劇場版 機動戦士ガンダムOO A wakening of the Trailblazer オリジナルサウンドトラック 劇場版 機動戦士ガンダムOO A wakening of the Trailblazer オリジナルサウンドトラック
サントラ THE BACK HORN

flying DOG 2010-09-22
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公開から既に一週間が過ぎましたが、私もようやく「劇場版機動戦士ガンダム00」を観てきました。ついでに、初めてのミッドランドスクエアシネマでした(笑)。最初はレディースデーで安く観られる木曜日に行こうかと思っていたのですが、今日、面接で名古屋に行くことになったので(未だ就職活動中……)、ついでに終わった後に観てきましたということで、感想です。

 

 

 

 

TV版が放送終了してから少し時間が経ってしまっているので、細かい部分の内容がうろ覚えなところもありましたが、大まかなあらすじを覚えていれば十分楽しんで観られました。

 

TV版最終回からは更に時が流れ、CBは表舞台から姿を消し、新政権が樹立して融和政策を推し進めているというように、いろいろあったけど、世界は対話の方向へと進み始めているところからスタート。いきなりのCBの映画には笑ってしまいましたけど、この辺はまず、TVシリーズ終了後の「00」の世界がどうなったのか、かつてのキャラたちはその世界で今何をしているのか、その辺を楽しんで観ていた感じでしょうか。

中にはイノベイターとして変革した者、あるいはその予備軍がいることも語られ、新政権の方針も含め、TVシリーズを通して少しずつでも世界が良い方向へと進み始めていることが見られたのは、そうなるまでのCBを始めとするキャラたちの戦いを見てきた身としては何となく嬉しくなるところでした。……とはいえ、沙慈がモノローグで語っていたように、この時点ではまだ、恐怖の反動のような融和政策でしたけど。

 

そんな世界に起こるのが、無人の木星探査船「エウロパ」の進路変更作戦の結果、地球に降り注いだ破片から現れた謎の異星体“エルス”による事件。金属の生命体で、無人のまま機械を操ったり、脳量子波の因子を持つ人(イノベイター予備軍)に惹かれて融合したりする、そんな異星体……。

 

この異星体“エルス”の設定は、見ていて面白いなぁと思ったところです。物語の外から眺めている身としては、おそらく“エルス”には意志があり、だけどそこに敵意はないのだろうと分かるわけで(敵意があるとすると、そこまで描かなくてはならなくなりますし)。となれば、彼らの行動は彼らなりの対話手段であると推測できる。でも、彼らとは違う対話手段を持つ人類にとっては(そもそも生命体としての在り方からして全然違う)、彼らの行動は襲って来ているとしか思えない。

……そんな展開が、その方向に進み始めたとはいえ、同じ人同士ですらまだ完全には分かり合えずにいる人類に降りかかるわけですから。

 

となれば当然、人類の下す決断は一つしかないわけで。全員が全員、即座に攻撃することを選んだわけではないけれど、目前に迫った危機があるなら、やはりまずは目の前の脅威を排除することを選択してしまう。……そもそも、分かり合おうにも、自分が生きていないと意味がないのだから。

 

未知の生命体……それも、接触すると取り込まれてしまう相手ということで、劇場のスクリーンで見る迫力も手伝って、戦闘シーンは見応え十分なものでした。刹那たちが窮地に陥ったときは、助けが入るのを予想……というか期待してしまうわけですが、それに見事に応えてくれる展開は分かっていても熱くなるところですし、それが仲間のティエリアだけでなく、かつては敵だったグラハムだったり、逆に彼らの窮地を刹那たちが助けに行ったりと、組織の垣根を越えて共闘する姿は、敵対していた時代を知っていると余計に興奮してしまうものがあるわけで。

 

とはいえ、この物語は勿論、自分たちとは異なるものを排除して終わるものではないので、何とか対話による解決ができないかをずっと模索していくわけで……。

その要となるのが刹那なわけですが、面白いのが、彼自身はそれを望みながらも、自身がイノベイターとなってしまったことで、そうでない他の面々との関係に微妙に溝ができてしまっていたこと。劇場で観ていたときは気づかなかったけど、“エルス”との対話がなかなかうまくいかなかったのは、それ自体が難しいことだったのもあるだろうけど、同時に、刹那自身が他人と分かり合えないもどかしさを感じていたからなのかも、なんて。

 

TVシリーズの後の世界の物語ということで、各キャラがその分しっかりと成長している姿を見られたのも楽しかったところなのですが(最初に”エルス”に襲われたときのハレルヤのアクションシーンは、別の意味で見応え十分でした(笑))、刹那が最後に“エルス”との対話に成功したのは、そんな彼らの想いがあったからこそ、というのが更に熱いところだったかと。

