2008年02月25日

健康長寿2005


2005年(平成17年)4月

健康と長寿

  46億年前に地球が造られ, 20万年前に私たちの直接の祖先であるホモサピエンス(人類)が誕生してから私たちは地球のすみずみまで広範囲にわたり繁栄を続けてきました.ペスト,インフルエンザなどの大流行により,一時的に人口が減ることはあっても,偶然にも豊かな水,食物,酸素などの環境が地球上に存在し,ホモサピエンスは確固たる地位を保ってきました.
 日本列島においても縄文,弥生時代から農耕を基盤として豊かな生活が保たれてきました.ところが,平成17年をピークとして日本の人口は減少しはじめます.この減少傾向は一時的なものではなく,このままの自然環境,社会情勢が続くと,人口はますます少なくなっていきます.これに対して,ひとりひとりの寿命は毎年長くなっていますので,高齢者の割合が増えてきています.若者であっても,高齢者であってもホモサピエンスの寿命である120歳まで生きたいと思っていることでしょう.
 健康という指標がWHO(世界保健機構)により提示されたのは第二次世界大戦が終了してまもない1946年です.病気にならずに健康でいつまでもいたいという願いを実現するために健康第一とだれでもが願っていました.しかし,高齢になると高血圧,癌(がん),糖尿病などの病気をかかえているひとが増えてきます.私は病気を持っていても120歳まで生きたいとの思いに対して長寿ガイド(長寿のための道案内)をご提示したいと思っています.
 厚生労働省ではフード(食物)ガイド[食生活指針]作成の検討しはじめました.アメリカ合衆国では野菜,くだものをたくさん食べて,癌を予防することにより健康長寿になろうというフードガイドがすでに存在します.
  この「サチヒロ先生の健康長寿ガイド」は健康と病気はもちろん,フード,運動などの分野にわたり,総合力で健康長寿を獲得することをめざします.適切なガイドを必要とする理由はホモサピエンスは長い期間をかけて,生殖年齢に達し,子孫を残すまでは確実に生存するさまざまな方法を進化させましたが,それ以後120歳まで生存するには適切なガイドにより,自分自身の努力が必要になるからです.

2005年(平成17年)5月

5ADAY運動

 5ADAY (ファイブ・ア・デイと読みます)運動は1991年にアメリカ合衆国で国立癌研究所の支援を受けて発表された,野菜と果物を多く摂取することにより,生活習慣病や癌のリスクを減らそうという道しるべです.野菜と果物に含まれているフィトケミカルという有効成分が生活習慣病や癌の予防に作用します.
 5ADAY運動は毎日,野菜を3サービング以上,果物を2サービング以上,合計5サービング以上摂取することにより,健康長寿をめざそうというフード(食物)ガイド[食生活指針]です.サービングは単位を表しており,握りこぶし1つ分くらいの量に相当します.日本では2002年にファイブ・ア・デイ協会が設立されました.1サービングは,野菜の1皿70g(グラム)に相当します.70gの野菜は トマト1/2個、なす1本、 きゅうり2/3個、レタス5枚, にんじん1/2本 に相当します.また1サービングは,果物では100gに相当し,みかん1個, バナナ1/2本、りんご1/2個に相当します.
この食生活指針の特徴は,非常にわかりやすいため,だれでも毎日実行できることです.たとえば野菜や果物を何グラム摂取するとか, 何カロリー摂取するとかではないのです.この食生活指針で最も重要なのは,量を5サービング以上摂取するということです.野菜であれば,生で3サービング以上摂取しようとすると,容量が増えてしまいますので,煮野菜など,熱を加えて容量を減らすと食べやすくなります.フィトケミカルは生野菜にも加熱野菜にも含まれていますので,生野菜にこだわる必要はありません.
 アメリカ合衆国では5ADAY運動の効果により,現在では日本人よりも野菜の摂取量が多くなっており,一部の癌の発生率が低下してきました.日本では癌の発生率は増加しています.アメリカ合衆国では農務省による小学生,中学,高校生に対する野菜,果物の無料配付が実施されつつあります.日本においても野菜ジュース,果物などが小・中・高校におやつとして配付されたり,また会社で,お茶に加え,野菜ジュース,果物を福利厚生として実施されるといいなと思います.

2005年(平成17年)5月27日

週刊いな 
編集長
村上邦夫様 

「お茶(煎茶)を飲むとお茶に含まれているテアニンによりセロトニンの量が減り, うまく 寝付けなくなることがありますが,牛乳を併用すると,お茶を飲んでも快適な睡眠が得られます.なおテアニンは玉露に多く含まれているうまみの成分ですが,テアニンにはリラクセーション効果があるため,玉露を飲んでも睡眠は妨げられません.」を以下のようにさせていただきたいと思います.

