2014年10月25日

新日本イズムとはなんぞや/ 10・24「詳説 新日イズム」トークイベント

らいがー10月24日、新宿・歌舞伎町の新宿フェイスにて集英社DVD分冊百科
「燃えろ! 新日本プロレス」から派生した単行本、
『詳説 新日イズム 完全版 闘魂の遺伝子がここにある!』の
発売記念トークイベントが開催されました。
出演者は棚橋弘至、永田裕志、獣神サンダー・ライガー各選手。
ここで話された新日本プロレスイズムとは?
「燃えろ! 新日本プロレス」は、新日本プロレスの激闘史をDVDで振り返る集英社の分冊百科。
イベント冒頭では編集長を務めた貝山弘一さんが挨拶され、
約2年半、当初は全50巻の予定が延長され全67巻+エクストラ1巻を刊行。累計187万部を記録したことをファンに謝辞。

その集大成、一つのアーカイブとして冊子の連載をまとめた
『詳説 新日イズム 完全版 闘魂の遺伝子がここにある!』を10月24日に刊行。
この発売イベントとして当イベントが当選者限定で開催されました。
トーク内容は書籍にまとめられた67の新日イズムを抜粋し、改めて世代の違う3選手に問い直すもの。
司会進行は著者である流智美さん。以下、書籍と内容と照らし合わせ、トークイベントを追ってみましょう。
※トーク内容は覚えてる範囲で、また一部再構成しています。

■ストロングスタイルとはなんぞや
「“神様”の遺産、ストロングスタイルとは何か」(p31)
和製英語「ストロングスタイル」は日刊スポーツ記者だった鈴木庄一氏が作り上げたもので、のちに独り歩きしあてはめられ、「キング・オブ・スポーツ」とともに新日本プロレスを体現する言葉となった。ときに実力主義のプロレス、格闘プロレスとも訳される。
 獣神サンダー・ライガー 全日本プロレスは外国人が豪華。新日本プロレスはアントニオ猪木がすごく強くて日本人vs日本人が面白かったという意識。言葉はそんなに意識してない。(もともとストロングスタイルという言葉はマスコミが呼んだ言葉で)山本小鉄さんは「練習しろ、練習しないやつはレスラーじゃない」とは言ってましたけど、小鉄さんの口からは聞いたことないですね。

 永田さん 僕たちのころは常に頭にありました。どれが、なにかは理解してないんだけど、それぞれのストロングスタイルを考えてた。ジャイアント馬場さんと違ってガイジン招聘ルートを持ってない(旗揚げ当時の)新日本プロレスは、道場で培ったプロレスを見せるしか売りがなかった。そういう経緯で付けられたものだから、結局道場論ありきのリング上、ということなんじゃないかな。

 棚橋弘至 僕は捨てました(笑)。対角線にいる中邑真輔がキング・オブ・ストロングスタイルを標榜していたし、ストロングスタイルを掲げた時にビジネスが下がってたんで、打破するためにも捨てましたね。あと週刊プレイボーイでアントニオ猪木さんと対談した時にじかに「ストロングスタイルってなんですか?」って聞いたんですよね。その答えが「知らねえよ」だったんで(笑)、本人も知らないならいいやと思って捨てました。
 でもね、アントニオ猪木さんが去っても新日本にそのストロングスタイルって言葉が残ってる。これは軸として残していきたいですね。新日本はどんなプロレス? って聞かれてストロングスタイルってのは説明がしやすいけど、実態はわからない。でもイメージとしてストロングスタイルという姿を追い求めていってほしいんです。
(永田さんから「君からその言葉が出ると思わなかったなあ」と言われ)
 そうすれば、より僕が際立つ、というね☆

■道場とはなんぞや
「道場こそ新日本の矜持」(p13)
練習好きメンバーが集まったという新日本プロレスでは、旗揚げに際しまず道場を確保した(アントニオ猪木邸を改築し、現在の野毛道場に)。逆にテレビ中継は旗揚げから1年後にようやく開始。旗揚げ直後から中継のあった全日本プロレスが専用の道場確保するのは、旗揚げから4年後のこと。
 ライガー 練習をするところ。レスラーを作るところ。新日本は量も質もトップクラス。それと、それぞれみんな勉強してますね。体作りやサプリメントは棚橋に聞けばいいし、レスリング技術は永田に聞けばいい。トータル的なプロレスラーを作る場所です。目標は強い人間。レスラーを作る場所。それは今も昔も変わらない。
 新日本プロレスの選手はジャイアント馬場さんに負けるな、全日本プロレスに比べて負けるなってことが一番だった。根っこはそこだと思います。

 永田さん 最低限のことをするために苦しむ場所。厳しいところ。そしてOB選手につつかれるところ!

