中学時代の同級生、
甲本ヒロトのインタビュー記事を
『14才』を聞きながら、山のように読む。
それが、自前で揃うのも、我が家のスズキが、
超がつくほどの熱狂的なヒロト信者であるからだ。

ファンにはお馴染みの話しを含めて、
何度、読んでみても、奴の選ればれし者ぶり、
言霊ぶりに唸る。

よく知られた話だが、ヒロトは、中学一年生の時、
TVを見て、ゴロコロすることしか楽しみがなかった、
落ちこぼれが、ある日、電撃のように、
ロックの啓示を受ける。

FMで聴いてたラジオ番組で、
60年代のビートグループの音楽が鳴ったんだよ。
その瞬間、全てがこう、見えたんだよ。
ウワーってはっきり見えたんだよ。
『はい畳っ!はい布団!』みたいな。
それまでさ、どうでもよかったものが。
そして『はい、俺っ!』ってなったんだよ。
全部見えた感じ。『はい生まれたぁ!』みたいな。
それからだよ、ごはんもおいしいしさ。

マンフレッドマンのドゥ・ワ・ディディ・ディディのイントロを聴いた瞬間に
ゾーって、なんか鳥肌が立つんですよ。
涙が出てくるんですよね。衝撃ですよ。
ワーワーワーワーなんていう。
服ビリビリに引き裂いてねえ、
キンタマ握りつぶすぐらいの興奮ですよ。
『これだあ!!』と思って。今生まれたような気がしましたね。

そして、中学卒業の時。
父親に進路を相談する。

『俺ロックやるから高校へ行かずに
 東京へひとりででていって、何とかします。』
っておとうに言ったらねえ
『できるわけねーだろう!!』なんていわれて。
『いやあでも僕はものすごいロックの人になれるんじゃ』って。
『なれるんじゃ言うて、やったことがあるんか。
ギターのひとつも弾いたことがあるんか!』
って言われて。
『いや、弾いたことはないよ。でもものすごい、
日本ではとりあえずいちばんかっこええロックのスターになれるから、
ちょっと出してみて』って言うたん。

と、まだ、ギターも弾けず、曲も作ったこともないのに、
親に直談判して、自分の確信を語る。
結局、中卒ロッカーは許されず、
初めて人前で歌い始めるのも、さらに3年後なのである。
しかし、この親子のやりとり、何度、読んでも、すばらしなのだ。

人生には意味ないよ。いやぁ、ほんとそうだよ。
だってヒマつぶしじゃん。
ヒマなんだよ、みんな人生80年もいらないんだよ。
3日もあれば終わるんだ、やることなんて。
パッと起きて、『ああー、世の中かー・・・死のっ』みたいな(笑)
十分なんだよ、それで。何にもやらなくたっていいんだ、
人間。それなのにさ、80年ぐらいも生きちゃうんだよ。
メッチャヒマだよね。ヒマつぶししなきゃならんのよ。
そのヒマつぶしとして、月に行ってみたり、
円周率割り出してみたり、コンピューター作ってみたり、
ビル建ててみたり、大金持ちになってみたり、
大統領になってみたりするんじゃん。
何か全部、ヒマつぶしでしょ。
意味なんかないんだ、楽しければいいんだ。結局のところ、
何が目的なんだよっていうと、
最後の答えは、『お前は正しい』って言って欲しいだけなんだよ。

僕はいろいろなところで人に聞かれるんだよ。
『楽しきゃいいのか?』って。
いいんだよ。そのかわり、楽じゃないんだよって。
漢字で書いたら同じじゃんって。
でもね、楽しいと楽は違うよ。楽しいと楽は対極だよ。
楽しいことがしたいんだったら、楽はしちゃダメだと思うよ。
楽しいことがやりたいと思った時点で、楽な道からはそれるんだよ。
その人は。だって、おおこれもやりたいって、
楽しいことを実現するためにはもう忙しいってなるじゃん。
寝てる暇なんかねーよって。
楽しようと思ったら、楽しいことはあきらめなきゃだめだね。
ただ、生活は楽なほうが絶対いいと思うよ。
でも人生は楽しいほうがいいじゃん。

余裕がなきゃ駄目だよ。
だから、僕は、飽食の果ての飢餓だと思う。
飽食の果ての飢餓が、ロックンロールにおけるハングリーってやつでしょ、
お腹が空いたハングリーとは違うぜ。
ハングリー精神っていうのと、貧乏は関係ないよ。
貧乏な人がハングリー精神っていったら駄目だよ。
まず金稼いでから言えよ。
うん、ハングリー精神っていうのは、
満ち足りてる人の中に芽生えるものだよ。
着るものもある、家もある、ギターだって買える。
だけどさ、足りねぇんだよ、
これが、っていうのがロックンロールじゃん。
うん、貧乏人にはロックンロールはできないよ。


