金星と地球の会合周期〜日面通過(ヴィーナストランジット)
6月6日(水)7:10〜13:46(日本標準時)
中心通過10:30頃
私たちの棲む太陽系は、太陽を中心に内側から「水金地火木土天海」の8つの惑
星が回っているという構成で形作られていることは、皆さんも良くご存知のことと
思います。地球は、その内側から3番目の惑星ですから、太陽系第三惑星と言う事
になります。
太陽と地球の距離は、1億5千万キロくらいです。
金星は地球の一つ内側をまわる太陽系2番目の惑星。(最大離角は約47度)
直径は約12000キロで、地球の95%程度の大きさの星で、地球の軌道よりお
およそ4千200万キロ内側、太陽から1億8百万キロくらいの距離を回っていま
す。
金星は、地球のすぐ内側を回る惑星なので、地球から見るといつも太陽の前か後ろ
にいるように見えて、その軌道の見た目の大きさ(幅)は、太陽を中心にだいたい
両腕を90度に広げたくらいの範囲になります。
そのため夕方太陽が沈んだ後に西の空に光る宵の明星と、朝の日の出前に東の空に
光る明けの明星を数ヶ月ごとに交互に繰り返して見えるのです。
また、金星は太陽と月に次いで天空で最も明るく光る星でもあって、最大光度のと
きの東西離角は約40度、光度は−4.87等で、1等星の約170倍もの明るさになりま
す。
惑星の一年(惑星が太陽の周りを一周する日数)は、内側の惑星の方が早く(短く
)、外側の惑星の方が遅く(長く)なっているのですが、金星の一年(公転周期)
は、224.7日で、地球の1年よりも約145日早く太陽の周りを一周します。
太陽の周りを約365.25日で一周する地球と224.7日で一周する金星を軌
道の上から眺めると、地球がその内側で早く進む金星に追い越されてはまた追いつ
かれ ると言う周期を繰り返している様子が見られます。
金星が地球を追い越す瞬間、金星を真ん中に「太陽−金星−地球」が一直線に並ぶ
時を「内合(ないごう)」、そしてこの内合が起きる周期を金星と地球の会合周期
と呼んでいます。
地球と金星が軌道上で重なる会合周期は、583.92日で、一年(365.25
日)と218.67(約7.3ヶ月)ごとに起きています。
会合周期とは、地球よりスピードの速い金星が先に一周して地球に追いついて、地
球から見て金星が太陽の前を横切る時、月で言う新月「朔」になる周期を言う訳で
すが、月の軌道傾斜から新月ごとに日食が起きないのと同じように、金星の軌道も
地球の軌道に対して3.4度ほどずれているので、会合周期の度ごとにいつも太陽
と金星が重なることはありません。
多くの場合、地球から見て金星は太陽の上(北)か下(南)を通過してしまうから
です。最も遠い時では、太陽の見た目の約20倍も上下を離れて通過します。
金星の軌道と地球の軌道が完全に交わる(高さが同じになる)時を軌道の昇交点と
言ってこれは、地球の6月7日頃と12月9日頃に当たることからこの時期と会合
周期が重なる時にだけ「金星の日面通過/ヴィーナストランジット」が起きること
になります。ヴィーナストランジットとは、金星が日面を通過すると言う意味とと
もに金星が昇交点を通過する時と言う意味を含んでいる言葉です。
ヴィーナストランジットは、天文学上では17世紀1630年代にヨハネス・ケプ
ラーによって予測され、イングランドで初めてエレミア・ホロニクスによって観測
されたと記録されています。
8年前の2004年6月8日は、約121.5年ぶりのヴィーナストランジットが
起きたのですが、ヴィーナストランジットは、
243年の周期のあいだに、8年、105.5年、8年、121.5年ごとに起き
ることが分っていて、次回は105.5年先の2117年と25年のセットになり
ます。
ヴィーナストランジットの特に8年ひとセットに注目をして、この時期が歴史の転
換期と符合すると考える人達もいるようです。
これは、前回の8年セットが、1874年と1882年のそれぞれ12月に起きて
