草原に吹くこえ・感想レビュー

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「シン・ゴジラ」‐絶賛と批判の箇条書き‐

 「シン・ゴジラ」を鑑賞した。今すぐレビューをまとめたいほどの衝撃を受けたが、あいにく私用のためその時間がない。そこで箇条書きの形式で感想を整理し、備忘録としたい。なおネタバレに関しては配慮しないが、作品に対する全体的なレビューを企図するため、具体的な展開にまでは踏み込まない。鑑賞を迷われているのならば、読んで検討して頂けると幸いである。


絶賛
■凄まじく面白いエンターテイメントである
・前半部のリアリティーに富んだ政治劇、公務に携わる人々の生き様、そして戦闘シーン、全てに躍動感があり味わい深い
・映像効果が素晴らしく、自衛隊の苦闘、そして街の破壊が迫ってくるかのように描かれている(CG等が優れているというわけではないが、見せ方が良い)
・演出が卓越しており、あっと思わせる展開の連続で、しかし緩急にも優れており飽きることがない

■紛うことなくゴジラ映画であった
・初代や'84を思わせるハード路線で、特に政府・自衛隊の描写への拘りは唸るほかない出来栄え
・一方で諸設定は平成VSシリーズの興味深いところを集めたかのようであり、実にゴジラ的
・特撮を愛す一方でゴジラの人間ではない、“外様”の庵野監督だからこそできた斬新にして王道(良い意味でベタ)な、突き詰めたゴジラ映画だったと言える


批判
■極めて強い既視感
・監督名が隠されていても分かるのではと思うほど、庵野監督の既存作品と演出・展開が似通っている
(・あのテーマ曲と作戦の推移を前にして、ヤシマ作戦を思い浮かべないことは不可能と思われる)
・上段のゴジラ映画として突き詰められていることとの兼ね合いで、ブレイクスルーと言えるほどの新奇性については乏しかった
・ゴジラの造形が前衛的な一方で、内容自体は良くも悪くも手堅い

■やや残るちぐはぐな印象
・再びゴジラ映画として突き詰められていることと関連して、食い合わせの悪い要素も少数ある
・巨災対のやや戯画的な描写や、米国特使の強烈なパーソナリティは、骨太の政治ドラマと相性が悪いと感じた
(・しかし上述がなければ映画は極めて重苦しくなり、エンターテイメントしては失策となる可能性はある)

■テーマの(個人的には)リアリティの乏しさ
・この映画の主題は未曾有の危機に際して立ち上がる人々の描写、すなわち日本はまだまだ戦えるという命題の描写であると考える
・しかし現実に矢口はいない。また少子化、貧困化、衆愚化等々の巨大な災厄を前にしても、なお戦いは起こりそうにない
・映画に政治的リアリティを求めないというスタンスも可能だが、政治性をテーマとしている以上、そのリアリティは批判の対象足りえると考える
・まさしく劇中で矢口が述べるように、“根拠の無い楽観論”(=日本はまだまだ戦える)ほど事態の悪化を招くものはないのではないだろうか


総評
・近年のジリ貧とも言われる邦画界の環境で、ここまでの秀作を練り上げた功績は余りある
・このブームを皮切りに、再び日本のゴジラシリーズが始まるとすれば庵野監督に足を向けては眠れない
・一方で全ての要素で85点という印象で、エンタメならスペゴジやギャレゴジ、人間ドラマならビオランテ、政治色なら初代・ヘドラなどなど、より特化した作品は思い当たる
・テーマについては議論の余地がある(あるいはこれこそがこの映画の虚構なのか)
(・ラストカットはほんとQの印象しかなくて不安しかないから別路線をどうか……)

結論
・USゴジも日本ゴジも続編が楽しみ!

