鶴岡
丸岡城跡の隣に建つ天澤寺。
清正閣。
加藤忠廣公と正應院は清正公の御遺骨を密かに捧持し、丸岡城居館奥庭の太夫石のもとにおさめ、丸岡大火の翌年に天澤寺墓地に安置した。
はじめは土饅頭の上に石碑が載っていただけであったが、天保年間に祠を建てた。
この墓碑は熊本特産の島崎石であり、熊本から運んだものである。
昭和24年、清正公遺骨探索調査では、一番目にこの閣の下が発掘され、その結果地下2メートルの地点から清正公着用と推定される鎧が出土し、天澤寺に保存されている。
忠廣公家士の墓。
加藤清正公墓碑。(山形県指定史跡)
昭和24年の発掘調査で、五輪塔地下から肥前弓野窯焼きの壷が出土し、五輪塔地輪の「天保4年12月3日清地院居士敬白」の刻字も判明した。
そして天澤寺から移動して鶴岡市三光町の本住寺へ。
ここには忠廣公と正應院が埋葬されている。
清正公夫人・正應院の墓碑。
忠廣公の墓碑。
秀吉の旗本として二度にわたる朝鮮外征を含め数々の武功をあげた加藤清正公。
関ヶ原合戦では豊臣家存続の一念から東軍の徳川家康に与し、その戦功から肥後54万石の領主となった。
その後も、徳川と豊臣の融和を第一に考える清正公は、慶長16年(1611)二条城で行われた秀頼と家康の会見の後見をつとめ、秀頼の付人としての大任を果たしたが、熊本に帰る船中で発病、6月24日に亡くなった。享年50歳。
清正公没後、家督を継いだのは嫡子・忠廣公。
忠廣公32歳の寛永9年(1632)、幕府より21カ条の審問状が突き付けられ加藤家改易の断が下された。
領地を没収された忠廣公は一万石をもって出羽庄内酒井家にお預けとなった。
忠廣公は母堂正應院、家士、郎党、女中など100余名とともに庄内丸岡の地へ移り、丸岡城跡に居館を構え、22年間を過ごした。
承応2年(1653)、忠廣公は丸岡館で病没。享年53歳。
遺構/石敷道路
遺構/水路
遺構/御書院
遺構/御居間
太夫石と巫子石。
肥後熊本から持参した清正公の御尊骨を仮埋葬し、母堂正應院の亡骸を埋葬した聖地と伝えられている。
お庭の泉水跡と樹齢350年余りのみちのくしろやなぎ。
国指定史跡、庄内藩校・致道館。
致道館を創立したのは庄内藩9代藩主・酒井忠徳で、士道が乱れ華美を好み横暴をきわめる弊風を刷新するのは教育にありと文化2年(1805)に創設したのがはじまりである。
その後、政教一致の趣旨から文化13年(1816)に10代藩主・忠器によって鶴ヶ岡城三の丸内に位置する現在地に移された。
なお致道館の名称は、論語の一節、「君子学ンデ以テソノ道ヲ致ス」に由来する。
表御門。(藩主の御成りの門)
廟門・聖廟。
講堂。
諸藩が幕府の方針に従い朱子学を藩学とする中、庄内藩は荻生徂徠(おぎゅうそらい)の提唱する徂徠学を教学とした。
致道館教育の特色は「天性重視・個性伸長」と「自主学習」、「会業の重視」にある。生徒一人ひとりの生まれつきの個性に応じてその才能を伸ばすことを基本にしながら、知識を詰め込むことではなく、自ら考え学ぶ意識を高めること重んじたのは徂徠学の思想に基づくものである。
御入間。(藩主臨校の御居間があり、藩主聴講の場でもあったところ)
10代藩主・忠器公書 漢詩「竹林寺に題す 朱放」より
歳月 人間に促し
烟霞 此の地に多し
慇懃 竹林寺
更に幾回か過るを得ん
俗世の生活は歳月にせき立てられ、うつろい行くものだが、この地はそのきずなを超越して霞もかなたに立ちこめる。
私の深い心をこめて竹林寺を見まわす。
あと幾度この寺を訪れる機会があるのだろうか。
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