いることがちょうど明治維新の最中に当たることから、そう言われているようです。
今回を含めた過去4回の8年セットをならべると、
1631年12月7日
1639年12月4日
1761年 6月6日
1769年 6月3日
1874年12月9日
1882年12月6日
2004年 6月8日
2012年 6月6日
と言う風に、6月と12月を交互に繰り返す8年のセットになっていることが分り
ます。
西洋占星術では、若干考え方が違っていて星座の位置が異なるのですが、地球の軌
道上では、この6月と12月はそれぞれ「蠍座」の方角と「牡牛座」の方角で起こ
ります。ご存知のように最高神ゼウスの化身でもある牡牛は、権力とか支配と言っ
た力を表す意味合いを、個人では目標とか指針、運命と言ったことがらを表してい
て、一方「蠍」については、対抗する、ライバル、内的葛藤、バランスなどを表し
ます。
8年−2.4日 =[会合周期583.92日] × 5で、会合周期は軌道上の216
度ごとに進んで5回目にほぼ元に戻ります。(-2.4日差)
この様子を軌道上に写して行くと、金星と地球が太陽を中心にスター「5芒星」の
星の形を描くことから、ファイブスターは、金星を信仰する象徴と言う風に捉えら
れてもいるようです。
ですから、前回の明治維新の時代には、これは特に我が国においてなのですが、そ
の8年間に特に時代が大きく変わる激変の時が一致したと言うことで、今回「蠍
座」でのこのトランジットは、歴史的な大きな変動期ではなく、人類の精神的成長
期や意識の改革期にあたるのでは、と捉える方が自然だと考えています。
金星の「ヴィーナス」と言う呼び名は、天空で最も明るく輝く美しい星として「美」
の象徴とされたことに由来すると考えられています。世界中で美の女神の名前や、
輝くものと言う意味合いの呼び名が着けられていることからも、古来から特別な星
と捉えられていたようです。
ラテン語:Venusウェヌス、英語:Venus
ローマ神話 ウェヌス(ヴィーナス)
メソポタミア美しさ(明るさ)美の女神 イシュタル
ギリシャア フロディーテ
占星術では、財運(豊かさ)、愛情、才能(芸術)などを司ると言われていること
から、金星と太陽が重なる時は、自分の才能や経験を生かした、理想の恋愛や結婚
をイメージするチャンスと捉えることが出来ます。
もし、今回のヴィーナストランジットが、前回の1800年代、明治維新の時の8
年セットと同じと考えるなら、この2012年の2回目の内合時の昇交点通過は、
時代の変化の終わりと言うことになる訳ですから、どうも今の世界の変化はうまく
当てはまらなかったように感じます。
むしろ今人類全体に共通のテーマとして、次の時代を見据えた意識改革と根本的な
社会構造の見直しの時代が、今まさに起きていることを肌身に感じている方も少な
くないのではないかと考えます。
ガリレオが、地動説(地球が太陽の周りを回っている)と唱えて宗教裁判に遭った
のは1633年、17世紀ちょうど3回前の牡牛座のトランジットの時期です。
当時、地球はまだ星ではなく「大地と海と空」で、太陽が他の星と一緒に地球の周
りを回っていると考えられていました。つまり350年も時代を遡ると地球はまだ
星と考えられてはいなかったと言うことになります。ですから、地球物理学これは
人類が地球を正しく天体と捉え始めたときから始まった学問と考えるならば、その
歴史はまだ400年にも満たないと言うことが分ってくるのです。
例えば私が良く話題にする「月と地球の距離」とか「惑星からの重力の影響」など
も含め、地震のメカニズムや気象の変化の正確な把握と言った話題は、科学にとっ
て長くてもまだ300年程度の歴史しかないものの土台の上に、さらに理論によっ
ては、まだ解明されて数年、数十年としか経っていないような事柄さえ多く存在す
るのですから、宇宙も地球も私たちにとってはまだ未解明な謎の方がはるかに多い
存在なのです。
昨年、我が国は有史以来初めてではないかと言う巨大プレート型地震に見舞われ、
