No Nukes 原発ゼロ

初代「No Nukes 原発ゼロ」 の後続版です。 政治・原発問題などを中心に、世の中の「気になる動き」をメモします。

新聞

中道の新代表に小川氏 党の存在意義を示せるか
毎日新聞 2026/2/14 東京朝刊
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中道改革連合の新代表に選出され、記者会見する小川淳也氏=同党本部で2026年2月13日午後2時23分、平田明浩撮影

 衆院選で大敗した新党は存亡の危機にある。存在意義を示せるかが試される。

 立憲民主党と公明党により結成された中道改革連合の代表選が行われ、接戦の結果、新代表に小川淳也氏が選ばれた。元総務省職員で、立憲の政調会長や幹事長などを歴任した。知名度の高さが評価され、発信力に期待が集まったとみられる。

 出馬した2人はいずれも立憲出身だが、所属する49議員のうち過半数の28人が公明出身だ。党内融和が喫緊の課題となる。

 参院と地方組織は立憲と公明が存続する。合流の是非を含め組織のあり方が固まらなければ、党の求心力をさらに失いかねない。

 左派でも右派でもないという中道の立場だったが、政策からは何を目指すのかが見えなかった。

スクリーンショット 2026-02-14 153915--333中道改革連合の新代表に選ばれ、党所属の議員らと気勢をあげる小川淳也氏(中央)。右から野田佳彦氏、階猛氏。左から3人目は斉藤鉄夫氏=同党本部で2026年2月13日午後1時43分、平田明浩撮影

 外交・防衛は、安全保障環境の悪化を受けた「現実的」な政策を強調したが、具体性を欠いた。生活に不可欠な医療や介護など「ベーシックサービス」の拡充を訴える一方、財源となる消費税の減税を公約に盛り込んだ。政府系ファンドを新設すると言うが安定的な代替財源になるかは見通せない。

 無党派層への訴求力を欠いたうえ、安保政策の転換などで従来の立憲支持層まで離れたことが敗因だろう。新執行部は党の理念を明確に定めたうえで、政策を練り直すべきだ。

 衆院では自民党の「1強多弱」となったが、与党以外の選択肢を国民に示すことは重要だ。

 外国人政策では受け入れ厳格化に傾く自民に対し、多文化共生社会の実現を掲げた。選択的夫婦別姓の導入も訴えた。少数者の意見をくみ取り、多様性を重んじる政策は対立軸となり得る。

 議席は激減したが、野党第1党であることに変わりはない。企業・団体献金禁止など残された「政治とカネ」の問題をテコに、野党間の連携を図る必要がある。

 問われるのは、国民から幅広い支持を得られる野党像を描けるかだ。小川氏は「野党の主要な職責は、権力の監視だ。政権与党と対峙(たいじ)することが基本線だ」と述べた。説得力のある対案を示すことも求められる。新代表として党再建の青写真を早急に明らかにしなければならない。

中道・小川代表 理念政策を地道に説け
東京新聞 2026年2月14日 07時59分
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 中道改革連合の新代表に小川淳也衆院議員(54)が選出された。
高市自民党が国家権力重視の方向に踏み出すなら、野党第1党には生活者の立場で多様性を重視した対案を示す責任がある。党勢拡大に近道はない。党の理念と政策を地道に訴えなければならない。

 小川新代表が問われるのは党の結束を維持、強化する手腕だ。

 衆院選惨敗で結集の熱意が失われ、参院と地方議員は立憲民主党と公明党に分かれたまま。両党の政策理念には親和性があるが、長く与野党に分かれて対立してきた経緯から、地方組織や支持者には短期間での合流に抵抗感もある。来春の統一地方選、2028年夏の参院選をにらみ、時間をかけて全面合流の時期を探るべきだ。

 参院や地方も含めて大きく結集するには、高市政権とは異なる日本の将来像を示す必要もある。

 衆院選では、急造の新党が「選挙互助会」と多くの有権者に受け取られ、立民側が政策転換したとの批判もつきまとった。大同団結には歩み寄りも欠かせないが、政策を有権者に十分に伝えられなかったことは反省すべきだろう。

 安全保障政策を巡り、立民、公明両党はともに、集団的自衛権を行使して他国間の戦争に関わることには慎重だ。
憲法に基づく専守防衛を堅持し、軍事偏重には陥らず、多角的な外交努力で日本の平和と地域の安定を守る立場を明確に打ち出すよう求めたい。

