証左といえるのが、「幻の解散案」を見送ったことだ。投票日は今回の2月8日より1週間早い2月1日とされた。

「ギリギリの日程」悩んで見送り

 進言した首相側近が描いたスケジュールは、1月5日の年頭記者会見で解散を表明した上で通常国会を16日に召集し、冒頭で解散するものだった。この案でも予算案の審議入りは遅れるが、衆院選で自民が大勝すれば、立憲民主党の枝野幸男氏が務める衆院予算委員長ポストを自民が奪還できるため、「スピード審議」で年度内成立にこぎ着けられるとの算段だった。
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高市早苗首相の解散判断を巡る主な経緯②

 解散表明の1月5日から投票日の2月1日まで間隔があり、自治体の選挙準備に必要とされる約1カ月の期間も確保されていた。首相側近は、冒頭解散と年度内予算成立が両立できる「ギリギリの日程」として決断を求めたが、首相は悩んだ末に見送った。

総務省、内々に選挙準備

 これを受け政府は昨年12月25日ごろ、通常国会を1月23日に召集する意向を水面下で自民幹部に伝達した。23日に国会冒頭で解散した場合、予算の年度内成立は絶望的となる。党内で「冒頭解散は見送り」との見方が広がったのはこのためだ。13~16日に韓国、イタリア両首脳と国内で会談する外交日程も入っていった。

 ところが、首相の判断は冒頭解散に傾いていく。相談を受けたのは、首相の信頼が厚い木原稔官房長官、「積極財政路線」の実現に欠かせない片山さつき財務相、一部の官邸幹部など数人のみ。事情を知る周辺は、「年末は迷っていたが1月初旬に決断した」と証言する。
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「年収の壁」をめぐる協議を終え、署名を終えた合意文書を手に言葉を交わす高市早苗首相(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表=国会内で2025年12月18日午後5時、平田明浩撮影

 実際、読売新聞オンラインが9日深夜に「首相が解散を検討」と報じる前の日中、総務省は選挙準備を内々に始めていた。「官邸から指示が下りていたのではないか」(ある衆院議員)との見方もある。総務省は10日、土曜日にもかかわらず、報道を理由に各都道府県選挙管理委員会へ準備依頼の通達を出した。

国民の連立入りが暗礁に

 首相の判断に影響を与えたとみられるのは、国民民主党の連立入りが暗礁に乗り上げたことだ。

 首相と国民民主の玉木雄一郎代表が昨年12月18日に「年収の壁」引き上げで合意した際、合意文書には新年度予算案を「年度内の早期に成立させる」と明記されていた。国民民主から協力の確約を得たことで、春までの政権運営の見通しが立った。首相はこの時点では、年明け早々の解散を考えていなかったことになる。

 国民民主が連立入りする機運が自民内で一気に高まり、自民の麻生太郎副総裁や萩生田光一幹事長代行らを中心に、水面下で交渉が進められた。だが、「玉木氏は煮え切らなかった」(官邸関係者)という。
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高市早苗首相の解散判断を巡る主な経緯③

 関係者によると、玉木氏は通常国会で与党に協力して実績を積み上げ、春以降に想定された次期衆院選で議席を伸ばした後、秋ごろの連立入りを想定していた模様だ。連立の枠組み拡大を急ぎたい自民側と、すれ違いが生じた。

維新とは関係ギクシャク

 与党幹部は「玉木氏は判断がぶれるから、重要な局面で信用できない」と周囲に漏らした。連立を組む日本維新の会との関係がギクシャクする中、安定政権を構築するには衆院選で議席を増やすしかない状況となったことで、「首相も解散やむなしとなった」(自民関係者)との見方が強まっている。

日中関係悪化も背景に?

