境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) 境界線上のホライゾン1〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫)
川上 稔 さとやす

アスキーメディアワークス 2008-10-10
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丸々一話を使って、武蔵の置かれた現状の説明と、ホライゾン救出に動くか否かが描かれた回でした。

そして、いよいよ正純・二代の選択が重要な意味を持ってきそうな展開にもなってきたかと。

 

ホライゾンが元信の後継者として認められ、三河消失の責任を取る形で自害することが決定したのは前回ラストのとおり。そのことによって、聖連側が武蔵側のあれこれを取り上げようとしているのも。

この辺のことを再説明してくれた立花夫妻のやりとりには和みつつ(笑)、この二人がこの件に関してどう思っているのかなぁというのはちょっと気になるところでしょうか。どう思っていたところで、将来的に敵対することに変わりはなさそうな気はしますが、今のところ数少ない把握している聖連(というかトレス・エスパニア?)側のキャラというのもありますし、敵対は変わらないとしても、ある程度話ができそうな人たちだなぁというのもあるので。

……まあ、この辺は、何となくのキャラクターは把握できつつも、彼らの背景に関してはいまいち分かっていないから思うことかもしれませんが。

 

さて、そのホライゾンは、今のところ大人しく捕まっているようでしたが、最後に洩らされた本音を聞く感じ、心の底から納得しているわけではなく、叶うのなら青雷亭のウェイトレスに戻りたいと思っていると考えて良いですかね。

となれば、トーリたちが助けに行けば、助けられてくれる可能性が十分にあると思えるところでしょうか。まあ、立場上、助けに来られたからといってあっさりついて行くことは無理な気もしますけど、わずかでも彼女の中にそうした気持ちがあるのなら、助けに行く側としては十分に望みがあると考えて良いかな、と。

……あと、P-01s=ホライゾンが作中で明言されたからか、更新されていた公式サイトのキャラ紹介を見ると、そんな彼女の今後を含めたこの先の展開が大よそ分かる気がして、そういう意味でもやはり物語はそういう流れになるだろうな、とも思うところですが。

 

酒井学長も、本人はのらりくらりとしていましたが、彼と共にいた自動人形も含めて、本音としてはホライゾン救出、ひいては武蔵を守るために動きたいと考えていると思って良さそうかな、と。オリオトライ先生も、さすがに実は聖連側の手先で授業という形で反乱勢力を探っていた、なんてことはないと思うので、あんな作文課題を出してきた時点で、生徒たちが望むのならホライゾン救出に何らかの力を貸してくれそうかな、と。

勿論、どちらにしても、ただ気持ちだけで動くような勝算のない戦いなら支援なんてしてくれないでしょうが(下手に動いて失敗したら余計に立場が悪くなりますし)、トーリたちがしっかりと作戦を立てて望む結果をもぎ取れるだけのものを示せたら、表立ってか影ながらかは分かりませんが、全力でバックアップしてくれそうな気はします。……酒井学長の場合は、武蔵側のトップ(?)と思われるので、バックアップどころではない形で動き出す可能性もあるのかなぁ……とも思いますが。

 

今回のサブタイトルは鈴の作文を代理で読み上げた智のことを指すのかな、ということで、授業課題の作文を通して、そのトーリたち梅組の今後の行動指針が決まった感じで。勿論それは言うまでもなく、「ホライゾン救出」。

最初にそれを問いかけたときはみんな無反応だったけど、それは勝算を弾き出すための判断材料が不足していたのと、発破を掛ける人物が現れるのを待っていた感じでしょうか。そういう意味では、金を第一の基準で考える人が前者を提示し、クラスで一番気弱な女の子が声を張り上げて後者を望んだのは、うまい配置だなぁと思うところでしょうか。そして、そんな鈴の声に応えるように、それまでは落ち込んで突っ伏しているのかと思われていたトーリがあっさりと立ち上がって、言われるまでもなく自分はそうするつもりだったのだと宣言したわけですから、これで梅組の意志は完全に固まったかなーといった感じで。

……まあ、その後の一連のやりとりは、いかにもこれまで観てきたトーリらしいもので、一気にシリアスな空気が弛緩してしまいましたが、重苦しい空気ばかりでは観ているこちらも息が詰まってしまいますし、何よりああいうほうが彼ららしいと思えてしまうので、むしろああいう感じになったほうが彼らの行き先が明るく思えるところかも。

 

とまあ、そんな感じで武蔵側の主要キャラは大よそ「ホライゾン救出」で一致したと思って良さそうですが、そこで最後の鍵を握りそうなのが、冒頭でも書いた正純と二代。

立花夫妻と対峙したシーンを見ると、二代もまた戦う意志を秘めている、とも思えそうですが、彼女の場合それよりも、自身の立場ならそうするべきだという、彼女自身の意志というよりも、常識というか形としての行動にも思えてしまうので、そこら辺がどうなのかな、と。もしも本当に彼女自身の意志での行動だったのならそれでいいかと思いますが、そうでないとしたら、その中途半端さは最悪トーリたちの足を引っ張るものになるかもしれないという懸念もありますし、最終的に彼女が何を選ぶのかは気に掛けておきたいところです。

正純のほうははっきりと、彼女自身の今後の行動を決めかねている様子が描かれていたかと。ホライゾンを直接知っているわけでもなく、梅組とも完全に打ち解けてはいないようにも見える彼女なので、彼らほどすっぱりと決められないのは分かるような気もしますが、そんな彼女だからこそ、彼女が選ぶ道は重要な気がするところかも。唯一権限を残された副会長である、というのも、そのままの彼女で協力してくれるのならいろいろ大きい気がするのもありますが。

 

そんな感じで二人の選択にも注目しつつも、次回は方針を決めた梅組が動き出す様子が見られるのかな、とまずはそこを楽しみにしておく感じでしょうか。臨時生徒総会云々の話からすると、正純の場合は早速選択を突きつけられるような気もしますが、それも含めて楽しみにしたいところです。

 

◇次回「武蔵の騎士」