甚大な被害を受け、多くの尊い命を失いました。この地震はおそらく世界最大クラ
スのものだったと考えられていますが、残念なことに私たちはまだこの世界で一番
大きな地震さえも、その前兆を捉えることが出来ないままでいます。
我が国は、四季があり自然の恵みが豊かな国ですが、地震大国、台風銀座、火山列
島等と言う言葉が在るほど、反面自然災害が多い国でもあります。自然災害が多い
と言うことは、決して好ましいことではありませんが、でもこのことはそれを研究
する立場の人達からしてみれば、最もサンプルの多い国と言うふうに捉えることも
できるので、このことを研究者やそういった学問などに携わる人達がもっと良く自
覚して、真剣に真摯に受け止めて、研究解明を進めていただきたいと思っています。
私の研究テーマは「月と人の関わり」ですが、それは月も地球も太陽系の一員とし
て、さらに太陽系は銀河系の一員としてのバランスの中で宇宙に存在するものと考
えています。
地球も一つの星であるように、天空を行き交うその星を見上げていると、実はそこ
にひらめきの種が落ちているかもしれないと思っています。
太古から人は星の存在をそんな風に受け止め、捉え、星を読んで、ひいては暦とい
う年月の単位を発見して利用して行ったのでしょう。
先日5月21日、日本の各地で「金環日食」が見られましたが、次回こんなに見事
な日食が見られるのは、次のヴィーナストランジットより更に先の300年後にな
るそうですが、ガリレオから約350年、そして次の金環食の時代に私たちの子孫
はどんな文明の中でどんな宇宙観の中で生きているのでしょうか?。
星川 芳人
2012年6月6日 14:30分ころ生放送出演予定です。
SBSラジオ・静岡放送「らぶらじ・めくるめくテツワールド」
生放送用/カンペ!
放送後記(2012年6月21日)
10分ちょっとだったけれど初めての生ラジオで少し上がったが、なんとか放送
に絶え得るトークが出来たかな。まずは、このチャンスを与えてくれた杉原徹氏と
当日聴いて下さった皆様にこの場を借りてお礼を申し上げる。
余談になるが、ちょうどこの放送当日、まさにヴィーナストランジットの最中、日
本列島は季節外れの台風に見舞われていた。
台風3号中心気圧980hPaが、正午に八丈島の東南東約270kmをこの季節の台風の特
徴なのか梅雨前線と言うレールの存在のためか、列島に近づくとかなり速いスピー
ドに加速して東北東へ時速65kmで北上していた。
そのために東京では、日面通過が見られないところもあり、私も雲の切れ間を願っ
たが、それは一瞬でその様子を確認することは出来ずに放送本番になった。
放送前の数日、このカンペを仕込むために8年前のデータも少し調べたりした。同
時に台風が接近していたので、この季節の台風の動向も調べようとネットで過去の
台風を検索してみた。
すると、ちょうど8年前のこの時期も6月に台風4から8号が発生していて、4号
は2004年6月8日には、列島からは遠かったがフィリピンの北岸から台湾の南
岸へと通過している。
2012年は、夏至直前の6月19日に台風4号が上陸、明けて20日は、
0:02に5月の金環食の後の新月を迎えているが、2004年は6月21日まさ
に夏至のその日に台風6号が上陸していて、最も遠い新月が3日前の6月18日に
過ぎている。
ラジオの放送では、2004年のこの台風の件については特に触れなかったし、実
際2012年の夏至までは、このヴィーナストランジットの8年の不思議な符号を
あまり深く考えてはいなかったのだが、よく考えてみれば太陽、月の次に地球に大
きく引力の影響を及ぼす惑星は、金星、火星、木星と言うことになる訳だから、も
しかしたらこれは今後金星の内合と気象の因果や火星の大接近と気象の因果とかも
検証してみても良いのかもしれないと思わせる、梅雨時期の台風到来だった。
まだまだ、自然のメカニズムは奥深く私たちに探求の余地を残しているようだ。
そう思うとなんだかまた新しい発見が出来そうで、楽しくなって来た。
