2007年10月22日

税金を取り戻せ!・・・その4



約1ヶ月後、税務署の担当者がJ社を訪れました。

Y:税務署のYと申します。今回の案件を担当させていただきます。

亮:よろしくお願いします。

Y:更正の請求書によりますと、派遣事業にかかる売上高と人件費が
  すべて架空取引だったということですが・・・

J:そうなんですよ。カンペキに騙されてしまったんです。

亮:資料は整理しておきました。ご確認お願いします。

約半日、Y担当者はいろんな資料に目を通しながら、J社長の説明を
聞き、数十枚のコピーを取りました。

Y:事情はよくわかりました。
  ただ内部処理に時間を要しますので、1〜2ヶ月ほどかかるかと
  思いますが・・・

亮:承知しています。
  ただ今回はJ社もかなりのダメージを受けていますので、なるべ
  く早く還付いただけると資金的に助かります。

Y:そうですね。できるだけ急いでやりましょう。

そして1ヵ月後、無事に法人税その他の還付金が振り込まれました。
J社長は喜んで、亮の事務所に報告に訪れました。

J:先生、無事に税金が帰ってきました。

亮:けっこう早かったですね。
  税務署もJ社の事情を考えてくれたんでしょうね。

J:Xからも、少しずつですが分割で返済させることになりました。

亮:そうですか。これでまた本業に打ち込めますね。

J:ええ、初心に帰って頑張りますよ。

「税金を取り戻す」ことに成功した2人は、微笑み合いました。
経営者と顧問税理士って、やっぱり「戦友」なんですね。


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2007年10月15日

税金を取り戻せ!・・・その3


亮:取り戻せるのは法人税・消費税・そして給料の源泉所得税です。

J:金額はいくらくらいでしょうか?

亮:前期1年間で、派遣の売上高が約3000万円、人件費を引くと
  約600万円の利益ですから、法人税等が約250万円、消費税
  が約150万円、源泉所得税が約200万円といったところです。

J:全部で600万円ですか・・・大きいですね。

亮:大きいですよ。(笑)
  ただしそう簡単ではありませんよ。

亮はまじめな顔に戻り、J社長にていねいに説明を始めます。

亮:いちばんたいへんなのは、税務署に「架空取引」であったことを
  認めてもらうことです。

J:認めてもらうったって、本当のことじゃないですか。

亮:たしかにそうです。でも税務署はそうは思ってくれません。
  きちんとした手順を踏んでいかなければならないのです。

J:きちんとした手順・・・ですか・・・?

J社長の表情が、またまた暗くなってきました。

亮:そのあたりはうちの事務所がお手伝いしますから大丈夫ですよ。
  まずは法人税と消費税の「更正の請求書」を作成して提出します。

J:はい・・・

亮:そうすると、税務署の担当者が調査に来てくれます。
  そこで派遣の仕事が「架空」であったことを、口頭ではなく資料
  で説明するんです。

J:なるほど・・・

亮:それでは、さっそく準備にかかりましょう。

亮とJ社長は、膨大な資料の確認を始めました。
税務署を説得して、税金を取り戻すための「第一歩」です。


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2007年10月08日

税金を取り戻せ!・・・その2


2日後、亮はJ社長の会社を訪ねました。

亮:社長、Xさんというのは、相当経理に精通してますね。

J:ええ、もともと大手の経理部門にいたらしく、そのあとも自分で
  5年くらい会社を経営してたそうですから・・・

亮:会計データから見る限り、今回の手口はこうだと思います。
  まず・・・

Xの手口というのは、
’標の仕事を取ったことにして、売上の請求書を作成する。
△修了纏にかかった人件費をJに請求し、Xの口座に振り込ませる。
振り込まれたお金の中から、売上代金を取引先名でJ社に振り込む。
というものだったようです。

亮:最初のうちは毎月売上高が増えているように装って、お金を回し
  ていたんでしょうね。でも・・・

J:だんだん金がまわらなくなってきた・・・ってことですね。
  なんでこんなバカなことを・・・

亮:Xさんは、いまはどうしているんですか?