「お茶にはリラクセーション効果のあるテアニンが含まれています.テアニンにはセロトニンの量を減少させる作用がありますが,テアニン自身の睡眠をみちびく作用により,お茶を飲んでも睡眠が妨げられることはありません.お茶と牛乳を併用すると,快適な睡眠が得られます.なおテアニンの量は煎茶より玉露のほうが多いので,玉露を飲んでも睡眠は妨げられません.」

追伸1.お茶の説明は特にいたしませんでしたが,煎茶,玉露はお茶であることは容易にわかると思われましたので,そのようにいたしました.
追伸2.リラックスすることを一般にはリラクゼーションということが多いのですが,学問的にはリラクセーションが正しいのでリラクセーションといたしました.ただこのリラクセーションという言葉は専門用語ですので,わかりにくいかも知れません.適宜,ご校正をお願いいたします.
追伸3. 「お茶と牛乳を併用する」の表現は「お茶と牛乳を混ぜて飲む」あるいは「お茶と牛乳を同時に飲む」ことではなく,「お茶を飲んだ後に,牛乳を飲む」あるいは「牛乳を飲んだ後に,お茶を飲む」ことを意味しています.ただこの併用という言葉は専門用語ですので,わかりにくいかも知れません.適宜,ご校正をお願いいたします.
追伸4.私たちの行った脳波などを用いた研究では玉露には,明らかな睡眠導入作用がありました.以前から,煎茶,玉露にはカフェインが含まれているので,睡眠導入には適さないといわれておりましたが,最近のいくつかの研究ではそのようなことはないことが報告されています.



2005年(平成17年)6月

3ADAY運動

 3ADAY (スリー・ア・デイと読みます)運動はカルシウム摂取不足を改善するため,アメリカ合衆国で2003年に発表されたフードガイド[食生活指針]です.毎日,牛乳,ヨーグルト,チーズなどの乳製品を3品摂ることにより,生活習慣病を予防し,健康長寿になろうという道しるべです.
 日本における3ADAY運動では、牛乳・ヨーグルト・チーズを1日3回または3品摂取することにより、少ないカロリーでの食生活の改善、栄養バランスのよい食習慣を提唱しています.たとえば1日に牛乳1本(200ml),無糖ヨーグルト100g(市販の小さいカップ1杯分の量), チーズ20g(1切れ分)を摂ることにより,カルシウムは1日の必要量の3/4を摂取することができます.またたんぱく質,カリウムも1日の必要量の1/3摂取することができます.たんぱく質は肌をみずみずしくし,免疫力を高めます.カリウムは血圧を低下させます.
 1本の牛乳は138Kcal(キロカロリー),低脂肪乳は90〜100Kcalですので,毎日1本の牛乳を飲んでも,必要カロリーの7〜8%程度ですので,太る心配はありません.たくさんの牛乳を飲みたい場合には低脂肪牛乳をお勧めします.
 牛乳には快適な睡眠を導くセロトニンの原料になるトリプトファンというアミノ酸が含まれていますので,うまく寝付くことができます.またリラクセーション効果もあります.          
 お茶(煎茶)を飲むとお茶に含まれているテアニンによりセロトニンの量が減り, うまく 寝付けなくなることがありますが,牛乳を併用すると,お茶を飲んでも快適な睡眠が得られます.なおテアニンは玉露に多く含まれているうまみの成分ですが,テアニンにはリラクセーション効果があるため,玉露を飲んでも睡眠は妨げられません.
 最近は1リットルのパック入り牛乳が普及していますので,大量の牛乳を飲む子どもが増えてきましたが,毎日1リットル以上の牛乳を飲んでいると鉄欠乏性貧血になることがありますので, 1日600〜800 ml程度までにしておきましょう.それ以上の飲み物が必要なときは野菜ジュースを飲みましょう.