6月6日(水)7:10〜13:46(日本標準時)
中心通過10:30頃
私たちの棲む太陽系は、太陽を中心に内側から「水金地火木土天海」の8つの惑
星が回っているという構成で形作られていることは、皆さんも良くご存知のことと
思います。地球は、その内側から3番目の惑星ですから、太陽系第三惑星と言う事
になります。
太陽と地球の距離は、1億5千万キロくらいです。
金星は地球の一つ内側をまわる太陽系2番目の惑星。(最大離角は約47度)
直径は約12000キロで、地球の95%程度の大きさの星で、地球の軌道よりお
およそ4千200万キロ内側、太陽から1億8百万キロくらいの距離を回っていま
す。
金星は、地球のすぐ内側を回る惑星なので、地球から見るといつも太陽の前か後ろ
にいるように見えて、その軌道の見た目の大きさ(幅)は、太陽を中心にだいたい
両腕を90度に広げたくらいの範囲になります。
そのため夕方太陽が沈んだ後に西の空に光る宵の明星と、朝の日の出前に東の空に
光る明けの明星を数ヶ月ごとに交互に繰り返して見えるのです。
また、金星は太陽と月に次いで天空で最も明るく光る星でもあって、最大光度のと
きの東西離角は約40度、光度は−4.87等で、1等星の約170倍もの明るさになりま
す。
惑星の一年(惑星が太陽の周りを一周する日数)は、内側の惑星の方が早く(短く
)、外側の惑星の方が遅く(長く)なっているのですが、金星の一年(公転周期)
は、224.7日で、地球の1年よりも約145日早く太陽の周りを一周します。
太陽の周りを約365.25日で一周する地球と224.7日で一周する金星を軌
道の上から眺めると、地球がその内側で早く進む金星に追い越されてはまた追いつ
かれ ると言う周期を繰り返している様子が見られます。
金星が地球を追い越す瞬間、金星を真ん中に「太陽−金星−地球」が一直線に並ぶ
時を「内合(ないごう)」、そしてこの内合が起きる周期を金星と地球の会合周期
と呼んでいます。
地球と金星が軌道上で重なる会合周期は、583.92日で、一年(365.25
日)と218.67(約7.3ヶ月)ごとに起きています。
会合周期とは、地球よりスピードの速い金星が先に一周して地球に追いついて、地
球から見て金星が太陽の前を横切る時、月で言う新月「朔」になる周期を言う訳で
すが、月の軌道傾斜から新月ごとに日食が起きないのと同じように、金星の軌道も
地球の軌道に対して3.4度ほどずれているので、会合周期の度ごとにいつも太陽
と金星が重なることはありません。
多くの場合、地球から見て金星は太陽の上(北)か下(南)を通過してしまうから
です。最も遠い時では、太陽の見た目の約20倍も上下を離れて通過します。
金星の軌道と地球の軌道が完全に交わる(高さが同じになる)時を軌道の昇交点と
言ってこれは、地球の6月7日頃と12月9日頃に当たることからこの時期と会合
周期が重なる時にだけ「金星の日面通過/ヴィーナストランジット」が起きること
になります。ヴィーナストランジットとは、金星が日面を通過すると言う意味とと
もに金星が昇交点を通過する時と言う意味を含んでいる言葉です。
ヴィーナストランジットは、天文学上では17世紀1630年代にヨハネス・ケプ
ラーによって予測され、イングランドで初めてエレミア・ホロニクスによって観測
されたと記録されています。
8年前の2004年6月8日は、約121.5年ぶりのヴィーナストランジットが
起きたのですが、ヴィーナストランジットは、
243年の周期のあいだに、8年、105.5年、8年、121.5年ごとに起き
ることが分っていて、次回は105.5年先の2117年と25年のセットになり
ます。
ヴィーナストランジットの特に8年ひとセットに注目をして、この時期が歴史の転
換期と符合すると考える人達もいるようです。
これは、前回の8年セットが、1874年と1882年のそれぞれ12月に起きて
いることがちょうど明治維新の最中に当たることから、そう言われているようです。
