
『このー!待ちなさい!』
『アハハハハ、やーだよー!』
姉弟が走り回っている。家中を走り回っているが、この家ではいつもの事なのか
母も、長女も気にしてはいない。

だが、それは巨人同士の話。俺にとってすれば、まるで大地震が起こり続けているようなものだ。
激しい揺れに必死にこらえながら、俺は今までの事を思い返していた。
―いまから10年前に UFOがやってきた。地球の4分の一というとてつもなく大きなUFOだ。
そこから異星人が現れた。地球人と全く同じ姿をした異星人だ。
ただ、大きさだけが違った。地球人と200倍ものサイズ差があったのだ。
異星人が、数件の家を踏み潰しながらUFOから降りてきた。足元のことなど全く見ていなかった。
そのまま沢山の異星人達が下りてきて、地球はあっという間に侵略されてしまった。
いや、それは侵略と呼べたのかすら怪しい、一方的な破壊だった。
軍隊の攻撃は全く効いておらず、それどころか気にも留めていなかった。
一歩一歩ごとに建物は踏み潰され、軍は蹴散らされ、人々は踏み下ろされた足で吹き散らされた。
こうして地球は異星人達のモノとなってしまった。
しかし、地球人は絶滅してはいない。異星人は根絶やしにしなかった。
当たり前だろう。やってきたときから、地球人に対して何の興味も示していなかったのだ。
奴らにとってすれば、俺達の精一杯の抵抗は足元で虫が何かしている、程度にしか思わなかったのだろう。
巨大な建造物を立てていく様を俺たちはもはや黙ってみているしかできなかった。
こうして、地球人としての役割は異星人達へと置き換えられ、もともといた俺達地球人は奴らの陰でこそこそと生きていくしかできなくなったのだ。
食料すらまともに作ることができなくなってしまい、異星人の食べこぼしたものを拾い集めて何とか食いしのぐ毎日。本当に虫けらになってしまったようだった。しかし、生きていくためにはそんな事、考えている余裕なんてなかった。―
今日も俺は生きていくために異星人の家に忍び込む。なんとか皆の分の食糧を確保するために。