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2015年05月
斜陽の日
命日が、親兄弟の誰かと同じだ、とか、誕生日と同じだ、とか、そんなのは確率的に十分あり得る一致である。 それを特別な一日とするならひっそりと厳かにして欲しい訳で、著名人の命日が、たまたま自分の誕生日と同じであっても、本当に年々、なんとか忌、なんとか忌、の ...
孤立
孤立が非属を産み出すに違いない。秩序からは何も生まれない。孤立が変化を産み出すに違いない。定格からは何も生まれない。孤立が自律を産み出すに違いない。従属からは何も生まれない。孤立が 平和を産み出すに違いない。安寧からは何も生まれない。自然界では群れで生活す ...
さかなのおっちゃん
男は、半身麻痺であった。調理師人生を諦め、生活保護を受給するようになった。釣りが好きだったが、釣り船を手放し、知人の中華料理店主に譲り、その代わりその店に行くとタダで飲食をさせてもらい、釣果の分け前をしょっちゅうもらっていた。男はその魚を「好きな人」に ...
蚊
やられた。正確に言うとやられていた。今度こそ絶対にやられる前にやってやる。羽音を聞くと激しく殺意を感じる。集中力を削がれた段階で、まずこう思う。蚊、ごときに邪魔をされる程度の集中力だったのか、と。座禅を組んでいると思え、雑念を捨てよ、今の自分のミッション ...
Scissors
ハサミが右のポケットなのだ。ハサミで落ち着くのだ。ハサミは１と４のゆびを通すのだ。ハサミは２のゆびを支点に置くのだ。ハサミは３のゆびですくい上げるのだ。ハサミの片刃は丸刃で、もう片方は尖刃なのだ。ハサミは５００円以上なのだ。ハサミは１０００円以下なのだ。 ...
SONGENN
「尊厳」を商品化するとね。「ゆりりん」になるの。 ゆりりんは、いまや排泄界のアイドルなの。 ゆりりんは、urine がどれだけ体内に残っているかを測定できる小型の超音波検査機器なの。今、おしっこが自立できるはずの人でも、ゆりりんの存在を知らず、残念ながら排泄は ...
転移
話相手が、別の誰かの代わりとしての私に、話している、と感じることがある。そんな時は、ここで、深入りするのか、撤退するのか、一瞬迷う。迷いながら、知りたいと思えば、「捜査」する。危険を感じれば、撤退する。 相手から、友情や親睦というような感情を感じても、 ...
トンボとゴキブリ
益虫と害虫があくまで個々の人間と生物とのかかわりで決まる相対的な存在であるように、益老と害老は社会と老人との関わりで決まる相対的な存在だ、と仮定しよう。益老も害老も見た目はただの年寄り。益老は税金使わない。害老は税金使う。益老は退く。害老は居座る。益老は ...
模様
大抵、襟の詰まった白い厚手のTシャツをきていたりするので、その全体像を見たくなりわざと肩までめくってみたりする。元組織人は「汚れた体」という表現を使うが、現職は「模様」と言う。汚れた体という言葉には、洗っても落ちない汚点という感じが出ていて、後悔している ...
ベッド
普段は蒲団派なので、ベッドとは無縁の生活であるが、仕事で組み立てベッドを購入して、気のきく男衆が組み立ててくれたので、検分ついでに寝てみた。・・・いいじゃん。最近の組み立てベッド。ぺったんこの板を海苔巻きみたいに丸めた状態で送られてきたマットレスとおぼし ...
びろうな水
びろうな話ですがね。 目から出れば涙、皮膚から出れば汗、口から出れば涎、とヒトがdischargeする水には呼称があるのに、鼻から出る水だけは「鼻水」って短絡だけど、「鼻漏」とかちょっと違うし、やっぱり「はなみず」以外にないような気もする。それで、ついこの間まで ...
ホトトギス
G、G、G、H、A♭、F♯G、G、G、H、Aテッペンカケタカと鳴くという未明のホトトギスイッペンシンダカモウイッペンイキルカ 終音カケタカホトトギス ...
引越し
引越しは大人になりかけの頃から、何度も経験して来たので、例えば引越しが物理的だろうと、論理的だろうと、家訓通り、「用意綿密」が全てである、と思っていたが、論理的引越しでは用意より検証綿密が大事である、と言うことを、思い知った、今日のIT引越しである。 今日の ...
手瘤
よく見ると、女の手の甲には、奇妙な隆起があるのだ。ほっそりしたこの女がその細い環指を動かすたびに、グロテスクな直径２センチの生命体がうごめく様は、憐れでしかない。そこで、この女に憐憫の情を覚え、一時期深い関係を結んだものもいるのであるが、その破滅的な浪 ...