 中道は立民の綱領にあった「原発ゼロ」は取り下げたが、「将来的に原発に依存しない社会」を目指す姿勢は保った。東京電力福島第1原発事故の甚大な被害を忘れず、原発依存を低減させる具体的な道筋を描いてほしい。

 食料品の消費税を恒久的にゼロにする財源とするため、国の資産を一体的に運用するファンドを創設する公約は有権者に響かなかった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用益を年金給付以外に充てることに幅広い理解が得られるのか、党内で議論し直すべきだ。

 情報発信の方法も一から見直す必要がある。選挙では党や候補者の印象を重視する有権者がいるのは当然だ。まっとうな政権批判でも「悪口」と受け取られる風潮もある。若年層に支持を広げるにはSNSや動画投稿も含むあらゆる手段により、前向きな展望を示す努力を惜しんではならない。

日本棋院の苦境 先細りにならぬ改革を
東京新聞  2026年2月12日 08時08分
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 囲碁界の総本山・日本棋院が、深刻な経営難に直面している。手当支給の対象となるプロ棋士の試験の合格枠を、現行の年6人から4人に減らす方針を打ち出したほか、1971年から拠点とする東京本院会館ビル(東京都)の売却移転案まで浮上している。再建は相当な困難が予想されるが、囲碁界の未来を先細りさせないような経営改革を望みたい。

 現状では2029年度、安全な運転資金の確保が難しくなる-。これは、日本棋院の財務状況を分析した「経営改革委員会」が昨秋発表した最終報告の結論だ。

 棋院の経常収支は、過去30年間にわたって赤字基調という。棋士への手当や福利厚生費などの支払いが負担になっている。

 たとえば23年度、経常費用の総額は約28億9千万円だったが、棋士関係の経費はその半分に当たる約14億4千万円を占めた。

 囲碁を楽しむ人の数が減っていることも痛手となっている。

 総務省の「社会生活基本調査結果」によると、過去1年間に囲碁をした人は06年に約204万人だったが、21年は約104万人と半減。将棋が06年に約441万人、21年は約337万人と約24%の減にとどまったのに比べ、囲碁は人数自体も減少の割合も厳しい。

 当然、棋院の収入も減った。個人や法人の会員からの会費をはじめ、棋戦や大会、講習会など各種事業の収入、寄付金などを合わせた棋院の経常収益は、24年度は約28億円となった。これは、経営改革委が指摘する通り「30年前の半分」という落ち込みだ。

 この間、囲碁界は2000年代初頭に人気マンガ「ヒカルの碁」でブームに沸いたが、長続きしなかった。10年代後半からは将棋界が「藤井聡太ブーム」で未曽有の活況を呈するのを横目に、囲碁の人気は低迷が続いてきた。

 だが近年は、一力遼五冠(28)が主要な国際棋戦で優勝するなど、日本勢の復調も目覚ましい。この勢いを、囲碁への関心の高まりにつなげたい。それには、若い世代や愛好者が少ない女性へのアプローチも重要だろう。

 棋士の合格枠を減らすのは苦渋の決断のはずだ。ただ、若い世代への門戸を狭めては、棋界の活力も、将来の発展の芽もつみかねない。長い歴史を誇るこの知的ゲームを、次世代へつないでいく「妙手」を探ってほしい。

壊滅状態の中道 選挙互助会見透かされた
毎日新聞 2026/2/11 東京朝刊
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衆院選の投開票から一夜明け、記者会見する中道改革連合の野田佳彦共同代表(左)と斉藤鉄夫共同代表=立憲民主党本部で2026年2月9日午前11時半、平川義之撮影

 急ごしらえで新党を立ち上げ、拙速に方針転換を図った。それが有権者の目に「選挙互助会」と映ったことは否定できない。

 立憲民主党と公明党が選挙直前に結成した中道改革連合は、公示前の167議席から49議席に落ち込む惨敗を喫した。
枝野幸男氏、安住淳氏、岡田克也氏ら立憲出身の重鎮が落選した。野田佳彦、斉藤鉄夫両共同代表が引責辞任を表明し、党は存亡の危機に立つ。
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新党の党名を発表する立憲民主党の野田佳彦代表(中央)と公明党の斉藤鉄夫代表(右から2人目)=国会内で2026年1月16日午後2時9分、平田明浩撮影

