岩井三四二 天下を計る
丹羽長秀、ついで豊臣秀吉に仕え、五奉行の一人として秀吉軍の兵站を支えた長束正家が主人公。渋い、渋すぎる。
帳簿が少しでもつけられ、貸借対照表などの知識が少しでもあれば、正家の仕事ぶりに切実感が湧いてきます。

意外というか、よく調べたなぁと思うのが秀吉の弟の羽柴秀長の扱い。
一般的には豊臣家を支えたナンバー2で秀長がもう少し長生きしていれば豊臣政権ももっと違っていたと評されているのですが、本作の秀長は杜撰な経理で私腹を肥やす人物として描かれ、石田三成や長束正家らの若手官僚と事あるごとに衝突します。
しかしながら、秀長は私腹を肥やしながらも、いざという時は兄・秀吉にモノが言える人物であったのに対し、三成や正家は普段の仕事ぶりは正しくとも、主・秀吉に意見はできず、という描き方がさもありなん。

欲を言うなら、兵站業務の描写がもう少し多くても良かったような。


岩井三四二『天下を計る』★☆☆:「プロジェクトX」的なノリで北条攻めや唐入りを描いても面白いのでは?

【評価基準】
☆☆☆:あまりオススメできない。
★☆☆:まずまず面白い。
★★☆:オススメ!
★★★:個人的にツボ。オススメできるかは別。