※注意※
鼻水表現ありなので閲覧注意






「ハクション!」

 町中にくしゃみの音が鳴り響く。
hukeika01

「ゴホゴホッ、なんで風邪なのに立番をしなくちゃいけないんだ…」
イライラとした様子を隠すこともなく呟く婦警さん。
街の人々はそんな彼女を恐る恐ると見上げている。彼女の機嫌ひとつで犠牲になる人の数が全く違うのだ。
先程も、無造作に座り込んだときに運悪く、お尻の下にいた人がペシャンコにされてしまった。
さらに道路を走っていた車一台をかかとで叩き潰した。
 意識せずとも、様々な被害を出していくのだ。彼女が意識的に、しかもストレスをぶつけようものなら、その被害はもはや災害レベルだ。

 ちら、と目の前にあるビルを眺める婦警。ビルの中では、人々が忙しそうに働いている。
彼女がこちらを見たことにより、恐怖に凍り付く人々。そんな様子を見て、にやりと笑う。
履いていた靴を脱ぎ、いきなりビルに向かって足を伸ばした。あえて恐怖感を煽るように、ゆっくりと近づけていく。
中にいた人々は押しつぶされると思い、出口に殺到する。
だれもが生きるために必死だ。
そんな必死さに答えたかのように壁に当たる直前、足の動きが止まった。
ちょうど足指のあたりにさっきの職場がある。足の湿気で、窓が曇る。
もしかして助けてくれるのか…?と思った瞬間、足指が、クンッと曲がった。
あっさりと破られる窓ガラス。それと同時に異常なまでの臭気が部屋中を埋め尽くした。革靴の中で蒸れた彼女の足が原因だ。あまりの臭いに皆、のたうちまわる。
そんな人々の様子を見て、ちょっとだけイライラが晴れた婦警さん。しかし、完全にではないのでさらなる獲物を探す。 目は辺りを見回しているが、足指はビルに突っ込まれたままだ。
臭いの発生源から這ってでも逃げる人達。割れた窓から彼女の顔がチラリと見える。
ふと、婦警さんの顔が一瞬ゆがんだ。そして…

 
「ハクション!」

ふたたび大きなくしゃみが放たれた。
先ほどまで軽く曲げた状態でビルに足を押し付けていた。それがくしゃみによって一気に足が伸ばされて…

ズガン、と一気にビルを貫通する足。そこにいた人々は、何故なのかわからないまま皆潰されてしまった。
「あー、くそっ。」
再び溜まりつつあるイライラを晴らすために、貫通した足を一気に降り下す。下の階層全てが潰されてしまった。
「弱いビルなんか造るから悪いんだ。次からはもっとまともなものを建てるんだな。」
降り下された脚はズン、と道路を横断する。急に目の前に現れた脚に、道路を通っていた車は止まることができずに、次々と衝突する。
婦警さんの目が、ぶつかった車を見つめる。次の獲物が決まったようだ。
「お前達、私の足にぶつかったということは人身事故だな。これは厳しい罰を与えないとな」
ニヤリと笑う婦警。ひょいひょい、と次々とぶつかった車をつかみあげ、中から人を出していく。
用済みになった車はぐしゃ、と握り潰し捨てていく。

ぶつかった車全ての処理が終わり、手のひらの上に5人乗せた状態で、もう片方の手で自らの懐を探る。そして取り出したのは、ポケットティッシュ。もちろん、婦警さんサイズのものだ。
そこから一枚とり、その上に一人乗せた。乗せられた人は一体何をされるのかわからないので、怯えるしかない。逃げようにも、彼女の手の上から移動できないし、逃げるために落ちたとしたら、すかさず潰されてしまうだろう。
「溺死刑だ。まあ、万が一生きてたら見逃してやるよ」
そう言って、人が乗ったティッシュを鼻に近づけていく。
ティッシュを半分に折り、鼻を包み込んでいく。ここでようやく、乗せられた人は理解した。彼女が何をするのかを。
そう、ただティッシュを普段どおりに使おうとしているだけだ。ただ、その上に人がいる。
そして婦警さんは、鼻をかんだ。ずびびびび、とティッシュの上に鼻水を乗せる。
ティッシュの上の人からすれば、すごい勢いで水が出てきたのだ。その勢いだけで全身がきしむ。
さらに、体中の穴という穴へと鼻水が侵入してくる。あまりの勢いに吐き出すこともできず、鼓膜さえ破られてしまう。そのうえ、粘性が高いので身動きすらできない。

 ちん、と鼻をかみ終わった後のティッシュを広げてみる。そこにあったのは体中の穴から鼻水を溢れ出し、鼻水の海の中で体中の関節がありえない方向に曲がった一つの溺死体だった。
それを見てにやりと笑う。

そして、用済みのティッシュを捨て、さらに鼻をかむ準備を進めるのだった…