今回を含めた過去4回の8年セットをならべると、
1631年12月7日
1639年12月4日
1761年 6月6日
1769年 6月3日
1874年12月9日
1882年12月6日
2004年 6月8日
2012年 6月6日
と言う風に、6月と12月を交互に繰り返す8年のセットになっていることが分り
ます。
西洋占星術では、若干考え方が違っていて星座の位置が異なるのですが、地球の軌
道上では、この6月と12月はそれぞれ「蠍座」の方角と「牡牛座」の方角で起こ
ります。ご存知のように最高神ゼウスの化身でもある牡牛は、権力とか支配と言っ
た力を表す意味合いを、個人では目標とか指針、運命と言ったことがらを表してい
て、一方「蠍」については、対抗する、ライバル、内的葛藤、バランスなどを表し
ます。
8年−2.4日 =[会合周期583.92日] × 5で、会合周期は軌道上の216
度ごとに進んで5回目にほぼ元に戻ります。(-2.4日差)
この様子を軌道上に写して行くと、金星と地球が太陽を中心にスター「5芒星」の
星の形を描くことから、ファイブスターは、金星を信仰する象徴と言う風に捉えら
れてもいるようです。
ですから、前回の明治維新の時代には、これは特に我が国においてなのですが、そ
の8年間に特に時代が大きく変わる激変の時が一致したと言うことで、今回「蠍
座」でのこのトランジットは、歴史的な大きな変動期ではなく、人類の精神的成長
期や意識の改革期にあたるのでは、と捉える方が自然だと考えています。
金星の「ヴィーナス」と言う呼び名は、天空で最も明るく輝く美しい星として「美」
の象徴とされたことに由来すると考えられています。世界中で美の女神の名前や、
輝くものと言う意味合いの呼び名が着けられていることからも、古来から特別な星
と捉えられていたようです。
ラテン語:Venusウェヌス、英語:Venus
ローマ神話 ウェヌス(ヴィーナス)
メソポタミア美しさ(明るさ)美の女神 イシュタル
ギリシャア フロディーテ
占星術では、財運(豊かさ)、愛情、才能(芸術)などを司ると言われていること
から、金星と太陽が重なる時は、自分の才能や経験を生かした、理想の恋愛や結婚
をイメージするチャンスと捉えることが出来ます。
もし、今回のヴィーナストランジットが、前回の1800年代、明治維新の時の8
年セットと同じと考えるなら、この2012年の2回目の内合時の昇交点通過は、
時代の変化の終わりと言うことになる訳ですから、どうも今の世界の変化はうまく
当てはまらなかったように感じます。
むしろ今人類全体に共通のテーマとして、次の時代を見据えた意識改革と根本的な
社会構造の見直しの時代が、今まさに起きていることを肌身に感じている方も少な
くないのではないかと考えます。
ガリレオが、地動説(地球が太陽の周りを回っている)と唱えて宗教裁判に遭った
のは1633年、17世紀ちょうど3回前の牡牛座のトランジットの時期です。
当時、地球はまだ星ではなく「大地と海と空」で、太陽が他の星と一緒に地球の周
りを回っていると考えられていました。つまり350年も時代を遡ると地球はまだ
星と考えられてはいなかったと言うことになります。ですから、地球物理学これは
人類が地球を正しく天体と捉え始めたときから始まった学問と考えるならば、その
歴史はまだ400年にも満たないと言うことが分ってくるのです。
例えば私が良く話題にする「月と地球の距離」とか「惑星からの重力の影響」など
も含め、地震のメカニズムや気象の変化の正確な把握と言った話題は、科学にとっ
て長くてもまだ300年程度の歴史しかないものの土台の上に、さらに理論によっ
ては、まだ解明されて数年、数十年としか経っていないような事柄さえ多く存在す
るのですから、宇宙も地球も私たちにとってはまだ未解明な謎の方がはるかに多い
存在なのです。
昨年、我が国は有史以来初めてではないかと言う巨大プレート型地震に見舞われ、
