総合格闘技でも力士でも、ケガをすれば休むし、血が出れば試合が止まるもの。
だけれど、それを押して戦うスポーツ選手がいる。そこから始まる職業がある。
だから僕はプロレスラーが心から大好きで、
プロレスラーは尊敬できる超人なのです。
軽妙な文体に一方的な羨望のまなざしを送るブログ、ドロップキックアウトさんより。
日ごろから文中に整体やカイロプラクティックというワードが出てきていましたが、
どうやら重い症状のようで、とある更新でこんな書き込みが。
今日いつもの整体行ったら多分これ坐骨神経痛になってますねって言われたので、なんかどっかで聞いたことあるなと思ったら、昔天山広吉が欠場理由としていた病名であり、なんかその時はなんかこう、天山らしい病名だなあとか思ってちょっと小馬鹿にしていたんだけど、実際なってみたらこれ、休むわ。プロレスとか出来ないよ。仕事休めないけどプロレスだったら欠場してる。すみませんでした天山。(天さんごめん - ドロップキックアウト)
なってみてわかる、プロレスラーという職の凄味と逞しさ。
僕も先々週の土曜に、寝違えたのか肩から首にかけてゴリゴリに張りまくって、
腕が上がらないわ首は横に回せないわということがあったのですが(現在は無事、完治)、
天山選手は毎日がこんな状態で、上がらない腕を上げてモンゴリアンを打ってたのかと思うと、
病名もない僕がこんなもんでへこたれちゃいけないし、猛牛さんスゲェなぁなんて重ね合わせたりなんかして。
まあ、仕事終わると即トレーナー室、否、近くのマッサージ店に駆け込みましたけれどね。
一番それを感じたのは忘れもしない2006年4月のこと。
自分は歯のインプラント治療のため奥歯を抜いたり器具入れたりで、ずっと口内に縫い目がある状態で、
なにを食べても飲んでも手術糸が気になる生活。
ちょうど同じ時期、激戦の末、石井智宏選手は歯が唇を貫通し大裂傷。口内に縫い目がわんさかという生活に突入。
当時のリキプロ日記に「食べ物が食べにくい」「糸が気になる」という記述があり、やけに共感したものでした。
でもね、抜糸も終わらないそんな中、石井選手は口に特製マスクをして強硬復帰。
ケガを負った対戦相手である永田さんへ、特攻をかけていくわけですよ。
正面から受け止め、平気でエルボーや平手をドカドカ顔面に入れてくる永田さん。
リングに上がったからには対等と、倒れても倒れても、反撃の体制へと立て直す石井選手。
そして1発、2発くらった後、それでなくっちゃと笑みを浮かべ、再び顔面に打ち込む永田さん。
ありきたりな表現になってしまうけど、石井選手のその姿、めちゃめちゃカッコよかったです。
両者コンディションバッチリな状態の試合が面白いのはもちろんですが、
プロレスという競技は、ハンデを背負った悲哀を重なった時、その面白さが違った意味で膨らみ、
ドラマティックなものとして自己投影できる、してしまう楽しみがまたあるんですよね。
自分はそのあと上顎にボルトを埋め込む手術とかやりましたけど、
局部麻酔だから部分的な痛みはなくとも、原始的に埋める作業は、ドンガンドンガン骨を伝わって脳に響くし、
いつ終わるんだろう的不安や、頭蓋骨割れちゃうんじゃない的振動は体全体で感じるんですよ。
その時、思い出したんです。石井選手と永田さんの真っ向勝負を。
2人のドツキ合いを思い出し、自分だって拳を握り締めて(痛くて力入れてただけですけど)プロレスラーになったつもりになれば、
石井選手になった気持ちでいれば、あそこまでとは言わずとも、少しは耐性付くんじゃないかなって。
ああ、だめだなあ。ドロップキックアウトさんのように簡潔な文章が書きたいのに、いつも長くなってしまう。
担当医からは痛み止め飲めば大丈夫だって言われたけれど、手術を終えた次の日は半休入れちゃう僕でしたよ。
そんな中、やられた怒りを表すため、口の中がズタズタになりかねなくとも、試合に出続ける石井選手。
これをリスペクトせずなにをリスペクトしろというのでしょうか。
プロレスラー。それは常人に到底マネのできない、選ばれし超人なのです。
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