 左右に偏らない中道の立場から、生活者目線の改革を進める理念を打ち出した。多様性の尊重を掲げることで、自民党をはじめ右傾化する勢力への批判の受け皿になろうとする思惑があった。極右が台頭する欧州でも、オランダの昨年の総選挙で中道政党が第1党になっている。

 ただ、選挙協力を優先し、政策の開きを性急に埋めようとしたのは問題だった。

 公明の政策に近づけるため、立憲が違憲と主張してきた安全保障法制を合憲と明記したほか、「原発ゼロ」の旗を事実上降ろした。

 高市早苗首相による唐突な衆院解散で短期決戦になったとはいえ、根幹となる政策を転換することへの十分な説明がなかった。

 消費税減税の主張も責任政党としての自覚を疑わせた。野田氏は財政規律を重視してきたが、昨年の参院選で、食料品の税率を最長2年間ゼロにすると立憲の公約に盛り込んだ。中道はさらに恒久的な減税へと踏み込んだ。財源が曖昧で、社会保障の持続性を危うくしかねないものだった。

 宗教団体の創価学会を支持母体とする公明との合流に抵抗感を持ち、離反した立憲支持層もいただろう。

 参院や地方組織では立憲、公明両党が存続しており、組織のあり方も固まっていない。

 衆院では、自民が単独で3分の2超の議席を獲得し「1強多弱」の状態となった。首相が「国論を二分する政策」を推し進めようとする中、野党の結集の軸となり得る政党は見えない。

 議会制民主主義を健全に機能させるうえで、少数派の声に耳を傾け、丁寧に合意形成を図る営みは欠かせない。国会が役割を果たすために、野党の戦略が問われる正念場である。

衆院選で高市自民圧勝 独断専行に陥れば信失う 
毎日新聞 2026/2/9 東京朝刊
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自民党開票センターでテレビ中継のインタビューに答える高市早苗首相=同党本部で2026年2月8日午後10時8分、平田明浩撮影

 衆院選で自民党が単独過半数の233議席を大きく上回り、大勝した。惨敗した一昨年の前回選から一転し、衆院では、現行制度で初めて、一つの政党が3分の2超を占めることになる。

 衆院解散から投開票までの期間は戦後最短で、厳冬期に行われた異例の選挙戦だった。就任間もない高市早苗首相は、与党が過半数を割れば退陣する考えを明言し、「私か私以外か」を選ぶよう有権者に求めた。

 内閣が高支持率を維持する中、個別の政策論争よりも人気投票に持ち込んで「突風」を起こすことに成功した。首相の政治基盤は飛躍的に強化される。

 首相はこれまでの政権から、方針を大転換すると繰り返した。経済と外交・安全保障を「強くする」と歯切れ良く語った。そうした姿勢が多くの有権者に受け入れられたと言える。

民意引きつけた「強さ」

 少子高齢化で募る将来不安や足元の物価高、緊張を高める国際情勢――。閉塞(へいそく)感が強まる日本社会の現状を変えてくれると期待を寄せたのだろう。

 首相が打ち出した積極財政路線は、無党派層や現役世代などから幅広い支持を集めた。過去2回の国政選挙では保守層の「自民離れ」が指摘されたが、中国への強い姿勢などをアピールする首相の元へ回帰した。

 ただ、政権としての実績はまだ乏しく、予算審議を通じて今後の方針を説明することもないままである。衆院選でも、具体的な政策論争は深まらなかった。

 政権の看板政策である「責任ある積極財政」は、具体像がはっきりしない。明確な財源の裏付けのない歳出拡大は、将来にツケを回し、市場の信認も失う恐れが拭えない。暮らしの抜本的な底上げと財政健全化を両立させる方策を示す必要がある。

 国際秩序をないがしろにする米国のトランプ政権とどのように向き合うのか。首相の台湾有事を巡る答弁で悪化した日中関係に打開策はあるのか。道筋は見えない。身の丈に合った防衛費の水準に関する検討も不十分なまま、増額へ突き進もうとしている。

 正面からの論戦を避ける姿勢も目立った。

 首相は「国論を二分する政策」に取り組むと主張した。平和国家としての国のかたちに関わる問題だが、具体的な説明はほとんどなかった。解散直後には、野党に対抗する形で時限的な消費税減税に前のめりな発言をしたが、公示後は口をつぐんだ。