甚大な被害を受け、多くの尊い命を失いました。この地震はおそらく世界最大クラ
スのものだったと考えられていますが、残念なことに私たちはまだこの世界で一番
大きな地震さえも、その前兆を捉えることが出来ないままでいます。
我が国は、四季があり自然の恵みが豊かな国ですが、地震大国、台風銀座、火山列
島等と言う言葉が在るほど、反面自然災害が多い国でもあります。自然災害が多い
と言うことは、決して好ましいことではありませんが、でもこのことはそれを研究
する立場の人達からしてみれば、最もサンプルの多い国と言うふうに捉えることも
できるので、このことを研究者やそういった学問などに携わる人達がもっと良く自
覚して、真剣に真摯に受け止めて、研究解明を進めていただきたいと思っています。
私の研究テーマは「月と人の関わり」ですが、それは月も地球も太陽系の一員とし
て、さらに太陽系は銀河系の一員としてのバランスの中で宇宙に存在するものと考
えています。
地球も一つの星であるように、天空を行き交うその星を見上げていると、実はそこ
にひらめきの種が落ちているかもしれないと思っています。
太古から人は星の存在をそんな風に受け止め、捉え、星を読んで、ひいては暦とい
う年月の単位を発見して利用して行ったのでしょう。
先日5月21日、日本の各地で「金環日食」が見られましたが、次回こんなに見事
な日食が見られるのは、次のヴィーナストランジットより更に先の300年後にな
るそうですが、ガリレオから約350年、そして次の金環食の時代に私たちの子孫
はどんな文明の中でどんな宇宙観の中で生きているのでしょうか?。
星川 芳人
2012年6月6日 14:30分ころ生放送出演予定です。
SBSラジオ・静岡放送「らぶらじ・めくるめくテツワールド」
生放送用/カンペ!
放送後記(2012年6月21日)
10分ちょっとだったけれど初めての生ラジオで少し上がったが、なんとか放送
に絶え得るトークが出来たかな。まずは、このチャンスを与えてくれた杉原徹氏と
当日聴いて下さった皆様にこの場を借りてお礼を申し上げる。
余談になるが、ちょうどこの放送当日、まさにヴィーナストランジットの最中、日
本列島は季節外れの台風に見舞われていた。
台風3号中心気圧980hPaが、正午に八丈島の東南東約270kmをこの季節の台風の特
徴なのか梅雨前線と言うレールの存在のためか、列島に近づくとかなり速いスピー
ドに加速して東北東へ時速65kmで北上していた。
そのために東京では、日面通過が見られないところもあり、私も雲の切れ間を願っ
たが、それは一瞬でその様子を確認することは出来ずに放送本番になった。
放送前の数日、このカンペを仕込むために8年前のデータも少し調べたりした。同
時に台風が接近していたので、この季節の台風の動向も調べようとネットで過去の
台風を検索してみた。
すると、ちょうど8年前のこの時期も6月に台風4から8号が発生していて、4号
は2004年6月8日には、列島からは遠かったがフィリピンの北岸から台湾の南
岸へと通過している。
2012年は、夏至直前の6月19日に台風4号が上陸、明けて20日は、
0:02に5月の金環食の後の新月を迎えているが、2004年は6月21日まさ
に夏至のその日に台風6号が上陸していて、最も遠い新月が3日前の6月18日に
過ぎている。
ラジオの放送では、2004年のこの台風の件については特に触れなかったし、実
際2012年の夏至までは、このヴィーナストランジットの8年の不思議な符号を
あまり深く考えてはいなかったのだが、よく考えてみれば太陽、月の次に地球に大
きく引力の影響を及ぼす惑星は、金星、火星、木星と言うことになる訳だから、も
しかしたらこれは今後金星の内合と気象の因果や火星の大接近と気象の因果とかも
検証してみても良いのかもしれないと思わせる、梅雨時期の台風到来だった。
まだまだ、自然のメカニズムは奥深く私たちに探求の余地を残しているようだ。
そう思うとなんだかまた新しい発見が出来そうで、楽しくなって来た。