自らの命が危機に晒されても対話を諦めないマリナ、刹那を信じ、最後まで全員で生き残ることを信じるトレミークルー(フェルトやライルのように人間とイノベイター(イノベイド)だけど築けた絆とか、身体がなくてもティエリアが好きだと言ったミレイナとか、別人格をも受け入れて一緒にいるアレルヤ&マリーとか……個人レベルでは違う存在である障害を乗り越えているんですよね、彼ら。勿論、そこには刹那を仲間としていることも含まれるわけですが)、大切な人と世界を守るために自分にできる精一杯を頑張っている沙慈、強い力(ガンダム)ではなく刹那に未来を見たグラハム、そして、今の世界まで来られなかったからこそ願いを託したかつての仲間たち……。

一つ一つは小さいかもしれないけど、分かり合いたい、分かり合えるんだという気持ちが、刹那の迷いを吹き飛ばして、あるいは力を貸してくれて、ラストに繋がったんじゃないかな、と。

 

そしてその結果が、宇宙に咲いた花。刹那にとっての平和(対話)の象徴で……たぶん、大多数の人にとっても同じはずのその光景。

刹那が“エルス”との対話に成功し、だからこそ彼らは敵意がないことを示すためにそれを見せた……そんなふうに解釈して観ていましたが、そんな理由を考えなくても、視覚的なものだけでもそれが十分伝わってくる光景でした。

 

想定よりもかなり早い段階で起こってしまった「来るべき対話」のとき。それがちゃんと途切れることなく続いたことは、EDロール後の数十年後の世界で語られました。逆に言えば、人類がそれを乗り越えて外宇宙に進出するまでには更に数十年の時を要した……とも言えますが、それでも最終的にその道に辿り着けたことは、劇場版にてようやく生前のイオリア・シュヘンベルグ自身の考えを聞けたこともあり、感慨深いものがありました。同時に、これで完膚なきまでに終わりなのだと思うと一抹の淋しさもありましたが……それでも、分かり合うことを諦めずにいればそれは叶うのだということを見せてくれたのには素直に感動したいところではあります。

……そう思う傍ら、でもそれが難しいんだよなぁと思ってしまう辺り、現実の難しさと、それをやり遂げた刹那たちの凄さを感じてしまうところでもありますが(笑)。

 

全体的な感想はこのくらいにして、細かい部分のことも。

個人的にちょっと残念だったなーと思ったのが、刹那に次ぐイノベイター……それも新政権側の軍人として登場したデカルト・シャーマン。人より進化した存在でありながら、それ故にモルモットのような扱いを受け、その歪みのせいか、内心では人類を蔑んでいた彼。“エルス”との戦いで取り込まれ、その後登場がなかったことからおそらく死亡したと思われるわけですが、そんな彼だからこそ、もしもあの戦いを生き延びていたらその後の世界でどんなふうになっていたのか、それを見たかったです。あるいはせめて、彼の先駆者であった刹那と言葉を交わしていたらどうなっていたかが見たかったかも。

興味深いキャラだなーと思いながら見ていただけに、その最期は残念でした。

 

TV版では迷走していたこともあったものの……というか、迷走していた時期があったからこそか、劇場版のグラハムさんが終始かっこ良かったです(笑)。

言動は相変わらずでそこは笑えてしまうところなんだけど、窮地の刹那を助ける手助けをし、かつての自分を振り返りながら刹那こそが目指すべき道だと悟ったことを語り、最後には人類の未来のために刹那に道を切り開いて……。最期までそんなかっこ良いところを見せてくれたので、デカルトのような意味での残念さはないのですが、それでも彼も、あそこで散ってしまったのは惜しく、宇宙に咲いた花を一緒に見て欲しかったなと思うところです。

 

劇場版では更にフェルトが可愛くなっていたので、彼女の想いを応援しながら観ている部分もあったのですが、ラストを見ると、やっぱりメインヒロインはマリナさんだったかー……という感じで。後から振り返ってみれば、「想うだけでいい」と言った時点で、フェルトの失恋(?)は確定していたとも思えますが、個人的にはちょっと残念だったところかも。

 

とはいえ、ラストの刹那とマリナの再会は、この物語の締めとしては非常に綺麗なもので、テーマとなる部分を最初から最後までぶれずに貫き通したのが彼女だったことを思えば、このラストしかないよなぁと思えてしまうところも。

イノベイターは寿命が二倍あるみたいなことが語られていたので、数十年が経過しても刹那が年取っていないように見えるのはそれほど驚くところではありませんでしたが、どうもあの戦いからずっと音信不通だったっぽいことと、金属のような外見になっていたところを見ると、“エルス”の中枢と接触後、彼はずっと対話を続け、“エルス”との共生の道を見つけ出したということなのかな、とも思えるわけで、それを考えるとやっぱりあのラストしかないのかな、とも。それに、ずっとすれ違い続けた二人がようやく心から分かり合って向かい合えたと思えば、やっぱりこれ以上のラストはないわけで。そう考えると、本当に綺麗なラストだったなぁ……と。

 

 

そんな感じで、非常に楽しめた劇場版でした。

いろいろ書いてはみたものの、たぶん一度観ただけでは理解し切れていない部分もあるだろうなーと思うし、それがなくても面白かったので、できればもう一回くらい観たいなーと思うところではありますが……金銭的にたぶんそれは無理ですかね。でもまあ、一度観られただけでも十分満足できるものでした。