 NHK番組での党首討論を「手の治療」を理由に欠席する一方で、遊説は予定通りこなした。党首同士が直接応酬する貴重な場は再設定されなかった。

白紙委任にはならない
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開票センターで取材に応じる中道改革連合の野田佳彦共同代表(左)と斉藤鉄夫共同代表=東京都港区で2026年2月8日午後10時43分、新宮巳美撮影

 野党が自民の独り勝ちを許したのは、民意の受け皿になれなかったからだ。

 立憲民主、公明両党が合流した中道改革連合は大敗した。野田佳彦共同代表ら党幹部は辞任が不可避の情勢だ。

 公約に掲げた消費税減税は、他党とほぼ横並びになった。安全保障法制や原発政策を巡る主張も、かつて与党だった公明に配慮した結果、自民との対立軸を明確化できなかった。穏健派としての理念が有権者に伝わらず、有力な選択肢となれなかった。

 選挙結果を総括し、政権に対峙(たいじ)する野党として態勢を立て直す必要がある。短期間で党が空中分解するようなら、「選挙目当ての野合」とのそしりを免れまい。

 国民民主党などの新興政党も、今回は自民の勢いに押された。チームみらいの躍進は若い世代などから支持されたためだろう。

 衆院では与党が主導権を握ることとなるが、参院は過半数にわずかに届かない「ねじれ」の状況だ。緊張感ある国会の姿を作り出し、監視機能を果たせるか、野党の姿勢が問われる。
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雪が降る中、衆院選の投票所となっている小学校を出る有権者ら=東京都調布市で2026年2月8日午前10時28分、西本勝撮影

 勝利を受け、首相は「高市カラー」を前面に出す構えだ。スパイ防止法制定など、右派的な政策を推進するとみられるが、今回の選挙結果を白紙委任と受け止めるべきではない。

 独断専行に陥るようであれば、イメージ先行で膨らんだ国民の期待は失望へ変わる。

 内外の難局を乗り切る明確な処方箋を示すことが不可欠だ。個々の政策について説明責任を果たしたうえで、丁寧に合意形成を図る政権運営が求められる。

松尾貴史のちょっと違和感
厳冬期の解散・総選挙
「不可解」「もやもや」が多すぎる
毎日新聞 2026/2/8 東京朝刊
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松尾貴史さん作

 政権基盤が盤石ではないので、支持率が高いうちに議席を増やし専横的にいろいろなものを強引に決めてしまいたい。高市早苗首相のそういう思いがはっきりと伝わってくる衆院選だ。

しかしながら、東北などの豪雪地帯は通常の生活すら艱難(かんなん)辛苦という時期。納得できる大義もなく「私が首相でいいか教えて」と、850億円超もの国費を惜しげもなく投じて解散・総選挙をやらかしてしまう。どういう鉄面皮で遊説しているのかを考えると、ある種のホラーを見せつけられている感覚にもなる。

 雪の多い地域では選挙ポスターを張る掲示板が雪に埋もれてしまい、見られない状態になっているところもある。いや、見るどころか張ることすらできない。また、あまりにも急な解散のせいか、私の手元には3日の時点で、投票所入場整理券も届いていない。

 高市氏は「国論を二分する政策を実行するのかやめるのかを問う」と後出しで言い訳をした。中身を表明せず白紙委任を与えてくれといった主張に疑問の声が上がると、「インテリジェンス(情報活動)機能の強化」と抽象的な表現でけむに巻く。

インテリジェンスとは「情報」というイメージもあるが、「諜報(ちょうほう)」のニュアンスも含む。スパイ防止法を暗ににおわせたのだろうか。「食品の消費税減税の実現に向けた検討を加速する」とまやかしのような発言もあった。検討は検討であり、「加速する」ような事柄ではないだろう。

 高市氏は「私でよいか判断して」と言いつつ、影響力の大きいNHKの日曜討論を急きょ欠席した。その時間は三重県にいる予定だった政調会長代行が代役を務めるというSF小説のようなことも見せてくれた。

 欠席理由は、遊説で支持者と握手をした際、手を強く引っ張られたので痛めてしまい、その治療だったとしている。ところがその午後には遊説をこなし、腕を上げてガッツポーズを見せてすこぶる元気な様子だった。

