(2)2019年のリスクマネー動向
▼ 世界的な景気減速・中長期下落トレンド入りリスク!
リーマンショックからの再生一巡と激化必至の米中冷戦を重石とする主要国経済、インドやインドネシア、ブラジル、メキシコなど成長が期待されていた新興国経済の伸び悩みなど、世界的に景気の先行きは閉塞感が強い状況です。※ 精度は今一つですが、OECD(経済開発協力機構)は2019年の世界経済見通しを11月に3.7%から3.5%に下方修正。

このため世界的にインフレリスクは高まりにくく、長期金利の低位安定思惑を背景とする「債券買い(金利低下)株式売りの長期トレンド化」が警戒されます。また、世界的な景気の先行き閉塞感は原油市況を圧迫するため、運用規模が世界全体の約1割を占める政府系ファンドの中核を占める「オイルマネーのリスク許容度低下」も株価の下押し圧力に。
△ 米利上げ打ち止めのプラス面!
FRBは2015年12月から2018年12月までで9回の利上げを実施し、2019年も2回の追加利上げを予定中。ECBによる2018年12月の量的緩和終了も踏まえれば、リスクマネー全体の規模は縮小するため、景気再生と過剰流動性がマッチした2010年代半ばのような世界的な株高は不可能に。
ただし、FRBの利上げは2019年で一旦打ち止めとなる可能性が高く、世界的金融資本にとっては「流動性の急低下(カネ回りの悪化)懸念」が緩和されるため、従来想定に比べて攻撃力の維持が可能になっています。
(まとめ)
株式市場は段階的に水準を切り下げる長期下落トレンド入りしたリスクが高いものの、米利上げ打ち止め思惑により リスクマネーの暗躍余地 = 下方向のみならず上方向にもオーバーシュートする投資妙味の高い流れが本命視されます。※ 大まかに以下の図のイメージで。