 棚橋 僕が入門したのが1999年。上の真壁(刀義)さんまではかわいがりも凄かったと聞くんですが、僕はちょうど過渡期。スクワット何百回とかも不条理ではあるんだけれど、今後のプロレスラー生活を切り抜けていけるかという根性があるか、耐え抜けるかということを見るためには必要悪だと思います。
(まだ不条理はあるんですか?)
 ……えーーー。(先輩を横目に)マ、答えにくいです(笑)。
 でもですね、新人の頃コーチだった永田さんに「お前らこれだけの練習やってんだ。自信持っていいぞ」って言われたんです。それは今でも励みにしています。

■マイクアピールとはなんぞや
「マイクアピールの美学」(p41)
1970年4月15日、日本プロレスのリングでアントニオ猪木がマイクアピール。これが日本で初めてのマイクアピールだったと本書では書かれている。日本プロレスでは半ばタブーだったこの行為は、72年の新日本誕生を境に新たな伝達ツールとして発展。現在では団体問わず欠かせないものとなっている。
 ライガー ケロさん(田中秀和リングアナウンサー)に「“レスラーってみんなマイク下手だよ”って言われたことがあったんです。レスラーがマイクを持つと、お客さんは聞こうとするから自然と静かになる。でも何を言ったかわからないんじゃ、そのままシーンとなるよ。喋るなら勉強しなきゃって。これは猪木さんにも言われました。
 でも向く選手と向かない選手がいる。例えば本間選手とか何を言っても聞き取れない。そこは選手一人一人が、(マイク以外にも)伝える術を考えるべきですね。

 永田さん (WCW遠征がマイクアピールの勉強になったかと問われ)WCWから凱旋帰国したときになんか言った覚えがあります。でもその場で必死だったんでね、なんにも考えてなかったです(笑)。

 棚橋 僕のマイクはリング上の状況変化が原因で。昔は伝えなくても伝わりましたけど、今はファンに伝わりやすくするためのものでもあるし、プロレスを知らない方に伝えるためにも大事だなって思います。僕も苦手ですよ。でもこれからの時代、身に付けないといけないスキルです。

■ドーム興行とはなんぞや
「ドーム興行、6万人の恍惚」(p59)
東京ドームでの格闘技興行は新日本プロレスが初開催(1989年4月25日)。また、毎年同じ場所で同じ日どり(1月4日、東京ドーム)でスタジアム興行を行っている格闘技団体は、世界でも新日本プロレスだけとされる。2015年1月4日東京ドーム大会は「WRESTLE KINGDOM 9 in 東京ドーム」と題され、「闘い詣のイッテンヨン」のキャッチコピーが付けられている。
 ライガー 試合をする場所としては僕はぶっちゃけ好きじゃない。大きすぎて(客席の)反応がズレたりするし。嫌いというか、後楽園ホールくらいが好きなんですよ。最大でも両国くらい。ただ猪木さんのよくいうプロレスファンの輪の外に伝えなきゃいけないっていう、環状八号線理論のために、大々的に世の中に打って出る手段として必要だって言ったらそうだな、と思います。
 僕はちんちくりんなんで体を大きく使ったり、飛び技を使うようにしたり、後楽園とは意識してスタイルも変えてます。

 永田さん 初めて立ったのが94年。物理的にもリングと客席までの距離が(通常と)違うんで、だだっ広く難しい場所だなと思ったけれど、翌年95年4月に北朝鮮で観衆19万人、しかも2日間連続で、というリングに立ってね(笑)。まあ、あんときも結局お客さんに伝わらなかったんだけど、投げ技をやった時に19万人の一番上から歓声がこだましてきたんですよ。それをやったあとに福岡ドームのリングに立ったんで、5万人が小さく見えました。僕は19万人の中でやってるんで、やればやるほど難しさという点では感じなくなってきてます。

 棚橋 ドーム、好きです☆ 僕は初めてプロレスを観に行ったのが新日本vsUインターで、そのあともアントニオ猪木引退興行とか、僕はドーム興行は大体観に行ってたんです。だからここを超えることが僕の目標です。歓声以上の歓声をドームに響かせたいです。

■海外武者修行とはなんぞや
「ドサ回りに島流し、海外武者修行時代の神髄」(p112)
メキシコ、アメリカ、ヨーロッパ。海外ローカルマットを転戦して若手の感性を成長させるという、今も根付く新日本プロレス伝統の流儀。2014年現在は高橋広夢、渡辺高章の2名が修行中。
 棚橋 僕は行ってないんですよ(切実な訴え)! 温室育ちです!
 上だと真壁(刀義)選手も行ってるし、下の後藤(洋央紀)も行ってる。僕と矢野(通)さんだけ行けてないんです。でも日本でずっと頑張れたのが僕の誇りです!