「デジモンアドベンチャー tri.」-triの意味を知る進化の物語-

 2014年の制作発表より1年半。心待ちにしていたデジモンシリーズの最新作、そして初代「デジモンアドベンチャー」の直接的続編である「デジモンアドベンチャー tri.」が公開されました。

無垢な少年のままではいられない、高校生となった選ばれし子供たちの冒険を描く今作は、まさに『─今、冒険が進化する─』という言葉を再現するものでした。その一方で映画としては苦しい点もあり、レビューしがいがあると言えるかもしれません。

なお今作はシリーズの第一章ということで、本項はとりあえずのレビューを行うものです。全ての章を見終わった時、改めて本腰を入れてレビューできればと考えています。

3rd


 17歳になった太一。デジモンワールドへの扉は閉じられて久しく、普通の高校生活を送っていた。かつての仲間たちと集まる機会も少なくなり、郷愁にとらわれることもある日々。将来の志望も定まらず、寄る辺のなさも感じていた。

そんな太一の前に、突如クワガーモンが姿を表わす。街は大混乱に陥り、なんとかせねばと追いかける太一だったが、彼一人では何もできない。しかしその瞬間、デジヴァイスが光を放ち、あの懐かしい声が……




 当サイトにしては短いあらすじになったのでは? デジモンシリーズの知識がないと鑑賞は難しく、特に初代作品の視聴は必須だと思われます。デジモンとは何なのか? 太一たちの関係とは何なのか? 等々ほとんど説明されなかったので。さすがに前編ありきと言わざるをえないでしょう。

ただその一方で、だからこそ続編作品としての魅力はたっぷりで、高校生になった彼らの関係性、そして考え方の変化等が鮮やかでした。一方で戦闘シーンもシリーズ特有の雰囲気を継承していて、ファンであればこそ楽しめる内容だったと思います。



 それでは具体的なレビューに入っていきます。まず最初に語るべきは、『─今、冒険が進化する─』という言葉で表現される内容・テーマでしょう。


 やはり冒険を描いてこそのシリーズであり、今作もまた冒険が描かれる作品でした。しかしその有りようは大きく変わっており、特に高校生――もはや少年ではない彼らの冒険、という描写です。

冒険は基本的に少年のものです。その無垢さ、実直さ、ある種の無鉄砲さこそが、冒険のダイナミズムを保証するからです。ズルを覚えていたり、素直でなかったり、臆病であったりするようなら、冒険は足かせを負っていると言えるでしょう。(それもまた味わい深いですし、シリーズには上記をえぐりだすような展開も多いですが)

それを体現するかのように、デジモンシリーズの主人公は少年達でしたし、初代作品の選ばれし子供達もまた、13歳に満たない小学生達でした。デジモンが描いてきた冒険とは、常に少年のものだったのです。


 しかし今作の主人公たちは高校生なのです。いまだ成熟した大人とは言えませんが、迷いや逃げも当たり前のように考えるようになってしまった、もはや少年ではない存在。そんな彼らは今まで以上に多くを悩み、戸惑いを隠せません。

劇中、太一は戦いがもたらす被害を考え、今一歩前へと踏み込めずにいます。多くを見ることができ、多くを知ることができるようになった17歳だからこそ、彼の“勇気”は否応なく揺らいでいるのです。そんな“勇気”が変わらない“友情”の諭しを得て、もう一度奮い立っていくさまは、まさにデジモンという印象でした。


 以上のことを踏まえると、tri.とはやはりダブルミーニングであるように思います。少年のままではいられない、もはや無垢でもなく愚直でもいられない。そんな今を踏み超える“勇気”だからこそトライであり、またデジモンのナンバリング03、tri.を冠せるのでしょう。

テーマ的にはかなりの挑戦なので、今後の展開に期待大ですし、そういう部分を楽しみにしてぜひ劇場に足を運んでみてはと思います。ファンならばやはり観るべきでしょう。



 さて、以上のように今作はデジモンシリーズの過程を踏まえると、なかなかに見どころのある作品です。テーマは挑戦的であり、初代の続編として考えると、今後に興味が湧きます。

しかしレビューは客観性が大事ですし、ここからは少し批評なども加える必要が出てきます。一言で言ってしまえば今作、劇場アニメーションとしてはかなりイマイチな出来だったのです。


