「鉄道情景作家 安藤俊春の世界」は3日間開催され、合せて210名の来場者があった。盛況で何よりだった。
◆会場_複数の花束
会場に来られた人を喜ばせるのは、まず第一に展示作品のクォリティーだろう。それ以外は添え物的だが、作品たちを輝かせる工夫は価値がある。

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展覧会を盛り立てるためには、次のようなことを考える(行なう)のが基本だろう。

♪展示空間
作品を展示するテーブルは間隔を大きく取って、ゆったりしたレイアウトになっていた。来場者が体をかがめて見入ってもスペースには何も問題ない。ちなみにこの人、会社の社長さんらしい。
◆作品をのぞき込むおじさん
♪照明
このギャラリーは通常、壁面に絵画・版画を展示するので照明もそれに合せてセットされていた。今回はテーブルに作品を並べるので照明の角度を変えなければならなかった。脚立を使ってその作業をやってくれた人がいた。

♪BGM
来場者の気持ちを和らげ、あるいは意気を高めるようにジャズの名曲が流されていた。
◆会場_BGMのジャズ
♪キャプション
展示番号、作品名(漢字およびふりがな)、サイズ、制作年という必要な情報が明記されている。

♪制作過程のお披露目
鉄道情景作品はどのようにして制作されたか、がわかるように制作過程が紹介されていた。
◆会場_制作過程_全体
むかし懐かしい「お道具箱」もあった。
◆会場_制作過程_お道具箱
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上記以外に、作家の安藤俊春が自ら考え、実践したことがあった。

♪作品保護ケースの取り外し
「トンネルを抜けると鎮守さまが」という作品の展示をよく観察してみよう。
◆トンネルを抜けると鎮守さまが
作品の左には透明プラスチックの蓋が置かれている。これは本来作品にかぶせて保護するためのものだ。模型車輌やレールはたいへん繊細なものなので、子供がいたずらしたら破損しかねない。

しかし安藤俊春は、そのようなリスクを承知で蓋を取り払った。そして控えめに「てつどうに さわらないでね」という注意書きを添えた。作品が良く見えるように、撮影しても光の反射が邪魔しないようにという配慮だ。作家の人柄がうかがえた。

このような様々なサポートによりこの展覧会は盛り上がったのである。