自身のSNSでは、薬を塗ってテーピングもしてもらったというが、討論できない状態ではなさそうだ。強く訴えたいことがあるなら、多くの国民が見る番組に出ればいいのに、あまりにも不可解だ。

 自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係についての週刊誌報道があり、別の民放の番組で野党の出席者がこの点を追及した。すると高市氏は気色ばみ、「名誉毀損(きそん)になりますよ」などといささか脅迫めいた反論をした。

日曜討論を欠席したのは、この点への批判も避けたかったのか。あるいは、裏帳簿の存在や金銭スキャンダルについても報道されていて、その内容について聞かれたくなかったのか。直前の「円安に伴い外為特会(外国為替資金特別会計)がほくほく状態」という発言についても責められそうだと思ったのか。

しかしもっと体力を使うであろう遊説は実施している。演説ならば言いっ放しで反論がないからだと思われても仕方がない。

 SNSでは「高市逃げた」がトレンド入りしたが、普段勇ましいことを言っている人ほど、困るとひきょうになるという印象を持ってしまった。

 この選挙で仮に与党が躍進すると、彼らは憲法改正に国民の信任を得たと解釈して突っ走ってしまうのではないか。「改正」ではなく「改悪」でしかないと個人的には思うが。

アメリカの言いなりで防衛大増税し、言い値で武器を「爆買い」させられ、苦しい国民生活はさらにつらい状況に追い込まれる。ここで国民の権利を守るための憲法などをいじらせると、国全体が不可逆的なダメージを受けるのは目に見えている。

 高市氏は選挙後に何でもフリーハンドでやれると考えている節がある。重要事項を選挙期間中に前面に出さない戦法ならば、それはいかがなものだろうか。(放送タレント、イラストも)=2月3日執筆

衆院選 語らぬ首相 拭えない逃げの姿勢
朝日新聞 2026年2月6日 5時00分
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首相が遊説で訴えた政策テーマ

 自身が首相で良いのか、国家経営を託してもらえるか。「重要政策の大転換」を進めるという高市首相が、「国民の皆様に決めていただく」と始めた選挙は終盤に入った。

 しかし首相の言動は肝心の説明を避け続け、逃げの姿勢という印象が拭えない。国民に対して不誠実だ。衆院解散を決断した理由の一つに「逃げない」を挙げた自身の言葉を忘れたのか。説明責任を置き去りにしてはならない。

 首相は解散表明の会見で、「国論を二分するような大胆な政策、改革」として、財政や安全保障政策、スパイ防止法を含むインテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化を挙げた。

 だが、公示後に有権者に向けて語る内容はごく一部にとどまる。「悲願」とする飲食料品の消費税率ゼロ政策でさえ、「検討を加速」するとした自民党の公約より踏み込んで新年度中の実施をほのめかしながら、街頭演説では語ろうとしない。

 「輸出産業にとっては大チャンス。外為特会(外国為替資金特別会計)の運用、今ほくほく状態です」という円安に関する発言も同じだ。物価高など欠点には触れず、様々に疑問の声が挙がると、SNSへの投稿で「一部報道機関で誤解がある」「『円安メリットを強調』した訳ではありません」などと反論。だが、自らの口から説明はない。

 安保政策の強化として増額する方針の防衛費の財源や、スパイ防止法の内容など、ほかの「重要政策」の核心部分も言及は限られる。

 一方、報道各社の情勢調査で自民党優勢がそろって報じられると、「実力組織として位置づける」自衛隊の憲法への明記を訴えた。憲法改正はまさに「国論を二分」するテーマだ。しかし、実力組織の内容やどの条文なのかなど、具体的な考えは示さない。

 全容解明にほど遠い裏金問題は、関与した議員への公認や比例での重複立候補が認められた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の内部文書には、首相の名前が多数回登場する。どちらも率先して説明していない。問題から逃げているようにしか見えない。

 1日には、与野党の党首による討論番組の出演を「手を痛めた」として突然欠席し、その後遊説に出かけた。疑問や問いに直接答える、数少ない判断材料の場が失われた。体調が回復したのなら、今からでも首相から討論の設定を呼びかけてもいいはずだ。

 説明責任を果たそうとしない党首や候補が「私たちの代表」にふさわしいのか、吟味して一票を投じたい。

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