猫物語(黒) 第一巻/つばさファミリー(上)(完全生産限定版) [Blu-ray] 猫物語(黒) 第一巻/つばさファミリー(上)(完全生産限定版) [Blu-ray]

アニプレックス 2013-03-06
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放送時間だけ見れば珍しく生で観られそうな時間ということで、当初は生視聴する気満々だったのですが、冬コミと仕事の疲労でやむなく断念し(いつもより一時間早く出勤だったにも関わらず、紅白の水樹奈々さんの出番なんか余裕で観られない時間まで仕事だった上に、放送翌日も例年通り仕事ですし)、いつもどおり録画しての早朝の視聴となりました。12時まで頑張って起きているのと、可能な限り早く寝て3時に起きるのとでは(正確には、最近は寝坊気味だったにも関わらず2時半過ぎに起きられたのですけど)大して変わらないような気もしますが……(汗)。

 

さて、そんなこんなで、何だかんだで楽しみにしていたというか、冬コミを除けばひたすら鬱になりかねない正月の唯一の清涼剤というか活力剤の「猫物語(黒)」。長丁場が若干辛いものもありましたが、相変わらずそれを補って余りある出来でした。映像面については、いつもどおりのシャフトで、いつもどおりの「物語シリーズ」のクオリティーで、で大よそ分かるかと思うので、ストーリー面について二つほど。

 

この「猫物語(黒)」を見てまず思うのは、阿良々木暦と羽川翼、二人の、掛け違っちゃった初恋の物語、でしょうか。進行していくストーリーを見て随所で思うのが、もしも何か一つでも違っていたら、この二人が恋人同士になっていてもおかしくなかったな、ってことでしたから。それこそ、翼がはっきりと言葉に出して助けを求めていたら、好きだと言っていたら……。

まあ、そうはならなかったからこそ、早急にストレートに攻めてきた戦場ヶ原さんとの良い対比にもなっているわけで、そういう意味では彼女が落ちてくるところで締められたのは良いラストでしたけど。もう一つ言えば、月火や忍野さんとの会話次第ではあるいは……というのもあったかもと思わなくもないですし。

でも、阿良々木君側がここで失恋し(失恋というか、ある意味恋愛を超越した次元に行っちゃった感じでもありましたが)、後の物語で翼側も失恋することになるこの二人の関係は、だからこそ面白いものでもありますけどね。最終的に恋愛関係にはならなかった二人だからこその、独特の友人関係は、それはそれで得難いものだとも思いますし。

 

そして、もう一つ思うのが、そんな二人の関係のこと。

羽川翼という、ある意味完璧な少女の解体物語なのが「猫物語」。「化物語」「偽物語」でも彼女の持つ、忍野の言うところの「強さ」の片鱗は見えていたけれど、それがどれだけ異常なものなのかが描かれていたのがこの物語で。それは怪異に取り憑かれても変わらず、むしろこれまで抑圧していたものを解放する形になってしまったけれど……そんな彼女を止めるために、助けるために動いた阿良々木君との対決がやっぱり印象的で。

彼女の異常さを認識した上で、それでも彼女の本来持つ良さも認めた上で……そういうのを全部ひっくるめた上で、今の翼の間違いを指摘し、苦しくてもそのまま生きていくしかないことを突きつけた阿良々木君。翼が言ったとおり、そんな彼の姿は、苦しみから颯爽と救ってくれるヒーローではないのだろうけど……でも、だからこそ、忍野がよく言う、一人で勝手に助かるってことに繋がるのかな、と。かっこ良く救ってくれるわけではないけれど……だけど、真正面から向き合ってくれて、自分のために命すら投げ出そうとしてくれて、自分の醜い面を知っても側にいてくれる。そんな人が――阿良々木君がいてくれたからこそ、全てに納得したわけではなくて、ストレスがなくなったわけでもなくて、どころか根本的な問題は何一つ解決していなくて……だけど、それでも、翼は日常に戻って、誤魔化しながらも再び生きていくことができたんじゃないかな、と。「つばさキャット」を知っていると、遠くない未来に再び破綻が訪れることは分かってしまうけれど……でも、その結末も知っていると、ここでこんな関係になった二人だからこそ、「偽物語」と、そしてその後の物語に繋がるのかな、と。

 

前述のとおり、ここ最近は正月になるとけっこう鬱な感じなので、そういう意味でも身につまされる話でもあったかもしれません(笑)。年末年始のシフトとか見ると、特に今年は、その年末年始に出勤してくれる希少なバイトを使い潰す気満々にしか思えない組み方されていますからね……。しかも、ただでさえ時間が限られているというのに、余計な仕事を頼むというか増やすというか……二度手間って普通に頼まれるより疲労度上がるんだけど……みたいな。

私には阿良々木君がいなくて、だから、私よりずっと辛い境遇にいてもそこだけは翼が羨ましかったりするところでもあるけれど……そんな彼女の物語をここで見てしまった以上、もう少しだけ踏ん張ってみようかと、ちょっとだけでも思えただけでも、頑張って早起きして見た甲斐はあったところでしょうか。

 

……それはそれとして。

翼の物語とは別に、時系列が「化物語」より前の物語なので、忍野再登場が地味に嬉しかったエピソードでした。忍野登場というか、再び阿良々木君と忍野のやりとりが見られたのが、というか。「偽物語」で彼とは違った大人たちが登場したけれど、でも、彼らが単純に阿良々木君の味方ではなかったからかもしれないけど、やっぱり忍野が出てくると、怪異物語としての安心感が違うなぁと思えてしまったのもあったかも?

ラストでは「猫物語(白)」以降の告知も入りましたし、次の放送を楽しみに待ちたいところです。忍野の登場を再び……という意味では、「傷物語」も待たれるところですけど(笑)。