今年の気温も今日が底値であるから、もうしばらくすると、太陽の勢力も、日に日に力を増して行くのだろう。あと少し上着を羽織っていると、一年でも一二をあらそうぐらい過ごしやすく、見所の多い季節がやってくるのだ。
 今年の桜はどうだろう、と日々北上する桜前線と名所の情報に耳をそばだてると同時に、暖かくなって浮かれたのか、南からやってくる移動性の低気圧に、桜が散ってしまわないだろうかと気にかかる。


  ・世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
   ・いま桜咲きぬと見えてうすぐもり春に霞める世のけしきかな 
  うららかだが忙しく、日本中がそわそわする、楽しい季節である。 

  ところが、今、南から登って来ているのが早桜ではなく、鳥インフルエンザだったせいで、全国、特に九州は、忙しいどころではなく、死活問題と時限爆弾を抱えて、戦々恐々としていると聞く。殺処分された鳥をゴミバケツに捨てている映像を見て、鳥、検疫官、農場主の三者の無念をなんとなく想像し、いたたまれなさを感じた。

 しかし、鳥ウイルスが変化し、人からも伝染するようになったとき、自分がゴミ箱にぽいっと捨てられるような立場にないとは、誰がどうして言い切れよう。現に、インドネシアなどでの感染者の死亡率は六割を越すと聞く。注意を怠るべからず。明日は我が身かも知れない。それを忘れてはならない。

 桜ははかなさの象徴として、よく歌われてきた。だが、僕は、今、塵のごとくはかなく消え去ってしまうのはごめんだ。まだしなければいけないことも、したいことも数多くある。後何十年かはわからないが、どちらにしろ、人生など、歴史の流れの中では所詮微々たるモノなのだから。


だから……
 それぐらい待ってもらっても、罰はあたらないでしょう?