2004年03月07日

大島保克

沖縄についてあれこれ聞かれる機会が増えた。
人に聞かれるよりも自ら語っている方が多いという指摘には、全く持って返す言葉がないけれど。

大抵聞かれることは、食べ物のことか、音楽のことだ。特に「沖縄の音楽ってどんなんがいいの??」という類いの質問は多い。その度に喉まで出てきてグッとこらえる名前がある。大島保克である。
大島保克という人はBEGINの三人の同級生としても有名だが、純粋に唄者として高く評価されるべき存在だ。こんなに美しい島唄が歌える人を他に知らない。

石垣島は白保村の出身で芸能一家に生まれたと聞く。高校のときは郷土芸能クラブに所属しながら、おじいさんから様々な島や村の伝承を聞き覚えたそうだ。それがライブでのMCで役に立っているとか。なんてことはググってしまえばすぐにわかるのでこれくらいにして。

八重山の唄者は裏声を使わないと一般的には言われる(奄美から本島くらいまでは男性の裏声が存在するそうな)。しかし大島保克の歌声は透き通った高音が特徴的だ。八重山民謡はその歌詞の意味を知ると哀しい唄の方が目立つ。「人頭税」なんて言葉で調べてみるとそのあたりはよく分かるだろう。とにかく近代までの八重山は受難の時代が続いた。そんな哀しみを歌わせれば大島保克の右に出るものはいない(と断言)。情念を沸き出すような力強さと優しさが介在しているのだ。

そして何より音の創り方がとてもとても洗練されている。アコースティックギター、ピアノ、トランペット、パーカッション、そんな楽器と三線が当たり前のように美しく融合しているのだ。(この辺は先輩たる大工哲弘や新良幸人が開拓した境地かもしれない)オススメアルバムは「島時間」。沖縄を意識する必要なんて全くなくて、誰がどんなシチュエーションで聴いても癒される空気がある。一枚アルバムを聴けば、きっと虜にされてしまうことだろう。安らいだ空気感は、彼の作品群の中でも秀逸。棺桶まで持っていきたい1枚である。

で、どうして喉まで出ているのにグッとこらえるかと言うと、最初に大島保克の名前を出してしまうと、もうそれ以上のオススメがなくなっちゃうんですよね。。。困ったもんです。
(詳細は画像をクリック)

購入前に以下のサイトで試聴できます↓
 http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A013224/-.html




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