2005年(平成17年)7月

熱中症

  かぜ,インフルエンザ,気管支炎などにかかると熱がでますが,これを発熱といいます.発熱は発熱物質により,脳にある中枢(体温調節中枢といいます)の設定温度が上昇して起こりますが,それに対して熱中症は外部の環境から,日光,熱が加わった場合に,設定温度の上昇なしに体温(中枢温)が上昇して起こります.この状態をうつ熱(高体温)といいます.発熱のときはふるえ・悪寒(おかん),発汗がみられますが,うつ熱の場合にはふるえ・悪寒はみられません.
 野球・サッカーなどで体温が上昇(熱生成が高まる)している状態で,直射日光にあたっていると,熱中症になりやすいです.予防は戸外では帽子をかぶり,電解質の入った水分(スポーツドリンク)を補給しましょう.なお直射日光によるおこる重症の熱中症を日射病, 灼熱環境でおこる重症の熱中症を熱射病といいます.
 熱中症の早期発見は体温を耳式体温計(耳に体温計を入れ鼓膜温を1秒で測定できます)を用いることにより容易にできます.鼓膜温が38.5℃以上のときには注意しましょう.鼓膜温の測定は短時間ででき,汗をかいていても鼓膜は乾いていますので,正確に測定できます.また脱水になると熱中症になりやすいので,4~5時間に1回は尿をして,尿量を確かめましょう.体重20kgの子どもであれば,4~5時間で必ず100ミリリットル以上の尿が出ますので,それより少ない場合は脱水があります.
 熱中症の初期には,発汗,口渇,頭痛,倦怠感などがみられます.また軽度の熱中症では,こむら返り,めまい,頭痛,嘔気,疲労感などの神経症状が出現しますが,重症になると,幻覚や意識水準の低下などの意識障害が出現します.重症の熱中症では体温調節中枢自身も障害されますので,発汗,血管拡張などの調節機能も障害されます.
  治療は熱の放散を増加させることが重要です.熱中症は発熱ではなく,うつ熱ですので,治療には体温を低下させる処置が必要となります.中枢設定温度の上昇ではないため,解熱薬は無効です.衣服をゆるめ,涼しい,風通しのよい環境で,頭を低くし,額,後頭部,脇の下などを冷たいタオル,氷などで冷却します.

2005年(平成17年)8月

高血圧

 最近はデジタル自動血圧計が普及してきて,家庭で手軽に、また正確に血圧が測定できるようになりました。家庭で測定した血圧を家庭血圧といい、最高血圧が135mmHg以上、最低血圧が80mmHg以上の場合、高血圧ということになります。以前は、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上でしたが,家庭血圧の測定が広く普及してきたため,家庭血圧に基づいた高血圧の基準が設定されました。
 デジタル自動血圧計を用いて正確に測定するコツはまず取り扱い説明書をよく読む必要があります。血圧計は正しい測定方法をして出てきた結果が真の血圧を示しており、誤った方法で測定しても結果は表示されますが,その結果は誤った血圧を示しています.     
 血圧測定で、重要なのは,心臓と同じ高さにカフ(マンシェット、腕帯のこと)を巻くということです。カフの位置が心臓の高さで測定した場合と比較し、カフの位置が心臓の高さより高い場合には,測定結果は最高血圧も、最低血圧も、いずれも低い値が出ます(5cm高い位置での測定の場合には4mmHg、10 cm高い位置での測定の場合には7mmHg、それぞれ低い値を示します)。またカフの位置が心臓の高さより低い場合には,測定結果は最高血圧も、最低血圧も、いずれも高い値が出ます(5cm低い位置での測定の場合には4mmHg、10 cm低い位置での測定の場合には7mmHg、それぞれ高い値を示します)。
 心臓の高さは座位ではちょうど乳首の位置になります。カフの位置を座位で乳首の位置に正確に合わせるのは難しく、合っているかどうかは他の人に観てもらうことが必要です。しかし,この位置の調整を確認することは難しく、また必ずしも正確に評価されるとは限りませんので,臥位(寝た状態)での測定がおすすめです.臥位で腕を降ろすと必ずカフの位置は心臓の高さになります。臥位での測定はまたリラックス状態をつくりますので好都合です。
 デジタル自動血圧計を用いた測定ではカフを腕にぴったりと巻くことも重要です。デジタル自動血圧計はカフ・オシロメトリック法という振動パターンで測定し,水銀血圧計のコロトコフ音で測定する方法とは原理が異なっています.水銀血圧計のときには指が2本程度隙間に入るように緩く巻きますが、緩く巻くと高い結果が表示されます。「臥位で、ぴったり巻いて」測定すれば,常に正しい測定結果が得られます。