 永田さん WCWでいい経験させてもらいました。当時はWWF(現WWE)より資金力もレーティング(視聴率)もよかったですからね。試合のサイコロジーも学べたし、何より自分のファンだったころのレスラーに会えたのが嬉しかった。

 ライガー リバプール……。まぁ、僕は今でもメキシコに3〜4か月武者修行に行ってますから。自炊して、なにやってんのかな〜って。この間もドイツ、イギリスと棚橋と行ってきましたけど、今でも世界各地に小さくても団体があるんです。だから(海外で)若手だから試合がない、じゃなくて、小さな団体でもトップを取る、レギュラーを取るっていう姿勢が大事。

■思い出の外国人レスラーとはなんぞや
「大物外国人を呼べなかった大逆転的発想」(p16)
「起死回生『ゲテモノ大作戦』」(p116)
「外国人レスラーが見たストロングスタイル」(p122)
大物が招聘できない代わりに、独自のネットワークを築いてきた新日本プロレスの外国人網。かつて存在したロス道場に代表されるように、新日本の根底には外国人は育成という理念がある。
 棚橋 ダイナマイトキッド。デビューして最初に言った、目標のレスラー。

 永田さん カート・アングル。彼に“俺の最高の試合は3つある。ショーン・マイケルズ戦、(クリス)ベノワ戦と永田戦”と言われたのが誇りです。
(棚橋選手、「言われて〜〜〜〜」と身悶えて横で絶叫)

 ライガー アンドレ(ザ・ジャイアント)、(ディック)マードック、(キングコング)バンディ。(ブルーザー)ブロディ、(ダイナマイト)キッド、(デイビーボーイ)スミス。
 それにベガサス(キッド=クリス・ベノワ)、エディ・ゲレロ、(ディーン)マレンコ。小さいのがコロコロしてたから、アンドレとかに「ビール買ってこ−い」とよくかわいがってもらいました。
(道場での話かと振られ)
 いえ、試合後の控え室です。控え室で飲み会ですよ。
(今じゃあり得ないよ! みんなでとツッコミ)

■WWEとはなんぞや
「WWFとの蜜月時代」(p56)
今では信じられないが、1974年から新日本プロレスとWWE(当時WWF)は提携を開始(84年に解消)。WWEは大物外国人を新日本に定期的に送り込み、新日本からもタイガーマスクらがWWEに上陸。アントニオ猪木はWWF世界マーシャルアーツ王座を獲得。藤波はWWFインターナショナル・ヘビー級王座を戴冠した。2014年11月8日には元WWEの日本人選手、ヨシタツが7年ぶりの凱旋試合を行う。
 ライガー WWEはWWEで頑張ってくれればいい。よく昭和プロレスファンはショーマンシップと目の敵にするけれど、アーン・アンダーソンが育成やってると聞くし、試合観ると基礎、基本はスゴイ。WWEはWWEで頑張ってくれればいいし、新日本はそれを上回れるように新日本で頑張ればいい。

 永田さん WWEって試合以外のところでもリスペクトされてる。リハビリや怪我の治療だけに特化した部門があったり、戦略として組織がしっかりしてる。過去のレスラーをリスペクトするHall of Fameというプロレス殿堂。日本が追い付いてないものがそこにある。そこには凄く憧れてます。

 棚橋 世界中のレスラーがそこを目指して戦ってるんですよ。下部組織のデベロップメントもスゴくてピラミッドのヒエラルキーがしっかりしてる。目指す人間がたくさんいる組織の力はものスゴいです。
 あとロック様がそうですけど、チャンピオンの先の夢を見せてるじゃないですか。最初はレスラーになるが夢で、次にチャンピオンになるのが夢。じゃあ引退後は? ってなったときに、ちゃんと夢があるのがWWEなんです。だから僕も新日本でその先の夢を見せます☆