 6日には、中国政府がレアアース(希土類)などを含む可能性がある軍民両用(デュアルユース)品目の対日輸出禁止措置を発表した。

官邸関係者はこれも判断を後押しした可能性があるとして、「海外から高市政権は、(衆院は)少数与党で弱いとみられている。選挙で勝ち強い政権が続くと国内外にアピールできれば、中国は戦略を変えないといけなくなる」と解説する。
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自民党の役員会に臨む高市早苗首相(奥中央)。右から有村治子総務会長、麻生太郎副総裁、奥左から小林鷹之政調会長、鈴木俊一幹事長=同党本部で2026年1月6日午前10時52分、平田明浩撮影

 日中関係の悪化は、台湾有事を巡る首相の国会答弁が契機だったが、側近閣僚からも「今は少数与党で、維新がいつ離れるか分からない。自民単独で過半数を取れるようにした方がいい」などと説得を受け、最終的に決断したとみられる。

「経済最優先」と矛盾

 首相の判断が揺れ動いた結果、「経済最優先」の立場と矛盾を生んだ。選挙を取り仕切る自民幹部にすら事後通告で、「行き当たりばったりで戦略を感じられない」(閣僚経験者)との声が上がる。【鈴木悟、高橋祐貴、遠藤修平、野間口陽】

維新の大阪ダブル選 民意もてあそぶ自作自演
毎日新聞 2026/1/18 東京朝刊
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出直し選挙について記者会見する吉村洋文大阪府知事(右)と横山英幸大阪市長=大阪市中央区で2026年1月15日午後8時42分、大西岳彦撮影

 衆院解散に乗じて自党の主張を通そうとダブル選を強行する。選挙の私物化と言わざるを得ない。

 日本維新の会代表の吉村洋文・大阪府知事と、副代表の横山英幸・大阪市長が任期途中で辞職し、出直し知事・市長選に立候補すると表明した。投開票日は衆院選と同日となる見通しだ。

 吉村氏は大阪都構想を争点にする考えを示した。大阪市を廃止して特別区を設置するもので、維新は創設時から旗印としてきた。自民党との連立合意に、首都機能をバックアップする「副首都構想」を盛り込んだのも、都構想を後押しするためだ。

 告示は知事選が22日、市長選が25日とみられ、準備期間はあまりにも短い。抜き打ち的なやり方では現職が有利になる。当選したとしても、都構想にお墨付きが与えられたとは言えない。
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大阪府庁本館=大阪市中央区で2024年10月22日午後3時2分、本社ヘリから

 都構想には二重行政を解消し、大阪の成長につなげる狙いがあるという。だが、2015年と20年の2度にわたり、市内の有権者を対象とした住民投票で否決されている。それでも改めて持ち出すのであれば、必要性についてさらなる説明が求められる。

 任期満了が来年4月に迫る中、都構想だけを争点として選挙に踏み切る意義を見いだすことは難しい。党内からも疑問視する声が上がる。現職が当選した場合、残り任期が終わる約1年後に首長選を行う必要があり、さらに費用がかかることになる。

 有権者は、4年間の自治体のかじ取りを首長に負託したはずだ。にもかかわらず、維新は過去にも都構想への支持を得るため、任期途中の出直し選を繰り返してきた。民意をもてあそぶような振る舞いが目に余る。

 維新では不祥事が相次ぐ。国民健康保険料の支払いを逃れたとして、元職を含む地方議員6人が除名処分となった。藤田文武共同代表は、身内とも言える公設秘書の会社にビラ印刷などを発注し、公金を支出していた。ダブル選によって目をそらせようとしているのなら問題である。

 衆院選で埋没せぬよう、ダブル選との相乗効果で票を伸ばそうとする思惑も透けて見える。党利党略そのものであり、有権者に対して不誠実だ。

潜水艦巡る川重の不正 なれ合い体質決別せねば
毎日新聞  2026/1/18 東京朝刊
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川崎重工業神戸工場で船台から進水した海自の潜水艦「はくげい」。
これに搭載されたエンジンのデータにも不正があった
=2021年10月14日、中田敦子撮影

 なれ合いの構造が、長年続いた不正の背景にあるのではないか。事業者と防衛省は徹底して検証する必要がある。

 海上自衛隊の潜水艦用のディーゼルエンジンについて、製造する川崎重工業が30年以上にわたり、燃費性能のデータを改ざんしていたことが明らかになった。

 自衛隊側が示した基準を満たしているかのように装うため、数字を意図的に操作していた。

 海自が運用する潜水艦のエンジンはすべて川重製だ。納入当初から基準を達成できていないにもかかわらず、独占状態であることに安住して不正を繰り返していた。

 既に退役したものを含め、33隻分で改ざんがあった。このうち23隻は現役だ。

 潜水艦としての性能に問題はないというが、防衛装備品の信頼を揺るがす深刻な背信行為である。防衛省は川重を2・5カ月間の指名停止にした。相当額の返還も求める方針だ。

 試験には防衛省の職員も立ち会っていた。不正を長年、見過ごしてきた責任は免れない。

 川重を巡っては潜水艦の修理に際し、艦内で使う備品に加え、ゲーム機などの私物まで隊員に提供していたことも判明している。こうした不適切な関係は約40年前から続いていた。

