「ひぐらしのなく頃に解」 DVD 捜査録 - 紡 - file.03 <初回限定生産>

前回のラストで提示されたとおり、診療所組と部活メンバー組に分かれての戦いとなっておりました。

 

決められた尺の中でまとめなければならないので、ある程度短縮されてしまうのは仕方ないことではありますが、その分やはり迫力に欠けてしまったように感じたのは残念だったと思います。この辺は圧倒的な文章量で押してくるノベルと映像(動き)で見せるアニメという媒体の違いによるものでもあるとは思いますが……できればアニメのほうでももう少し健闘して欲しかったかなぁ、と。自分が原作を知っているせいか(細かい部分はうろ覚えですけど)、今までの劣勢をひっくり返して行く様を面白いと思う気持ちよりも、細かいところに関するつっこみが浮かんでしまいましたので(汗)。

 

警報装置が作動したらガスが出ることを忘れていた入江は、まあ彼のキャラクターを考えるとやりそうなので苦笑するしかないですが、悟史と再会したときの詩音とのやりとりなどを見ていると、詩音を連れてきた意味が分からなくなってしまいました。山狗は悟史に危害を加えず、悟史もその場から動かせないのなら、詩音に悟史の現状を見せること以外に彼女を連れてくる意味がないような。実際、この診療所での戦いにおいて、彼女はただ一緒にいただけで何もしていませんし、連行される役なら入江一人で足りそうですし。しかも、生きているという最大の希望だけ与えておいて現状を見せてから回復が難しいことを教えて落とすって、ラスト間近の主人公側の逆転ターンが始まったところで、何で入江はもっと前の段階で敵役がやりそうなことをやっているんだろう、と……。いやまあ、その後で自分が何とか回復させてみせる、と語ってはいるのですが……現状を見せてから説明したほうが納得してもらいやすい、というのがあったのかもしれませんが、妙に段取り悪く感じてしまいます。あそこのやりとりだけを切り取って見るのなら、決して悪くはないのですけどね。詩音の作画とかかなり気合い入っていたように思いますし。……何か、書いていてこんな感想しか浮かばなかった自分がちょっと悲しくなってきたかも(涙)。

 

部活メンバーのほうは、もうちょっと尺があってトラップとそれによる山狗の混乱をもっと畳み掛けてくれたらもう少し評価が上がったかも、といったところ。前述した媒体の違いによる差を感じてしまったからそんな感じの評価ではありますが、どういう攻防が繰り広げられていたのかは分かったかな、と。それに、よく考えてみれば、レナと圭一によるトラップ発動シーンが描かれたり、心理戦による撹乱を圭一と羽入でやっていたりと、レナと圭一の活躍を持ってきたのは良かったところかと思います。原作では空気化していた二人に、せめてアニメではもうちょっと活躍の場を与えて欲しいなぁと思っていたので、二人のシーンの追加というより他のメンバーの活躍シーンのカットではあったような気はしますが、それでもこれはちょっと嬉しかったです(あくまで原作よりは存在感を感じたって程度ではありますが(苦笑))。それに、沙都子に関しては、直接対峙しての活躍はカットされていましたが、彼女にとってはトラップこそが彼女の見せ場でもあるのでこれはイコールで考えても良いかと。梨花と魅音は……まだ戦いが終わったわけではないので、次回に期待でしょうか? でも、魅音のあれはアニメではカットでもいいような気がしますけどね……何というか、アニメではますます浮いたシーンになりかねないような気がしないでもなくというか……。羽入は、今までカットされまくってきた本気の神様モードが最後の最後で見られるかどうかが気掛かりです。

 

 Cパートは、連絡手段を断たれた診療所組が興宮へ向かう途中、山狗の待ち伏せと遭遇して……というところで終了。画面が暗転しての銃声は、実際のところ何が起こったのか分からない、という感じがなかなか良い引きだったのではないかと。流れ的には山狗の放った弾丸が赤坂と富竹を……なシーンですが、暗転したが故に、本当にそうなったのかどうかは分からない感じ。原作を知らなければかなりドキドキしながら一週間を待つ展開かと(笑)。車に乗っているのは富竹と赤坂だけのように見えたことから、今回はただの同行者にしか見えなかった詩音が何らかの活躍を見せてくれるのかも気になるところですが。

 

◇次回「祭囃し編 其の拾壱 オシマイ」

 

 何をやっているのか映像から推測が難しい、という点では、今回の予告映像の選出は良い感じなのかなぁ、と思ったのですが、よく考えたら富竹と赤坂がぴんぴんしている様子が出てきているのは今回ラストの最大のネタバレな気がする……。ついでに言えば、彼らが何をしているのかは分からないものの、移り変わる背景を見ていると、少なくともそこへの移動での起こる障害を彼らが突破したのであろうことは分かってしまうような……。ま、まあ、この物語の勝利条件が誰も仲間が欠けないことだと提示されているわけで、その物語の最終回で死亡者が出るとは思えないから、そんなものがなくても予想の範囲内ではあるのかもしれませんが……。

 

 何はともあれ、次回でとうとう「ひぐらしのなく頃に解」も最終回。長く続いた物語がどのように締めくくられるのか、楽しみにしたいところです。