2010年03月17日

東福寺――渓谷を生かした配置計画

東福寺は方丈の背後にある三ノ橋川の渓谷の景勝を取り込んだ壮大な配置計画がなされています。他の禅宗寺院、たとえば天龍寺も景勝地が選ばれていますが、東福寺でもこの渓谷の美しさゆえにこの敷地が選択されたことでしょう。
渓谷を挟んで、その南には三門・本堂(仏殿)・禅堂、そして方丈などのフォーマルな主要伽藍が並び、渓谷の背後(北側)には開山堂・普門院、また竜吟庵などがあり住宅的な落ち着いた雰囲気となっています。渓谷を挟んで南北に異なった二つの世界をつくろうと意図したことが考えられます。
もう一つの意図は、この渓谷の最も美しいポイントを見る場をつくるということでしょう。この渓谷には三つの橋(これを三名橋という)が架かっています。中央の橋は通天橋(つうてんきょう)で、敷地の中心軸を形成し、<主要伽藍〜方丈>と<普門院〜開山堂>を結ぶます。この橋からの渓谷の眺めは紅葉の名所としても有名ですが、新緑の景色もすばらしい。この橋には渓谷を眺める眺望スペースが附属し、渓谷の景色を手中に収めるスポットとなっています(写真上左、上中(向こうに見える屋根は偃月橋の屋根))。その他この東にある偃月橋(えんげつきょう)は竜吟庵専用の橋ですが、1603年につくら重文に指定されています(写真上右)。通天橋の西にある橋は臥雲橋(がうんきょう)といい諸塔頭へとつながります。その眺めを写真でご覧下さい。 才本



東福寺通天橋東福寺通天橋からがうん橋を見る東福寺がうん橋








東福寺配置図

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