 ■ブシロード体制とはなんぞや
「変幻自在のコラボレーション」(p153)
時代を経て新日本が積極的に行ってきたジャンルを超えたコラボレーション。のちに親会社となるユークス、ブシロードとも、このコラボレーションを経て通じ合った企業である。
 棚橋 以前でもずっとプロモーションをしてきましたけど、自力でできないプロモーションのしかた。例えば駅の大看板だったり、山手線のラッピングだったりをしてもらってると感じてます。

 永田さん どうすればプロレスに目が行くのかというのを(ブシロード社長)木谷さんは凄くアイディアを持ってる。もう一回観に行こうという手段を勉強させてもらってます。

 ライガー ちょっと違うかもしれないけど、新日本は苦しいときがあってユークスさんに助けてもらって、今ブシロード。僕はね、新日本プロレスを買ってよかったなって思えるようにしていきたいです。ブシロード体制がどうのこうのじゃなく、これからも2人3脚で突っ走っていきたいです。

■ベルトの権威とはなんぞや
「ベルトの権威は王者の実力が決める」(p47)
「IWGPの大いなる野望」(p50)
すでに知名度や絶対的な価値の世界王座を目指すのではなく、ベルトの出自や由来がどれだけ下でも、試合を重ねることで値打ちをあげていく「ベルトの価値はそれを巻いている選手によっていかようにも変わる」というアントニオ猪木が提唱したロジック。無名のNWF王座はこの考え方により価値を上げ、1983年のIWGP設立にまで至る。当時の全日本がNWAタイトルや力道山由来の王座を神格化していたのとは対照的。
 棚橋 ベルトは人を呼ぶものという位置づけ。僕は広島。北海道、仙台と地方でタイトルマッチするのが好きです。WWEのレッスルマニアのように、うちでタイトルマッチしてほしいという招致合戦を起こしたい。経済をIWGPで回したい。

 永田さん 僕は客を呼べなきゃチャンピオンはダメだと猪木さんから言われてきた。背伸びしてでもニュースを作れ。お客さんの期待を煽れと。とにかく客の呼べないチャンピオンと呼ばれるのが嫌でした。

 ライガー 権威というより誰持ってるか、ですね。例えばNEVER王座。あのベルト単体の価値なんて誰もわかんない。でも石井智宏選手の試合を観れば、凄い試合、凄いベルトだなってなっていく。凄い試合をすること、それで価値が上がっていけばいい。
 あとね、棚橋選手は僕理想とするチャンピオンなんですよ。相手を殺さないで、危ない危ない、そのギリギリのところで逆転してベルトを守るの。挑戦者はもうちょっと頑張れば勝てたじゃんって試合の後もっともっと応援される。棚橋選手はそれができてる。棚橋選手は僕の理想のチャンピオンです。

休憩挟んで、観客アンケートからの質問に3選手が答えます。
■一番好きな自分のからだの部位
 棚橋 肩です。人間の第一印象ってアウトラインを形作る肩と、腹筋だと言われてるんです。僕はヤングライオンのとき、肩の丸みをなくなられたマッスル北村さんに褒められて、以来お気に入りです。

 ライガー ……どっかいいとこあります? 上半身? 長すぎるでしょう。
(棚橋「僕は大きな背中が好きです☆」とフォロー)ありやすっ!

 永田さん 顔ですね(キッパリ)。

そうですよね!
そして最後はやっぱりこの質問。
■新日イズムとは何か
 ライガー 闘い。

 棚橋 なんでプロレスラーになるか。一番になりたいからなんです。だから闘う男の魂です。

 永田さん 自分をさらけ出して戦うってことですかね。嫉妬、怒り。恥。そういうものを隠すのがほかの競技だけれど、プロレスラーとはそれをさらけ出して戦うものだと思います。

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この記事へのコメント
永田さんw
Posted by げんどう at 2014年10月26日 07:39
永田と棚橋はまったくダメだな
Posted by ウンコのチカラ at 2014年10月26日 08:39
こういうカルマとも言える永遠の求道目標みたいなの大好きです。
それにしてもアングルの「(栗栖)ベノワ戦」は見たかったなー
アングルがイスでバコンバコン叩かれたんだろうな。
Posted by TJS at 2014年10月26日 10:52
●TJSさんへ
ぎゃー!! 栗カラスの形相で修正します!
Posted by 漁師JJ at 2014年10月26日 11:12