J:自宅で大人しくしているみたいですよ。
  弁護士を通して、今後の話し合いを進めていく予定です。

亮:わかりました。そちらは弁護士さんにお任せしましょう。
  こちらは今期の決算と、前期以前の対応を考えましょう。

J:前期以前・・・? 何か出来るんですか?

亮:ありもしない売上が上がってたってことは、払わなくてもいい税
  金を払ってたってことじゃないですか。
  それを取り返しましょう。

J:そんなことが、できるんですか?

ずっと暗かったJ社長の表情が、わずかに明るくなりました。
だって余分に払った税金を取り戻すって、ちょっと痛快ですもんね。

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2007年10月01日

税金を取り戻せ!・・・その1

少しずつ秋らしくなってきた10月のある日、1本の電話が・・・

J:先生、困ったことが起きました。

亮の顧問先で、建設業を営んでいるJ社長からでした。

亮:社長、どうしたんですか?

J:Xにだまされました。全部ウソだったんですよ。

亮:社長、落ち着いてください。
  いったいどういうことですか?

J社長の会社は、工場や店舗の内装工事が本業です。
ところが2年ほど前、ある社員の入社をきっかけに、工場に人材を派
遣するという仕事を始めたのです。

J:ここ1〜2ヶ月ほど、派遣の売上代金の回収が遅れがちになって
  きたんで、Xに問いただしたんですよ。

Xというのは派遣部門を任されていた社員です。

J:そうしたら・・・
  得意先も、従業員も、全部ウソっぱちだったんです。
  全部あいつの狂言だったんですよ。

亮:派遣の仕事は、Xさんが取ってきたんでしたよね。

J:そうです。

亮:実際の取引先は、まったく無かったってことですか?

J:そうです。

亮:派遣の社員も、実際には誰もいなかったってことですか?

J:そうです。

亮:それはひどい話だ・・・

亮は急いで頭の中を整理し、J社長に伝えました。

亮:社長、まずは事実関係を確認しましょう。
  会計データを調べたうえで、今週中に一度伺います。

J:お待ちしています。どうぞよろしくお願いします。

いきなり飛び込んできた、信じられないような事件。
会社を救うために、亮には何ができるのでしょうか?


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2007年09月24日

経理担当者の退職!・・・その4



さらに1カ月後、亮はI社長の会社を訪れました。

亮:売上・仕入の入力も問題なかったみたいですね。

Y:ちょっと不安だったんですけど、合ってました?

亮:バッチリですよ。(笑)

亮の笑顔に、Y夫人はちょっぴり安心したようです。

亮:売掛金の補助元帳を見てみましょう。社長も一緒にどうぞ。

I社長とY夫人の目の前で、亮はコンピューターの画面を操作して見
せました。

亮:この画面を見れば、取引先ごとの売上と入金、そして売掛金残高
  が確認できるんですよ。

Y:あれ・・・?
  私が入れたのは売上だけで、入金は入れてないはずだけど・・・

画面を見ながらY夫人が不思議そうにつぶやきました。

亮:入金は預金出納帳で入力したのが反映されるんですよ。
  仕入についても同様です。

I:これは分かりやすいですね。

亮:次に試算表をご説明しましょう。これが先月までの業績です。
  売上高が・・・

亮は試算表を開いてI社長とY夫人に説明していきました。

I:いや〜、これだけできてればバッチリだ。
  これ、先生が作ってくれたんですか?

亮:奥様が入力されたんですよ。

Y:えっ?
  私は現金と預金と、売上と仕入しか入力していませんよ。

亮:それで十分なんです。
  多少こまかい手直しはさせていただきましたが、9割方は奥様
  がやったんですよ。

I・Y:へえ〜・・・

自分たちで試算表まで作成できた・・・
感動しているI社長夫妻の顔に、2ヶ月前の不安はもうありません
でした。


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2007年09月17日

経理担当者の退職!・・・その3


1ヶ月後、亮は再度I社長の会社を訪れました。

亮:出納帳の方は順調に入力できているようですね。

Y:なんとか見よう見まねでやってますけど、間違ってませんか?

