ジョヴァンニッキ2

即興演奏家が本業よりアート鑑賞に夢中になっているブログです。

カテゴリ:音楽 > コンサート(聴く側)

福島県会津若松市に行き「ワンコイン ファミリーコンサート ‘18」(會津稽古堂 多目的ホール)を聴いた。
IMG_0001 - コピー
妻ジョアンナ(仮名)も出演したので、余計な事は書けない。仲間うちの話題は別の機会に公表して盛り上がるとして、ここでは客観的な感想を記す。

なおこのコンサートは声楽(ソプラノ)、ピアノ、打楽器(マリンバ、カホン)という編成だった。そしてコンサートの中心は会津ゆかりの演奏家(ソプラノ、ピアノ二人の合計3人)である。

共演者は、自らのアピールをしつつ、この3人に対して敬意を表するという難しい立ち位置を課せられていたと思った。
IMG_20181118_144217
1.マリンバとカホン
歌とピアノは珍しくないが、マリンバとカホンは聴く機会が少ないと思う。打楽器奏者は中心の三人を引き立て、なおかつこれらの珍しい打楽器のアピールをする、ということが重要な課題だったかと考える。

そして、その課題は見事にクリヤーされたと思った。例えば葉加瀬太郎作曲「情熱大陸」では、カホンが4拍子のリズムを刻み、スピード、音量の2点においてピアノ連弾をリードしつつ、なおかつピアノの音にも配慮していたように聴こえたからである。

2.ピアニスト4人の棲み分け
ピアニストのうち2人は会津ゆかりの演奏家であり、他の2人は「アウェイ」である。

会津のピアニストは独奏と連弾で地元にアピールしていた。それに対し他の2人は歌の伴奏、マリンバの伴奏という立ち位置であった。

結果的に、この「分業」が互いの個性を際立たせ、それがプログラムの広がりにつながったと思った。

3.「群青」による地域密着
プログラムの最後はプッチーニのオペラアリアで締められた。そしてその一つ前には小田美樹作詞・作曲の「群青」が歌われた。この曲は言うまでもなく、東日本大震災の復興支援の歌である。

この必然の企画、悪く表現すれば「ベタ」と呼んでしまうかもしれない。しかし、当たり前のことを当たり前に打ち出すことが涙と感動を誘い、コンサート全体の成功を導いたと思った。
IMG_0002
このコンサートは「ホーム」の人々の心に大きく響いたことだろう。

「ムジカポルト室内合奏団 第24回演奏会」(横浜市港南区民文化センター「ひまわりの郷」ホール)に行った。
チラシ表
このコンサートシリーズには毎年足を運んでいる。それには次のような複数の理由がある。

1. メンバーに自身による編曲のアイデアを参考にする(盗む)
2. プログラム構成など企画面でのアイデアを参考にする(盗む)
3. チラシ、プログラム、半券のデザインを参考にする(盗む)
4. トランペット兼MCの杉本正穀のアイデアを参考にする(盗む)
5. フルートの河合沙樹の追っかけ
6. マリンバの斎藤祥子の追っかけ
7. 高校同期の仲間と一杯やるための口実として誘い合って聴きに行く

上に列挙した理由は、必ずしも重要度の高い順番に並んでいるわけではないが(苦笑)便宜上、通し番号を付けた。以下、補足する。
IMG_0001
1. 編曲
♪「羊は安らかに草を食み」の冒頭は、オリジナルでは2本のフルートが同度進行するが、ムジカポルトの編曲ではフルートとクラリネットが1小節毎に交代でメロディーを奏していた。同度進行の味わいは消えるが、2本の管楽器と演奏者を紹介するという形になっていたので、これも一興かと思った。

通奏低音に関しては、ピアノの左手と重複でコントラバスが入ると響きが面白いのではないかと思った。スラースタカートで同音の連続をポンポンと鳴らすと独特の味わいが出る。

また中間部で短調に転じた箇所では、思い切ってピアノが休み、管楽器とコントラバスが1対1で奏したら光と影のコントラストが強調されるのではないかと思った。

編曲は何通りにも可能性が広がる。それだけに大変な努力を強いられると思う。機会があれば編曲を担当した人に苦労話を聞きたいものだ。

2. プログラム構成
今回は動物をテーマとしている。
IMG_0002
アンコールとして次の2曲が演奏された:
♪ルロイ・アンダーソン作曲「ワルツィング・キャット」
♪ヘンリー・マンシーニ作曲「小象の行進」

