2018年05月27日

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「坐禅」ならイメージできますが、「止観」というと聞き慣れないかと思います。

これは中国において仏教の主流派が禅宗になったから「坐禅」という言葉が市民権を得るよ
うになったからです。

禅宗における坐禅の指南書のスタンダードは『坐禅儀』ですが、作法の大分部は『天台小止観』からの引用です。ですから天台の止観から禅宗が発展してきたと言っても過言ではないのです。

「止観」は原始仏教におけるシャマタ(=止)とヴィパッシャナー(=観)を継承し、インドの思想家・龍樹菩薩の「中観」思想によって整理されました。その直系の教えが天台教学であり、実践面では『摩訶止観』に説かれた「止観」なのです。

中国・日本における坐禅の方法論はこの『摩訶止観』がすべてを網羅する基礎なのです(東南アジアでは『清浄道論』がスタンダードです)。

『摩訶止観』では「止観」をただ単にシャマタ(=止)とヴィパッシャナー(=観)と理解するのではなく、一切の仏事、一切の修行を「止観」と考えます。すべての修行を摂するから「摩訶(=偉大な)」止観なのです。

ですからマインドフルネス瞑想も『摩訶止観』にかかると止観という大きなフレームの中の一つのカテゴリーに収まるのです。

マインドフルネスは元のベースが上座部仏教の観法ですから、二乗教の観法を仮観だけで行っている止観ということになります。

マインドフルネスを行っている方はバランスを取るためにぜひとも空観も学び、仮観と空観を自由に行き来できる中観に進んで頂きたいと思います。
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