2005年(平成17年)9月

糖尿病

 生活習慣病には高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満症などがあります.これらは単独でおこるのではなく、共通の原因でおこるので、最近はメタボリックシンドロームあるいはメタボリック症候群と呼ばれています.メタボリックは代謝という意味で、糖質、たんぱく質、脂質などの栄養素を体内に取り入れて、体の構成成分を造り、エネルギーを生成する過程をいいます.この代謝の過程において、摂取するカロリーに対して消費するカロリーが少ないと、体内に脂肪がたまってしまいます.その結果、体重が増加し、肥満症になります.肥満症になると、血糖を下げるインスリンというホルモンの効き目が悪くなり、高血糖となります.これが糖尿病です.
 糖尿病では、早朝空腹時の血糖が126mg/dL以上となります.しかし、早朝空腹時の血糖が126mg/dL未満であっても高血圧、高脂血症、肥満症などがあるとメタボリックシンドロームをおこしやすいので、早朝空腹時の血糖は110mg/dL未満が望ましいとされています.したがって糖尿病を予防するには、まず早朝空腹時の血糖値を110mg/dL未満としておくことが必要です.このためには、肥満を防ぐことが大切です.ウェスト周囲の長さが男性では85cm以上、女性では90cm以上の場合、内蔵脂肪の蓄積のため、肥満と考えられます.通常肥満の指標にはBMI(体重Kg÷身長m÷身長m)の値が25以上で算定されますが、メタボリックシンドロームでは皮下脂肪ではなく、内蔵脂肪を指標とするため、BMIではなく、ウェスト周囲の長さを指標としています.肥満防止により、メタボリックシンドロームそのものが防止でき、結果として、糖尿病予防もできます.
 肥満予防は糖尿病予防あるいは糖尿病治療に重要ですが、肥満があっても運動することによりインスリンの働きを良くすることができます.ウォーキングなどの有酸素運動をすることにより、糖代謝が改善し、メタボリックシンドロームも改善されます.有酸素運動は10分でも20分でも毎日継続して行なうことが大切です.ウォーキングがうまくできない場合には、たとえば臥位、座位で四肢を自動的、あるいは他動的に動かしたり、プールやお風呂で筋肉を使うような運動をするとカロリーも消費され、インスリンの効き目も良くなります.
 

2005年(平成17年)10月

有酸素運動の効果

 有酸素運動は酸素を有効に利用する運動です.酸素を体内で使うため、脂肪が糖の代謝系に分解されて,脂肪が減少するため,ダイエットに良いことは良く知られています.しかし、有酸素運動の効果はそれだけではなく、免疫力を高めるという非常に重要な作用があります.この免疫力を高めると,ウイルス感染にかかりにくくなり、風邪予防に効果があります.さらに癌に対しても効果があります.癌に対する免疫力はエノキやシイタケなどのキノコを食べると増加しますが、有酸素運動は,食べものによらず、極めて有効に癌に対する免疫力を高めます.喫煙は有酸素運動の免疫力増強作用を打ち消しますので,禁煙が大切です.
 有酸素運動は右脳を活性化しますので、学校や会社で左脳を使うことが多い人には適しています.右脳を活性化する方法として音楽を聴くなどの方法は良く知られていますが,有酸素運動も右脳の活性化に効果があります.
 有酸素運動は、体を動かすことにより行ないます.どの程度の運動強度であれば最適の有酸素運動になるかについては、「少しきついと感じる程度」、「少し汗をかく程度」、「心拍数が一分間に120〜140回程度」などさまざまな指標がありますが、「運動したあと,気持ちが良い,さわやかに感じる」という運動後の評価の指標が良いように思います.この指標は単に運動強度だけではなく、運動時間も加味されているからです.運動時間は毎日,20分程度行なうことが大切です.
 有酸素運動にはさまざまな種類があります.ウォーキングの場合は、平地であれば、大きく腕を振って早足で歩くことが大切です.坂道であれば、ゆっくり歩いても運動強度は平地より高いので,効果があります.
 有酸素運動として水中運動,水泳も効果があります.これらは腰や膝に負担をかけることなく行なうことができます.胸まで水に浸かると,水圧により利尿を促すホルモンが分泌され,浮腫予防にもなります.草むしり,家庭菜園,畑仕事,田んぼ仕事など筋肉を使う運動はどれも有酸素運動です.筋肉は,自動的に動かしても(自分で動かす)、他動的に動かしても(他人に動かしてもらう)良く,これにより筋萎縮の予防,血栓の予防にもなります.