♪「鳥:前奏曲」ではかっこうの動機が何度も繰り返された。それとの重複を避けたのだと思うが、♪「動物の謝肉祭」では「森の奥に住むかっこう」が省かれていた。

ちなみに私はピアニストの妻たちと共に子供向けコンサートに出演し、「動物の謝肉祭」を演奏した。その選曲は今回のムジカポルトのプログラムから「亀」を除いた6曲だった。まあこのあたりが抜粋の定番なのだろう。

そうだ、私は「ピアニスト」は素でいけますから一度弾かせて下さいね!

ショパンの子犬と猫のワルツを並べて比較できるようにしたのは良いと思った。私は猫のワルツのことを知らなかった。

3. デザイン
コンサートや展覧会ではチラシと半券が同じデザインで作られていることが多い。これは経費と時間の節約にはなると思うが、味気ない。

その点ムジカポルトはチラシとは異なる半券をデザインした。しかもチラシに使われた蛇のように曲がりくねった「animals」という文字デザインだけを半券に導入することにより、チラシと半券が異なるデザインでありながら親和性も保つ形を実現していた。
IMG_0003
4. MC
トランペットの杉本正穀は毎回MCを担当している。今回は、サン=サーンスに関する説明が良かった。不遇な時代があったとか、普段聴けない話を巧みに織り込んで話していた。

またMCではないが、今回は「ピーターと狼」における小曲久美子のナレーションが楽しかった。

ナレーションは演奏が静まった時が多かったが、演奏が続くなかでのナレーションもあった。それが少し聴きにくかったのだが、前の方の席で聴いていたからかもしれない。
チラシ裏
5. フルートの河合沙樹
何回か記事に書いていることだが、私はこれまでフルート奏者に良い印象を持っていなかった。その頑な考えが河合沙樹の演奏を聴いて改められた。

私のフルート奏者に対するこれまでのイメージは、「私が俺が・・・」と自己主張してピーピー鳴らし、自分が間違っても素直に間違えを認めない、というものであった。

河合沙樹の場合は逆で、アンサンブルの相手を尊重し、的確に出たり入ったりしている。またピッコロというと耳をつんざくような鋭い音が鳴るというイメージだが、彼女のピッコロは信じられないほど柔らかい。

こういうフルート奏者がもっと多くいたら、私はフルートの演奏をもっと好きになると思うのだが・・・。

6. マリンバの斎藤祥子
以前、アート仲間と行った横浜の店でバイトしていたかわいい女性がいた。話すと打楽器奏者だという。それが斎藤祥子だった。それ以来、その友人と「祥子サマ」と呼んで追っかけていた。

斎藤祥子はシュアなテクニックを持っているのだろうけど、それを出さず表面はおっとりしている。「私は上手いでしょ?」という態度ではなく、「良かったら聴いて下さい」というイメージなのだ。これが彼女の魅力を高めているかもしれない。

アンコールの「ワルツィング・キャット」で披露した犬の鳴き声はウケましたよ!

7. 高校同期仲間
このコンサートには2人の友人と一緒に来た。二人とも斎藤祥子のファンである。終演後、予約しておいたファン垂涎 の焼き鳥屋「一鳥」へ。
IMG_20181018_222710
拙ブログはグルメブログではないが、あまりに美味しかったのでつい採り上げてしまった。
入口の上に掲げられた看板を写すと、何となく芸術的香りが・・・。

IMG_20181018_222701


私の自宅の近くに陶芸アーティスト・海好(かいこう)さんの自邸がある。
海好さん宅の看板
そこでハーフムーン(琢磨仁・啓子)のコンサートが開催された。海好さんの誕生日を祝うイベントである。最初はハーフムーンがしなやかな演奏をしていた。「ムーン」という月をテーマにした歌がいいと思った。
ハーフムーンの二人
しばらくしたら、フラ軍が乱入した。最高潮の盛り上がりである。
ハーフムーン演奏にフラが乱入
終演後はパーティーとなった。美味しい料理に美味しいお酒。食べて飲んで、写真を撮る余裕が無かった。

最後に、数十名の参加者全員が海好さんからプレゼントを戴いた。きれいな陶芸作品だ。
お土産の焼き物
この数を成型して焼くのは大変だったと思う。ありがとうございます。

