経営を軌道に乗せた手腕、長年影響力を保ち続けたカリスマぶり。井手正敬氏(74)はJR西日本の社長、会長、相談役と君臨。JR西は「井手商会」とも呼ばれた。だが、現在はJR西との関係はなく、公の場に姿を見せることも少ない。

 昭和62年の分割民営化を国鉄内で主導した「改革3人組」の一人で、平成4年にJR西社長に就任。私鉄王国の関西で脆弱(ぜいじゃく)だった経営を立て直し、8年には株式上場を果たした。

 収益向上のためスピードアップと増発を推進。その一環で8年に実施されたのが、兵庫県尼崎市の脱線事故現場を急カーブに付け替える工事だった。

 南谷昌二郎氏(68)は井手氏の後任として9年に社長となり、垣内剛氏(65)は、その後任として15年に社長に就任した。両氏ともに井手氏の経営効率化路線を継承。経営を優先した結果、事故現場への自動列車停止装置(ATS)設置が遅れるなど、安全対策が後手に回ったとの指摘もある。

 井手氏は26日、「私としては、深く受け止めなければならないと考えている」。南谷氏は「引き続き、遺族、けがをされた方々への対応に全力を尽くしたい」。垣内氏は「当時の責任者として心からおわび申し上げる」といったコメントを出した。

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