亮:基本的には大丈夫ですよ。
  細かいところを何点か、打合せしましょう。

Y:はい、よろしくお願いします。

使用する勘定科目や、摘要の入れ方について、亮はY夫人と何点かを
確認しました。

Y:Xさんの帳簿を参考にしているんですけど、すごく細かく書いて
  あるんですけど・・・

亮:たとえば、どんなところですか?

Y:「ボールペン10本、ノート5冊」とか、「顧客への電車代:横
  浜駅〜品川駅」とかです。

亮:なるほど、それは細かいですね。(笑)

Y:先生は、「文房具代」とか「出張交通費」でいいっておっしゃい
  ましたけど、本当にそれでいいんですか?

亮:大丈夫ですよ。(笑)
  経理畑、とくにある程度大きな会社の経理をやられていた方は、
  必要以上に細かい処理をし勝ちなんです。

Y:そうなんですか・・・

亮:なぜなら、彼らの仕事は伝票を書いて、帳簿を付けることだから
  です。でも奥さんの仕事はそれだけじゃないでしょう?

Y:もちろんです。
  請求書を発行したり、支払をしたり、給料の計算もあるし・・・

亮:だからそれに合った経理をするべきなんですよ。
  「ボールペン10本」を「文房具代」って入力したからって、会
  社の経営上なにか影響がありますか?

Y:それは・・・ありませんね。(笑)

亮:そういう訳です。この調子で頑張っていきましょう。
  今回は売上と仕入の入力をご説明しますね。

亮はY夫人に新たな項目の説明を始めました。
もうX氏は会社にはいません。
I社長とY夫人、無事に経理をマスターできるのでしょうか?


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2007年09月10日

経理担当者の退職!・・・その2




1週間後、亮はI社長の会社を訪ねました。
I社長は経理担当のX氏を亮に紹介しました。

亮:はじめまして、税理士の亮と申します。

X:経理を担当していますXです。

亮:さっそくですが、いまの経理の流れを教えていただけますか?

X:はい。まずは毎日この金銭出納帳と・・・

X氏は日々の作業手順を説明し始めました。
X氏の机の上には何冊もの帳簿が立てかけてあります。それらの帳簿
を、すべて手書きで作成していたようです。

亮:いや〜、よく分かりました。
  ここまでカンペキにやられているとは・・・びっくりしました。

X:ちょっと几帳面すぎるかとも思ってるんですが、性格なもので。

亮:経理の方はそれくらいでちょうどいいですよ。(笑)
  今月末まで、よろしくお願いします。

場所を社長室に移し、亮はI社長夫妻と打合せを始めました。

I:家内のYです。

Y:これからお世話になります。よろしくご指導ください。

亮:奥様は経理は初めてでしたっけ・・・?

Y:そうなんです。まったくの素人なんです。

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2007年09月03日

経理担当者の退職!・・・その1



まだ残暑きびしい9月のある日、1人の訪問客がありました。

I:先日お電話しましたIと申します。

亮:はじめまして、税理士の亮です。

I:先生、なんとかなりますでしょうか?

I社長の会社は建設業で、社員は社長と奥さんの他に5名。
5年ほど前、会社を設立した時からずっと経理を担当していた社員が
近々退職することになり、あわてて相談に見えたのです。

亮:現在経理をやられている方が退職されるのはいつですか?

I:今月いっぱいなんです。

亮:そうですか・・・
  いままで経理はほとんどその方が一手にやっていたわけですね。

I:はい。恥ずかしながら、私は経理はさっぱりわからないもので、
  大手の会社で経理部門にいた方に来てもらったんです。

その経理担当者は大手企業の経理部門にいて、定年を迎えたところを
社長の知人から紹介してもらったということでした。

亮:今後、経理業務を引き継ぐのはどなたになりますか?