 防衛装備品の製造、開発は専門性や情報の機密性が高く、新規参入が極めて難しい。競争による規律が働きづらい環境だからこそ、自衛隊と防衛産業に関わる企業には、高い規範意識と厳格なチェック体制が求められる。

 政府は2027年度までの5年間で計43兆円に上る防衛力整備計画を進めている。高市早苗政権は官民に投資を促す重点17分野の一つに防衛産業を指定し、武器輸出の拡大にも意欲をみせる。

 川重が26年3月期決算で過去最高益を見込むなど、防衛関連企業は軒並み好業績が続く。株価も高騰している。

 しかし、防衛装備品の調達では過去にも談合事件や経費の水増し請求が繰り返されてきた。不祥事を二度と起こさない体制を構築することが不可欠だ。

 防衛力強化が国民の重い負担に支えられていることを忘れてはならない。

高市首相、衆院解散へ
2月8日投開票軸に調整 戦後最短期間
毎日新聞  2026/1/14 18:56
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訪問先の奈良から戻った高市早苗首相=首相官邸で2026年1月14日午後1時40分、平田明浩撮影

 高市早苗首相は14日、首相官邸で自民、日本維新の会両党の幹部と会談し、23日召集の通常国会の早期に衆院を解散する意向を伝達した。会談後、出席者が明らかにした。首相はこれまで水面下で早期解散を検討してきたが、解散の意向を正式に与党幹部に伝えるのは初めて。衆院選は石破茂政権だった2024年10月以来となる。党関係者によると、首相は「27日公示―2月8日投開票」の日程を軸に調整を進めている。

 首相は14日午後、自民の鈴木俊一幹事長、連立を組む維新の吉村洋文代表(大阪府知事)、藤田文武共同代表の4者で会談した。吉村氏は会談後、記者団に「首相から通常国会の早期に解散するという伝達を受けた」と明らかにした。

 首相はこれまで物価高対策を最優先に掲げ、国民民主党とは26年度予算案などの年度内成立で合意していた。解散により予算案の審議入りがずれ込み、25年度内の成立は極めて厳しくなる。

 2月8日投開票の場合、解散から16日間となり、21年衆院選の17日間より短く、戦後最短となる。首相は、解散が物価高対策優先の方針と矛盾するとの指摘があることを踏まえ、予算案の国会審議への影響を最小限に抑えるため、短期決戦の判断に傾いているとみられる。

 今後焦点となるのは、正式な解散表明の時期と解散の大義だ。

 首相は、15~17日の日程で来日するイタリアのメローニ首相と首脳会談を予定しているほか、17日は1995年に阪神大震災が発生した日で、犠牲者を追悼する行事が行われる。自民内からは首相の解散表明について「17日以降になるだろう」(閣僚関係者)との見方がある。

 解散の大義について、政権幹部は「連立の枠組みが替わり、政権の方向性も全く変わった。国際情勢も年明けからさまざまなことが起こっている中、信を問うことは十分にありうる」との認識を示した。

 衆院選を巡っては、立憲民主党の野田佳彦代表が公明党の斉藤鉄夫代表と会談し、選挙協力を要請した。両党は中道勢力を結集し、比例代表で統一名簿をつくる案を検討している。さらに維新の吉村氏が衆院選に合わせて辞職し、出直し知事選への出馬の意向を固めるなど各党の動きが活発化している。【大野航太郎、高橋祐貴、園部仁史】

海図なき世界 経済格差と分断
支え合う社会の再構築を
毎日新聞 2026/1/13 東京朝刊
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東京証券取引所の大発会後、日経平均株価を表示するモニター
=東京都中央区で2026年1月5日、後藤由耶撮影

 日本経済は株高によって富裕層が潤う一方、物価高で多くの国民の暮らしが圧迫される状況が続いている。懸念されるのは、格差拡大への不満が強まり、社会の分断が深まることだ。

