亀井静香郵政改革・金融相と原口一博総務相が記者会見で発表したゆうちょ銀行の預入限度額を2千万円に引き上げるなどの郵政改革法案骨子をめぐり、鳩山内閣が揺れている。鳩山由紀夫首相は25日、限度額などの骨格部分を含め再調整する考えを示したのに対し、亀井氏は大幅修正には応じない構えだ。首相は政権発足半年にあたる16日には「自分の意思を強く示してまいりたい」と述べ、指導力発揮に意欲を表明していたが、現実は思うようにはならないようだ。(比護義則)

 「(亀井氏らは)まだ議論する前に決まったかのように発言している。調整前の発表はまずかった」

 首相は25日夕、記者団にこう述べ、亀井氏に不快感を示した。首相が担当閣僚の正式発表を否定するのは極めてまれだ。

 その一方で、首相は「強力な案であることは間違いない」とも述べ、亀井氏に一定の配慮も示した。このような首相の手綱さばきのつたなさが閣僚らのバラバラな発信を招いている。

 亀井氏はこの日夕、記者団に「(首相の了解は)現実なんだ。了解していないなんておっしゃるはずがない」と述べ、日本郵政グループへの政府出資比率や、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げ幅などについて修正する考えのないことを強調した。

 これに対し、仙谷由人国家戦略担当相は「内閣全体の問題だ。もっとオープンな形で議論を尽くさないといけない」と述べ、亀井氏らの対応に不満を示した。古川元久内閣府副大臣も同日の記者会見で「相当慎重に議論しないといけない」と語った。

 平野博文官房長官は同日の記者会見で「民業圧迫のない公正な競争を前提に亀井担当相が検討していると思う」と、亀井氏に対し民間からの批判に配慮するよう暗に求めた。

 慎重派が問題視しているのは、預入限度額の引き上げが民業圧迫につながりかねない上、非正規社員の正社員化を進めることにより日本郵政の人件費拡大を招く可能性があることだ。法案骨子が発表された24日、仙谷氏は「ちゃんと議論せずに既成事実が積み上がっていいとは思わない」と再検討を求めた。

 このとき、首相も「閣内でも議論する必要がある」と仙谷氏に歩調を合わせていただけに、25日の亀井氏の発言は「首相のメンツを完全につぶした」(政府筋)といえる。

 閣内対立が深刻化し、4月中を目指す法案の閣議決定が遅れれば、鳩山政権は痛手をこうむる。

 首相は25日昼、菅直人副総理・財務相、平野、仙谷両氏の3閣僚と昼食をともにし、この問題について協議した。平野長官は25日午後の記者会見で、首相から関係閣僚の意見調整を進めるよう指示があったことを明らかにした。首相からは「(閣内の調整が)必要だな、との話があった」という。

 首相の指導力に疑問符をつけざるをえないのは郵政改革だけでない。

 首相は24日の政府・民主党首脳会議で、政府系公益法人と独立行政法人を対象とした事業仕分け第2弾について、「1年生議員を総動員して、公益法人、独立行政法人の見直しに力を貸してほしい」と党側に協力を要請した。

 ところが、山岡賢次国対委員長が25日の党代議士会で、事業仕分けに携わるメンバーについて「議員は入らない」と断言すると、首相は同日夕、「別に、(新人議員に)事業仕分け人になれと言っているわけではない」と、あっさり山岡氏の言葉を追認してしまった。

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 ■法案めぐる発言

 郵政改革法案をめぐる閣僚や野党党首らの25日の発言は次の通り。

 鳩山由紀夫首相「(亀井静香郵政改革・金融相の発表案が)強力な案であることは間違いないが、これから閣議で調整して決める必要がある。私が(亀井氏の案を)了解したと伝えられているが、実際には了解ではない。調整前に発表したのはまずかった」

 亀井静香郵政改革・金融相「閣僚だけでなく与野党を問わず意見は聞くが、(法案の概要は)もう決めていることだ。首相に了承されたから決めた。首相の意に反した発表なんかしない。(修正しないことは)当たり前だ」

 平野博文官房長官「原口一博総務相と亀井氏が協議し、了承したことは重い判断だ。亀井氏が勝手に先行しているわけではない」

 仙谷由人国家戦略担当相「内閣全体の問題であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険についてオープンに議論する必要がある」

 谷垣禎一自民党総裁「郵政の再国有化になっている。郵政票を見越した与党の行き過ぎた選挙至上主義の表れだ。金融システムに与える影響や国民負担の問題が全く欠落した暴論で、首相のリーダーシップの欠落を白日の下にさらした」

 山口那津男公明党代表「この段階で異論が出るのは、内閣が機能不全に陥っていると言わざるを得ない」

 志位和夫共産党委員長「郵政事業に対する理念上の一致がないから閣内が混乱している」

 竹中平蔵元総務相「親方・日の丸でやっていくということであり、間違いなく民業圧迫になる。どれだけ国民に大きな負担をもたらすか明らかにすべきだ」

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