第22回 アラベスクコンサート「薫風 ~麦の穂そよぐ~」(パルテノン多摩 小ホール)に行った。
IMG_0002
私はこのコンサートシリーズのリピーターであり、ほぼ毎年足を運んでいる。前回(第21回)はどうしても都合がつかず「欠席」してしまったが・・・。

演奏者一人ひとりに関して、2年前との比較を念頭に、感想を書いてみる(名前の五十音順)。
IMG_0001
♪粟飯原俊文(テノール:特別出演)
名前の五十音順により、偶然ではあるがゲスト演奏家が最初になってしまった。素晴らしい演奏でした。

♪浅田明美(フルート)
モーツァルトのフルート四重奏曲(編曲)ではピアノの今野恵子との共演だったが、二人ともアンサンブルに配慮するタイプの演奏で、大変好感が持てた。

相手に合せにいくのと伸びやかに歌うのは、相反すると思う。二人はそのギリギリのところで調和しつつ、かつ軽やかに歌っていた。(曲そのものを含め)名人芸を見せるような派手さは無かったが、地道に仕上げた名演といって良いだろう。

ガルデルの「想いの届く日」はチェロ・ピアノと、そしてラヴランドの「You Raise Me Up」ではソプラノ・ピアノとの共演だった。このように多様なアンサンブルにおいて浅田はフルートの立ち位置を考えながらこなしていたように感じた。これらにおいても「アンサンブルへの配慮」という浅田の持ち味が出ていた。

♪足立泰子(ソプラノ)
武満徹の「翼」ではオペラとは勝手が違うので若干苦慮していたようだった。しかしオペラのアリアになったら、ここぞとばかり伸び伸びと歌っていた。素晴らしい演奏だった。

だからといって、アリアばかり歌って下さいというようには私は思わない。今後も様々なタイプの歌を手掛けていって欲しいと思う。その方が、興味が深まり、楽しめる。そしてそれが「アラベスクらしさ」だと私は信じている。

曲を追うごとに調子が出て、最後に粟飯原と歌った「さくらんぼの二重唱」は圧巻だった。

♪今野恵子(ピアノ)
先に述べた浅田明美との共演も良かったが、今回のコンサートで注目したのは弱音ながらくっきりと奏でた高音である。

メンデルスゾーンの「無言歌集」から選んだ「ヴェニスのゴンドラの歌」では高音で静かに、乾いた音でトリルを奏した。それが低音の旋律を邪魔せず、かつ高音側の存在感も示していて素晴らしかった。

同じことが升谷奈保との連弾でも感じ取れた。ドヴォルジャークの「スラヴ舞曲」作品12-2では、低音パートを受け持った升谷がメロディーを奏すると、高音の今野が弱音で伴奏やオブリガートを奏していた。それにより低いメロディーが鮮明になり、かつ全体としてうるさくない上品な演奏にまとまっていた。連弾というとうるさいというイメージが付きまとうが、それを打破していたのである。

♪折田緑(オカリナ・フルート)
毎回敬服して聴いているのだが、今回特に感心したのはオカリナの演奏技術である。フルート等に比べて機能性に劣ると思われるのに、音程良く、軽々と吹いていた。

特に驚いたのは、一曲の中でオカリナを持ち替えることなく転調に対応していた点である。2つの調性を吹くということは、何種類の音を吹き分けたんだろう、と思うと怖ろしさをも感じた。

♪佐々木真美子(ギター)
神谷昌紀編曲「第三の男」のソロは、佐々木ファンが「待ってました!」と声援を送りたくなる晴れ舞台であった。演奏技術はもちろん素晴らしかったが、編曲の巧みさも感じられた。

旋律の中で1~2オクターブ跳躍するところがあった。低い弦の高いポジションから移れば容易だと思ったところを、同一弦で下から上までポジション移動していた。この方が難しいと思うが、ポルタメントの効果を狙ったものだろうか。

その当たりが、安易に妥協せず、曲の持つ魅力を最大限に引き出したいという確固たるものを佐々木は持っていると思った。

♪佐藤順子(ギター)
とても上手になられた、というのが実感である。神谷昌紀作曲「カンザスの麦畑」を佐々木真美子とのギター二重奏で披露したが、単に縦を合わせましたというレベルを超えて調和させていた。例えば分散和音をレガートで弾くところと硬く弾くところで弾き方を合わせる、などである。

