「なぜ私は女の子なのに、男の子の体なの?」。性同一性障害(GID)に苦しみ眠れない夜を過ごしてきた埼玉県の小学2年男児(8)が昨年秋から学校に女児としての通学を認められ、元気に登校できるようになった。「学校に認めてもらえなかったらフリースクールを探すしかない」と覚悟していた母親(46)はひとまず胸をなで下ろすが、悩みは尽きない。【丹野恒一】

 昨年9月の始業式。校長は全校児童の前で語り始めた。「2年生に、体は男の子だけれど心は女の子の児童がいます。そのせいでずっと苦しんできましたが、思い切って女の子としてみんなの前に出てくることになりました。温かく見守ってください」

 母親は保護者懇談会で子どもがGIDと診断されたことを打ち明けた。「どうしても女の子として学校に行きたいと言っています。希望をかなえてやりたい。お願いします」。異論は出ず、女児としての生活が始まった。

 児童はもともと男女どちらでも通用する名前で、呼び名を変える必要はなかった。トイレは女性教員用を使っている。秋の運動会では、入場行進やダンスは女児のグループ。でも徒競走は「体力差がある」との理由で、男児と一緒に走った。母親は「髪を伸ばしているので男の子たちの中にいると目立ってしまい、一部の保護者に『あの子よ』と指をさされ、可哀そうだった」と振り返る。

 今後の心配は体つきや声が変わってきた時のことだ。西日本の小学校では周囲の児童や保護者に公表せず女児として入学した男児が高学年になっているが、水泳の授業はフリルの付いた水着を着て下半身を隠し、宿泊行事の際は寝間着が乱れても困らないよう、就寝後に教師が女児たちの部屋から運び出したという。一方、埼玉県の児童の場合は周囲も事情を知っている。学校側は学年が上がってからも、他の子たちとの関係がうまくいくような支援を手探りで考えていくことになる。

 母親は「心配なことを挙げればきりがないが、誰もが当然のように経験していくことをその都度クリアしていけるよう、精いっぱい手助けしたい。これをきっかけに、社会の理解が進むといい」と願っている。

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