転載元:朝日新聞デジタル

【名人への道 藤井聡太】より
挑戦編:4 将棋一本か進学か、心は揺れた
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写真:名古屋で行われた名人戦の検討室に姿を見せた藤井聡太七段(右)と
杉本昌隆現八段。藤井は高校の授業の後に駆けつけた=2018年5月
 「棋士に学歴は必要ない」

 杉本昌隆八段(50)は、棋士養成機関「奨励会」に通っていた中学生の頃、師匠の板谷進九段(故人)にそう告げられた。

 かつて将棋界は、「高校や大学には行かなくて良い」という風潮があった。杉本は板谷の教えに従い、高校に進学しなかった。「『お前は棋士になれる』という期待を感じたので、不安はそれほどなかった」。名古屋市内の板谷の将棋道場で働きながら、修業の日々を送った。
 今は後進を育てる立場になった。弟子たちには「しっかり勉強して、高校には行くように」と言い聞かせている。「自分が選んだ道に後悔はないが、高校に行けば視野が広がるし、規律のある生活もできる」

 小学4年で入門した藤井聡太七段(16)にも、進学については同じことを伝えた。だが、藤井は杉本の期待を上回る速さで力を伸ばし、中学2年で一人前の棋士になった。

 もっと強くなりたい。高校には行った方がいいのだろうか――。2017年、中学3年の藤井の心は揺れた。中高一貫校だったため、受験勉強の必要はなかったが、対局と学業を、どう両立させるかが問題だった。

 杉本は、あえて意見は言わなかった。「自分で判断して欲しい」と考えたからだ。ただ、「高校に行かないと、仕事の依頼が増えるデメリットがある」とは説明した。

 10月25日、藤井は日本将棋連盟を通じて、名古屋大学教育学部付属高校に進学する意向を発表した。注目が集まったゆえの、異例の発表だった。

 今年4月から、藤井は高校2年になる。
昨秋、高校に通う意義について、こう語っている。

 「ずっと将棋のことを考えていても精神的に行き詰まってしまう。学校に行くことで、バランスが保たれるのかな」

(以上転載はここまで)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13927005.html?rm=150