I:私の家内にやらせようと思ってます。
  ただ、簿記の「ボ」の字も分からないんですが・・・

とI社長は不安そうに答えます。
おそらくI社長の奥さんも同じような気持ちでいることでしょう。

亮:社長、大丈夫ですよ。
  会社にはその規模に合った経理のやり方というものがあります。
  無理の無い形でやっていきましょう。

I:本当ですか。よろしくお願いします。

亮の言葉でI社長はちょっぴり安心した様子です。
翌週亮が会社を訪問する約束をして、I社長は帰っていきました。

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2007年08月27日

得意先が倒産!・・・その4

H:それにしても、5年前じゃなくて本当によかった・・・

H社長は真顔で話し出しました。

亮:5年前、はじめて私が社長とお会いした頃、売上の90%以上が
  A社からでしたものね。

H:そうです。それで先生に言われたんですよ。
  こんな状態じゃ会社として危なすぎるって・・・

中小企業には、1社の専属外注のような会社が少なくありません。
一見楽なようですが、元請の会社の影響をもろに受けていまいます。

亮:そこで提案させていただいたんですよね。
  A社からの受注額はキープしながら、相対的な売上比率を50%
  以下にしましょうって。

H:そうそう・・・でもそれって、A社と同じだけの売り上げを他社
  から上げるってことでしょう?

亮:そうですね。

H:そんなこと考えたこともなかったし、できるかどうか不安で・・・

亮:でも社長はやりましたよね。いろんな人と会うようになって・・・
  その翌年くらいから、少しずつ他社からの受注が入るようになって。

H:本当ですね。そうじゃなかったら今頃・・・ゾッとしますよ。

亮:社長、私の顧問先でも、10年以上続いている会社の社長は、多か
  れ少なかれこういう事をみなさん経験されていますよ。

H:やはりそうですか。

亮:こういいう経験をいかして、会社は強くなるんでしょうね。
  社長もがんばりましょう。

H:はい。これからもよろしくお願いします。

1つ修羅場をくぐったH社長は、一段とたくましく見えました。
それを頼もしく感じながら、じっと見守る亮でした。

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2007年08月20日

得意先が倒産!・・・その3

さらに1週間後、今度はH社長が亮の事務所を訪れました。

H:先生、当面の資金繰りは、自己資金でなんとかなりそうです。

亮:そうですか。それはよかった。まずは安心ですね。

H:5年前だったらヤバかったですね。
  あのころは、ほとんどA社の下請け一本でしたからね。

亮:念のために、取引銀行にもひと言 言っておいた方がいいですよ。

H:ええ、一応話しておきました。
  必要があれば1000万円くらいは用立ててくれるそうです。

亮:それは安心ですね。
  ところで、途中の仕事はどこが引き継ぐことになりました?

H:A社の幹部社員が中心となって、新会社を立ち上げるようです。

亮:なるほど・・・A社の受注先も同意されているんでしょうね。

H:そのようです。社長以外の社員はほとんど残ってますし、全く
  知らない所よりも、受注先も安心なんじゃないですか?

亮:たしかに、それは同感です。

今回の倒産劇は、A社の社長一人の問題のようなので、残った社員が
引き継ぐというのは成功する可能性が高そうです。

亮:それで、その新会社と話し合う機会は持てました?

H:ええ、向こうもこれから業者を探す予定だったようで、ちょうど
  いいタイミングだって喜んでくれました。

亮:それじゃあ、新規の受注先になりそうですね。

H:そうですね。今回の被害も挽回できるかもしれません。

亮:それはよかったですね。
  あとは目の前の課題を、一つずつ解決していきましょう。

H:わかりました。それにしても・・・

とりあえず当面の会社の混乱は落ち着いたH社長、ふと思い出したよ
うにつぶやきました。
H社長の口からでてきた言葉は・・・?

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