 東京タワーが目の前にそびえる都心の公園で先月、移民政策に反対する集会が開かれた。「消費税反対」を掲げたのぼりも立てられ、寒空の下、100人以上が気勢を上げて街頭デモに繰り出した。

 「大企業の賃上げは高水準だが、中小企業はわずかだ。物価高がきつく、日々の生活で精いっぱい。安い給与で働く外国人が日本に来ると、自分たちの給与が上がらない」と30代の男性は参加した理由を語った。

 建設現場で働くが、給与は最低賃金に近く、年300万円に届くかどうかだ。「貯金に回せず結婚もできない。結婚しても子どもを持てるのか。消費税を廃止し、日本人を支援すべきだ」と訴えた。

外国人・財政に不満噴出
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一年の幸せを願う参拝者たち
=さいたま市大宮区の武蔵一宮氷川神社で2026年1月1日、田原拓郎撮影

 「所得が低く、社会から取り残されたと感じる人たちの不満が物価高で一段と高まっている。矛先は、急速に増えた外国人や、国民に負担を求める財政に向けられている」とニッセイ基礎研究所の鈴木智也准主任研究員は指摘する。

 こうした不満が交流サイト(SNS)で拡散され、一気に噴出したのが最近の国政選挙だ。外国人への規制強化を声高に叫んだり、財源そっちのけで大規模な減税を要求したりする政党が躍進した。

 背景には、戦後の経済成長を支えてきた中間層の衰退がある。

 かつては安定した収入を得られる正社員が多く、「1億総中流」と呼ばれたが、バブル崩壊後に低賃金の非正規労働者が増えた。

 国民の年収の中央値は1995年に550万円だったが、2023年は410万円に低下した。年収400万円未満の世帯の比率は34%から49%と大幅に増えた。

 分断は米欧で深刻だ。米国では製造業が衰退し、「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる地域の人が、移民排斥や減税を訴えるトランプ大統領当選の原動力になった。欧州でも反移民を唱える政党が勢力を拡大する。日本にもその波が押し寄せている。

 しかし、排外主義やばらまき財政は答えにならない。社会や経済の持続性を脅かすからだ。

 日本の人口は今の1億2000万人台が60年代には8000万人台に急減すると国立社会保障・人口問題研究所は推計している。外国人の働き手を確保できなければ、社会の機能を保つのは困難だ。

 国と地方の借金も計1300兆円を超え、先進国で最悪の水準にある。借金頼みが一段と深刻化すれば、社会保障費が急増する超高齢社会を乗り切れなくなる。

 高市早苗首相の対応も危うい。

 外国人政策では規制強化を打ち出している。排外主義の風潮をあおれば、日本が外国人に選ばれなくなる事態も予想される。

 「積極財政」も掲げ、大型補正予算で多額の国債を発行した。金融市場で懸念が広がり、長期金利が急上昇した。国債の利払い費がかさみ、財政を更に苦しくする。

持続可能な将来像こそ

 東京大の谷口将紀教授は「政治が目先の利益を優先するポピュリズムに陥ってはならない」と警鐘を鳴らす。「疎外感を抱く人が増えたという構造的な問題があり、中間層の再生が必要だ。生活や社会保障が持続可能という展望が得られた時に初めて国民は安心して消費に向かい、経済が安定した成長軌道に乗るのではないか」

 そのためには賃上げの加速が必須だ。政府は企業の生産性向上を後押しするとともに最低賃金の引き上げを図らなければならない。

 所得再分配を拡充する必要もある。国民が負担を分かち合い、支援が必要な人に配分する。減税一辺倒では財政が行き詰まり、助け合いの仕組みが損なわれる。

 外国人と共生する政策の推進も急務だ。日本語教育の拡充や地域社会との交流促進など受け入れ態勢の整備が求められる。

 「豊かな国家の実現には包摂的な制度が欠かせない」と説いたのはノーベル賞を受賞した米経済学者のアセモグル氏だ。公平な政治の下では均等な機会が与えられ、人々は才能や技術を最大限生かせる。持続的な成長につながり、幅広い層に恩恵をもたらすという。

 分断を修復して、支え合う社会を再構築する。国民が安心して暮らせる将来像を示すことが政府の役割である。

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