2012年07月

2012年07月31日

無鄰庵庭園は五感に感応して人の心を癒してくれる

京都・無鄰庵は「植治」と呼ばれた七代目小川治平衛が、明治の政治家の山縣有朋の抱いた構想をもとに1894年に形にした庭園です。今では、平安神宮神苑とともに一般公開(有料)されており四季を通じて参観することができます。私見ですが、この二庭園は夏に体験することが特によいと思います。
江戸期以前の庭園の伝統、たとえば枯山水、侘びさび、須弥山や鶴島も亀島も登場しない庭園です。自然の美しさを、自然以上に美しく洗練させて再現しているようであります。
東山の麓から流れ出したかのように思わせる水の流れが、初めは三段の滝から始まり、その流れが大きなせせらぎとなり、そしてまた細い流れとなったりして庭園内を縦断しています。その間、滝の音、せせらぎの音、堰を落ちる水の音、きらきらと反射するさざなみの光、水の冷気、木々の緑と葉っぱが風に揺れる音、木々が発する酸素や匂いと冷気、鳥や虫の気配、すとんと抜けた空の美しさ、・・・・それらを人間の五感を総動員して感じることが、この庭を体験する醍醐味であります。力みも気負いもない空間だけど上質で飽きないこの自然の景観は、日常の雑事も瞬間忘れさせて、心に安らぎを与え、リフレッシュしてくれます。
最後は主屋でお菓子とお茶をいただき、五感の最後の味覚を満足させてフィニッシュです。  才本 清継

向こうに見える東山連峰から流れが出ているという想定、疎水を利用している
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三段の滝から始まり小さなせせらぎになる
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主屋と見事な青もみじ
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最後はお茶をいただき味覚を満足してフィニッシュ
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2012年07月21日

京町屋の座敷から街路の様子がよく見える

京都の町屋はうなぎの寝床で、表(道路側)から奥に順に店、小坪庭、座敷、大坪庭、蔵と続きます。
そのなかで、座敷は位置的にも、また室の格としてもこの家の中心のわけで、この家の主が腰を据える場所で、親しい客を招いたりもする場所でありましょう。
この座敷からは街路側の小坪庭の向こうにある店や、さらにその向こうにある街路の様子が意外とはっきりと窺えることを知りました。また大坪庭を通してその奥の蔵周辺もはっきり見ることができます。つまり、この座敷からはほとんど家中に様子がうかがい知れるということになります。
もう一つ、家中の様子がうかがい知れる割には、座敷自体は大変落ち着いた場所で、採光も取れ、風も流れ居心地のよいスペースであります。
うなぎの寝床の敷地で、この座敷のように良いスペースができたのは前後にある大小の坪庭があることによります。この坪庭は狭い敷地で快適な生活をするためあみ出した日本人の知恵であります。
逆に街路からこの町屋の中を見たときには意外と座敷まで目が届きにくくなっています。下の写真は先日(7月16日)の祇園祭宵山の日に街路から見た店ですが、右端が坪庭ですが、その向こうにある座敷には視線がとおりにくくなっています。  才本

無名舎外観
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座敷から店と街路を見る、街路が意外とよく見える
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同上
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街路から店や坪庭を見る、2012年7月16日祇園祭宵山のハレの室礼
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