また折田緑と共演した「タンゴの歴史」より「ナイトクラブ」は上記のアンサンブルへの配慮に加え、アンニュイな雰囲気を醸し出していた。

♪住野公一(チェロ)
フォーレのチェロソナタ第2番の第1楽章を演奏したが、私はこの曲の楽譜を持っており、仲間うちで弾いたこともある。
IMG_0010
この曲は一見、簡素で演奏が易しそうに見える。現に音楽之友社刊「名曲解説全集」の「室内楽曲・下」でも「無技巧と思われるほど枯淡なもの」と評している。

しかし、これは実際に演奏してみないとわからないのだが、意外に難曲なのである。全体的にチェロが良く鳴らないし、盛り上がるべき箇所で盛り上げるのが非常に難しいのだ。後打ちの伴奏もピアニストを悩ませる要因である。

この難物に果敢に取り組んだ住野公一は、やはり達人だ。

♪宮本美知枝(語り)
テーマと演奏曲を結びつける語りを産み出すために毎回、調査・取材に努力している人である。最近はネットで様々な情報が得られるので昔に比べたら作業が楽になったとは思うが、それでも大変な労力だと思う。

今回は「風」というタイトルを軸に語りが紡がれていた。そして「麦」がサブタイトルとなっていた。麦といえばビール。打上で乾杯したのは、もちろんビールであった。

「カンザスの麦畑」のように、プログラムに「麦の間を風が吹き抜ける」とキーワードが書かれている場合もあった。宮本はこれとの重複を避け、新たな側面で語りをしていた。このあたりが腕の見せ所であったことだろう。

♪升谷奈保(ピアノ)
升谷はコンサートのトップバッターを務めることが多い。今回も例外では無かった。プレッシャーもあっただろうが、ドビュッシーの「ピアノのために」より「プレリュード」に取り組んだ。

冒頭のスラーで奏する部分、中間で切れ切れに奏する部分の対比など、曲の構成を聴く人に届けるような演奏をしてくれたのが良かった。

ゲスト・粟飯原俊文の伴奏は、粟飯原雅子が受け持つのが普通なのだが都合が付かず欠場となった。そのため升谷がジョルダーノのオペラ「フェドーラ」より「愛さずにはいられぬ、この想い」の伴奏を担当した。

通常より負担が大きい状態でアラベスクコンサートに臨んだわけだが、升谷は最後まで崩れず、役割を立派に果たしていた。
IMG_0003
皆様お疲れ様でした。

「満月と能管の調べ」(中古レコードのタチバナ:横浜市青葉区)に行った。
IMG_0001
店の全景。スマホでの撮影に慣れていないのでピンボケだ。
IMG_20180430_175104
入口では赤いポストが出迎えてくれる。
IMG_20180430_212400
店内に入ると、階段脇にCDが飾られていた。なんとその中に私達の即興ユニット「トマソンズ」の初CD「Assemblage」があるではないか!
IMG_20180430_185138
ね、あるでしょ?
IMG_20180430_185147
このCDタイトルと同じ名称の白ワイン「Assemblage」を手土産に差し出した。
IMG_20180430_132814
ライブ名称の通り、その日は月齢14、ほぼ満月である。やはり写真はピンボケだが、実際は美しい月が雲の間から顔をのぞかせた。
IMG_20180430_202540
能管を奏したのは♪一完(いっかん)さん。案内には「ノー!古典」を叫ぶ孤高の奏使と紹介されていた。伝統の殻に閉じこもらず、自由な芸術を目指すという意味に解釈した。

西洋音楽に馴染んできた耳には、西洋の音列に乗らない音の組み合わせが新鮮に聴こえた。8曲演奏されたが、「蝶」と「虹の糸」の2曲だけは西洋の音階に近い響きを感じた。理由はわからなかった。

音の立ち上がりが速い「ピーッ」という音はシャープで、突出した力がある。一方、低めの音は比較的柔和で、それらが対比をなしていた。

「能管即興」もあった。他の曲と比べて、穴の押さえ方が様々で、音色等の変化を追及していたように見えた(実際のところはわからなかったが)。
IMG_20180430_175115
打上にも「乱入」して音楽談義が花開き、満月の夜は更けていくのであった・・・。

このページのトップヘ