 テレビ放映の予定が劇場シリーズに変更されたとは言え、ちょっと映像が動かなすぎだと思います。ほぼ動くものがないシーンも多いですし、また描き込みもかなり薄味。いざ動く戦闘シーンも、ダイナミックかというと程遠く、ちょっと拍子抜けというところでした。

同時に音響効果も妙に弱く、音の響きで心を掴んでくるシーンはほぼありませんでした。効果音なども安っぽく、どうにもイマイチのできでしたね。

正直なところ、郷愁を差し引かなければどう考えても初代デジアドのほうが映像的にも音響的にも興奮する出来でした。ネット上では酷評に近いレビューも見かけますが、反論することはやや難しいといった印象です。


 練り切れていないのは演出も同様で、間延びして退屈する時間帯がある一方で、戦闘シーンなどは短かったりして、どうにも興奮しきれない印象です。言葉を選ばずに言えば、予算と時間が足りなかったのが透けて見える感じで、人気作品の続編なのだからもう少し頑張って欲しいところです。

声優についても同様で、人気どころを抑えてはいるのですが、元の声とかけ離れた演技をしている方も多く、演技を練る時間が足りなかったのかもしれません。キャラ画にしろ声にしろ、変化を描くのですから変更は当然と私は考えますが、変え方はもう少し自然であってもいいでしょう。

(元のキャラに似せようとしている方もいるのですが、シーン毎にチグハグなのがまたひっかかりましたね。三森すずこさんなんか、シーンによっては非常に武之内空だったのですが、別のシーンでは完全に園田海未でちょっと笑ってしまいました;)


 以上否定的に変更点をレビューしましたが、ただ主題歌に関してだけは素晴らしかったです。前作と変わらず和田光司さんが「Butter-fly」を担当されているのですが、喉の病気からの復帰ということで、まあ客観的に言えば少し音が弱くなっています。

けれどだからこそいいのです。だって今作は少年のままではいられなくなった物語なのですから。弱くていいんです。弱いけれど、それでも前を向いていこうといった雰囲気が、作品に最高にマッチしているのです。

考えてみると「Butter-fly」はけっこう皮肉っぽさもある歌詞なのですが、初代の歌唱だとそういうの全部踏み倒して前向きという感がありました。しかしちょっと苦しそうだからこそ、弱さも見えるからこそ、歌詞の持っていた別の魅力が立ち上ってきているんですね。素晴らしい。


 他にも相も変わらず盛り上がる「brave heart」の演出。正直アレンジ的には初代のほうが好きなんですが、まぁいいんですよ。やっぱイントロ最高ですし、ほんと「さぁ!」という気持ちにさせてくれます。(進化シーンがちょっと淡い感じになったのはそこまで好きじゃないんですが;)

それとED「I wish」も懐かしいですねぇ。前田愛さんの綺麗な高音がキラキラとしたアレンジとなって、僕らの感傷に突き刺さるというわけです。良かったです。



 「デジモンアドベンチャー tri.」の第1章「再会」のレビューはこんなところです。繰り返しになりますが、テーマ・内容が意欲的である一方で、どうしても作品の完成度は低めといった感じです。

ですが応援しないことにはクオリティは上がらないので、ファンならばぜひ観て欲しいところです。そして初代未視聴の人は、傑作だから今すぐ一挙放送等を予約しましょう!




 余談ですが、空ちゃんがかなり大人っぽい身体つきになっていて、有り体に言ってエロかったですね……! 昔と変わらず面倒見が良くて情が深いですし、太一とヤマトの間で揺れてる感じですし(02の描写はなかったことになった?)、いやはや今後がとてもとても楽しみです。

あと光子郎くんとミミちゃんの関係とかもいいですよね。タケルと光ちゃんの腐れ縁な感じも良い。うんうん、当時はCPとか存在も知りませんでしたが、そういう視点を得て観るのもまた……不躾ではありますが、乙でもあるというものです。
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