2005年(平成17年)11月

インフルエンザ

 毎年冬になるとインフルエンザが流行します.インフルエンザはインフルエンザウイルスというウイルスにより起こります.1918年に始まったスペインかぜインフルエンザ(A/H1N1)は世界で患者数は6-7億人,死亡者数は2,000-4,000万人(当時の世界の人口は18億人),日本では患者数は2,300万人であり,40万人程度が死亡した(当時の日本の人口は5,500万人)と推定されています.1957年にはA/H2N2(アジア)型が,1968年にはA/H3N2(香港)型が世界的な大流行を起こしました.1977年にはA/H1N1(ソ連)型が加わり,現在はA型であるH1N1とH3N2,およびB型が流行しています 
  1997年には,香港でトリ型のインフルエンザA/H5N1型が初めてヒトから分離され,新型インフルエンザウイルスが出現しました.このトリ型インフルエンザが人間に感染すると死亡率は極めて高くなります.かぜは接触感染、飛沫感染によりうつりますが、インフルエンザは空気感染でもうつりますので、感染力は極めて強いです.
 インフルエンザにかかると高熱、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状がでます.小児におけるインフルエンザ脳炎・脳症による死亡は毎年100人,高齢者におけるインフルエンザに伴う肺炎による死亡は毎年10,000人と推定されています.小児におけるインフルエンザ脳炎・脳症は,痙攣,意識障害などの神経症状を示し,致命率は20%と推定されています.
 最近、インフルエンザの迅速診断が行われるようになり、インフルエンザウイルスに効果のある抗ウイルス薬が使用可能となっています.抗ウイルス薬は発症早期に使用すると効果があります.
 ウイルスに対する免疫力が正常の場合にはインフルエンザが重症化することはありませんが、高齢になり免疫力が低下してくると、重症化することがありますので、インフルエンザにかからないよう予防することが大切になります.
 インフルエンザの予防で最も効果のあるものはインフルエンザワクチンの接種です.
高齢者が多数集まっている老健施設などの入居者、職員や慢性閉塞性肺疾患(COPD)で治療を受けている場合はインフルエンザ予防接種を受けておきましょう.インフルエンザ予防接種を受けておくと、もし罹患しても重症とならないですみます.

2005年(平成17年)12月

脳梗塞

 脳梗塞(こうそく),脳出血,くも膜下出血の3つを合わせて脳血管障害と言います.以前は脳卒中(そっちゅう)と言っていました.脳梗塞は脳血管障害のなかでは最も多く見られます(脳梗塞75%、脳出血15~20%、くも膜下出血5~10%)。
 脳梗塞は脳血管が動脈硬化のために詰まり(血栓けっせん)、また心臓などから脳血管を詰まらせるものが血流にのってきて詰まる(塞栓そくせん)ために起こります.脳血栓ではこれらが原因となる血流障害のために,脳組織が死んでしまいます(壊死えし).
 脳梗塞の前駆症状として脳虚血発作をくり返すことが多いです。発症は緩徐であり、前駆症状には舌のもつれ、体のしびれ、脱力感などがあります。その後、めまい、顔面神経麻痺、四肢の片麻痺(へんまひ)が起こることがあります.これらの症状は起こってもしばらくすると消えるので心配ないと思ってしまいますが,これは一過性脳虚血(きょけつ)発作といい、脳梗塞の重大な前触れですので,注意する必要があります.一過性脳虚血発作の持続時間は数分以内のことが多いです.これは血栓・塞栓が小さいために自然に血栓が溶けて,症状がすぐに消えてしまいます.しかし,一過性脳虚血発作が起こると10%は1年以内に,30%は5年以内に脳梗塞が起きますので見逃してはいけません.
 脳梗塞の治療は早期治療を行なって、壊死になりかけている細胞を壊死させないことが後遺症を防ぐ上で重要です。細胞が完全に壊死している脳梗塞の部位の周辺には、虚血の程度が軽く,機能は停止しているが、回復の可能性がある部分があります.発症後なるべく早く専門の病院で治療を受けましょう.
 脳梗塞は高血圧、糖尿病が原因となることがあります.またこれらの生活習慣病を引き起こす喫煙、肥満、高脂血症、ストレスなども危険因子ですので、このような危険因子をなくすような生活習慣を心がけましょう。また脱水が起こると血液が固まりやすくなって脳梗塞が起こりやすくなります.忘年会や新年会などで,ビール・発泡酒・第3のビールを飲む機会が増えますが,これらには利尿作用があり,脱水を起こしやすいので,アルコール以外の水分補給が大切です.
 血栓予防のため、抗凝固薬(こうぎょうこやく)であるワーファリンを服用している場合には、ワーファリンの効果を減弱するビタミンKが大量に入った納豆やクロレラ食品を摂取しないようにすることが大切です。


sachihiroyamada at 15:27│Comments(0)TrackBack(1)clip!

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. スーパーマックスターボ  [ Shop Final☆Diet シェイプアップ館 ]   2008年04月09日 01:26
<p><a href="https://www.moshimo.com/article/69088/59506" target="_blank"><img src="https://www.moshimo.com/item_image/0032200000039/1/r.jpg" width=" 90" height="90" alt="スーパーマックスターボ" style="border:0"></a></p><p>お腹・ふともも・ヒップ・腰や背中...

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
訪問者数