ハイロウズのボーカリストはすげえなあと思う。
ははははは。『いや、すんげえヴォーカルだよな、あのバンド!』
って思うけど・・・・なんかねえ、『俺ってすげえなあ』って思えないんだね。
そうすっとさ、なんかもう起きた瞬間から不安なんだよね。
起きた瞬間さ、俺じゃん。ぱっと起きるとなんかもうすっごく不安で。
『ダメなんじゃねえかな、もう・・・』って思うんだよ。
生きていくってことがさ、やっぱ怖かったし、不安だったし。
でもロックンロールを聴いたその瞬間に、
なんかこう・・・・生きるってことがものすごく・・・
リアリティをもって、実感としてさ、
『生きるんだ!』っていうさ、実感がもう、湧いたんだよ。
やっぱり僕は何をいうかではなく、
どんな風にいうか、いうんではなく唄うか。
その吐き出した瞬間の心意気が大切なんじゃないかと思う。
歌詞がどうとかよくいわれるけど、
そんなことはどうでもいいんだよ。
ゴッホの絵をみたらさ、そりゃひまわりだよ?だから何?
ゴッホとひまわりについてクドクドはなすのかよ?
『ひまわりのどこが好き?』バカじゃない?

『初心者はどんなギターを買ったらいい?』という相談に、
こうでなきゃいけないっていうきまりはない。
それよりも
あの人カッコいいな。
あんな人になりたいな
ってことで決めていけばいいんじゃないかな

そして、ヒロトがサボテンブラザーズを語るのも、
何度も雑誌で引用されてるんだけど、やっぱりいいね。
 
『サボテンブラザーズ』っていう映画があるんですけどね。
あの映画のワン・シーンでものすごく感動的なのがあって。
テレビの中のヒーローだから、ほんとは役者さんなんですよね。
だから拳銃なんて撃ったことないし、
いつも空砲しか撃ったことないんだけど。
ある田舎町で、本物のヒーローとして迎えられちゃうんですよね。
で、あとへ引けなくなっちゃって、
本物の悪人とほんとの拳銃をもって闘う羽目んなるわけ。
服装はテレビのまんまのあのヒーローの格好で。
で、スティーブン・マーチンがねえ『俺はやるぞ』って言うの。
あとのふたりは『もう帰ろうよ、俺たち役者なんだから。
バカなこと言ってんじゃないよ』って。
スティーブン・マーチンだけはね『俺は闘う』っていって
地面にザーッと線を引くんですよね。
『偽者が本物になれるチャンスがきたんだ!』って、
で『このチャンスに乗るのか!
この線よりこっちは男だ、この線よりこっちは負け犬だ!』
みたいなことを言うんだよね。
で、結局三人ともその線を越えて、
その偽者が本物に変身する瞬間があるんですけど、
感動したなあ、あれはなあ。


などなど、書き出せばキリがない、言霊の連続。
もう、充分、お腹一杯。
果たして、俺、もはや改めて聞きたいことなどあるのか?
と思いつつ、
新宿センチュリーハイアットへ。

『スコラ』連載対談。
 ゲスト・甲本ヒロト(ザ・ハイロウズ)

ヤァ!ヤァ!ヤァ!と入った、ロックスターは、
岡山弁で、和気あいあいと話をした。
俺もヒロトに対して、初めて、敬語じゃなく話をした。
ごく、ごく私的な話に終始したが、楽しかった。

スズキは、ヒロトフィギュアにサインをもらい、
至福の表情であった。
 

帰宅後、
「スマート」に掲載予定の、
吉田豪による、
PRIDEの怪人、百瀬博教インタビュー
先回りで、読ませてもらう。
激オモロ。

美文家としての、百瀬博教さんの著作、
どれもこれも、俺には激オモロなのだが、
時間軸で書かれているものが、ないので、
初心者には、全体像がわかりにくい。
だからこそ、かねてより、
百瀬博教さんの評伝を誰か腕のある若手ライターが、
書かないかと思っていた。
そう思って、石丸元章さんに百瀬さんの
全資料を貸し出したこともある。

こうなったら、豪ちゃんがやってくれないかな。

エアロバイクai、85分。

口内炎で、飯も食べれない。