Yushchenko ウクライナ大統領選で3日、同国の最高裁判所がヤヌコビッチ首相の当選を無効とする裁定を下した。野党候補ユシチェンコの支持勢力がシンボルに掲げる色から「オレンジ革命(révolution orange)」と呼ばれるこの一連の流れは、フランスでも「欧州の民主主義の、ロシアに対する勝利」と大々的に報道されている。まずは12月4日付リベラシオンの論説「熱望(Aspiration)」(Patrick SABATIER)を抄訳する。
L'annulation de l'élection frauduleuse à la présidence de l'Ukraine est d'abord une victoire pour la «révolution orange», cette lame de fond venue d'une majorité d'Ukrainiens, déterminés à en finir avec le régime quasi mafieux des oligarques de la nomenklatura post-URSS, au pouvoir depuis que le pays s'est détaché de l'orbite soviétique il y a treize ans.
(不正があったウクライナ大統領選の無効裁定は、まずは「オレンジ革命」にとっての勝利である。13年前のソ連解体以降、ウクライナの実権を掌握していた少数のノーメンクラツーラ(特権階級)によるほとんどマフィア的な政権を終わらせようと、ウクライナの多数を占める民衆が起こした大きなうねりが勝ったのだ。)

Mais c'est aussi une victoire pour l'Europe, vers laquelle ils se sont tournés. Celle-ci voit triompher les principes démocratiques qui sont les siens, et elle a aidé à contrer la tentative maladroite de Vladimir Poutine de refaire de l'Ukraine un satellite de la Russie.
(だが、これは欧州にとっての勝利でもある。ウクライナは欧州の方へ向きを変えた。欧州は、自分たちの民主主義の原理がウクライナで勝利するのを見た。欧州は、ウラジミール・プーチンがウクライナをロシアの衛星国にとどめようと不器用な試みに対抗するのを助けたのだ。)

Il y a eu la Serbie qui a chassé Milosevic, la Géorgie qui a mis au rencart Chevardnadze. L'Ukraine qui se libère de Ianoukovitch, le président prorusse qu'on voulait lui imposer, prouve la puissance de l'aspiration démocratique dans les sociétés d'Europe orientale, et des mouvements de masse non-violents qu'elle inspire, minant des régimes fondés sur la peur, la répression, la corruption, la manipulation des institutions et le soutien de Moscou.
(セルビア人はミロシェビッチを追放した。グルジア人はシュワルナゼをお払い箱にした。そして、ウクライナ人は親ロシア派の大統領になるはずだったヤヌコビッチから解き放たれようとしている。これは中央ヨーロッパ社会で、民主主義への熱望と大衆による非暴力の活動の力が大きいことを証明している。民衆は、ロシア主導の恐怖と弾圧と汚職に根ざした政権をぶち壊しつつある。)

Le verdict de la Cour suprême ne met peut-être pas fin à la guérilla menée par le président Koutchma et ses partisans pour préserver ce qui peut l'être de leurs fortunes mal acquises, et s'assurer l'impunité pour leurs crimes et leurs prévarications passées.
(おそらく最高裁判所の裁定は、クチマ大統領とその支持者が不当に得た財産の存在を隠し、過去に行った不正や背任行為の罪を問われないようにするために行っている抵抗活動を終わらせることはできないだろう。)

Si troisième tour il y a, encore faudra-t-il s'assurer qu'il ne sera pas entaché comme le second (et le premier) par des fraudes massives, et qu'un régime aux abois ne tente pas l'option de la force. On peut compter pour cela sur les militants de la «révolution orange». Ils doivent en retour pouvoir compter sur l'Union européenne, vers laquelle ils ont déjà fait un grand pas.
(3度目の選挙を実施する際には、第2回目の(そして第1回目の)投票で行われたような大規模な不正行為が行われないようにしなければならない。そして窮地に陥った現政権が軍を利用しないことを確かめなければならない。その点で、「オレンジ革命」の活動家たちは信頼できるし、彼らもEUに対して信頼する必要がある。彼らはすでにEUに対して大きな一歩を歩んでいるのだ。)
 フランスが(少なくともリベラシオン紙が)「ウクライナに民主主義を!!」と熱望するのが切実に伝わってくる熱い論説だった。オレンジという色が「炎」の色だから熱いのかもしれない。
 さて、12月3日の朝日新聞朝刊の「花火で演出/ウクライナ野党抗議運動/欧米から選挙参謀」(キエフ=横村出特派員)によると、そもそも野党抗議運動のシンボルマークがオレンジになったのは、昨年11月のグルジア政変にかかわったとされる欧米系コンサルタントが野党に協力して「オレンジに統一しよう」と演出し「オレンジ革命」のスローガンで活動を広めたからだという。ヤヌコビッチに反発して独立広場に集まった若者を組織化し、コンサートを開いたり花火を上げたりと、派手な演出でテレビ中継を通じて強烈にアピールしているわけである。
 「田中宇の国際ニュース解説」の「ウクライナ民主主義の戦いのウソ」という2004年11月30日の記事によると、アメリカがウクライナの選挙で野党陣営を支援し、ユシチェンコを勝たせるために支持組織に政治活動の訓練を施してきたのだという。
 この記事から抜粋すると、
■アメリカが選挙を使って旧ソ連系諸国の政権を転覆する作戦は今回で4回目。
■マスコミはユシチェンコ陣営が流す「ユシチェンコ毒殺未遂謀略説」を垂れ流し、彼らに加担する形となっている。
■ユーゴスラビア、グルジア、ベラルーシ、ウクライナでアメリカが政権転覆を企てた背景には、ロシア寄りの政権を倒して欧米寄りの新政権を作ることで、ロシアを封じ込める意図があるというのが一般的な見方だ。
■ウクライナの場合、今回の政権転覆の試みは、これまで統一されてきた国内を東西に分裂させて不安定にする結果を生みそうである。
 これを読むと、「オレンジ革命」の熱狂を冷めた目で見ざるをえなくなる。どれくらい本当かは知らないが。
 こうなると、マスコミに出てくるユシチェンコの写真がどれも光の具合で顔のデコボコが目立つようになっているのもユシチェンコ陣営、あるいは「欧米系コンサルタント」がわざとそういう風に照明を焚いて、「毒を盛られているんだぞ!」とある種のプロパガンダをやっているように思える。
 こうなると、リベラシオン紙の論説からだいぶ離れた場所に来てしまった。晩御飯でも食べながら『戦争広告代理店』を読もうか。