■ちはやふる 167話 ネタバレです。
伊勢先生
「こんにちは、今年も運営ご苦労様。村尾くん。」
村尾
「あ、伊勢先生」
伊勢先生
「今年も子供たちはがんばってるか思うてな、どうやA級は。(どうや、詩暢ちゃんは)」
若宮
(?なんでうちがそんなこと思うんや。新の勝ちも負けもうちには関係あらへんのに。ただ、確かめてはみたい。あんたが新より強いなんてことがあるのか___)
若宮は目の前の千早を見る。千早はそんなことお構いなしに柔軟体操中。
千早
「し、失礼しました。(からだ、よく動く。どこにも不安はない)」
千早は原田先生の言葉を思い出す。
原田先生
「いいなあ千早ちゃん。腰が痛いとか、膝が痛いとかないだろう。目が見えにくいとかも。それがあたりまえだと思ってるだろう。いつかわかるよ」
千早
(先生、私。わかってるつもりです。)
千早は若宮の前に向かい合って座る。
(からだがこわばってコテンパンだった16歳の対戦、指をケガしてどうにもならなかった17歳での対戦。詩暢ちゃんはいつも変わらず強くいてくれた。)
運営員
「札を並べてください」
千早
(うっ…また「ちは」ない感じ?)
(どんな札が並んでも詩暢ちゃんはきっと変わらず強い。18歳、私今日こそ恥ずかしくない試合をする。)
読手が席につく。
理音
(!!専任読手の五十嵐さん。五十嵐さんが読むの?)
桜沢先生
(豪華ね、専任読手に読んでもらえる機会はそうそうない。理音、落ち着いて取りなさい)
五十嵐
「なにわづにーーーさくやこのはなふゆごもりーーーいまをはるべと さくやこのはなーーーーいまをはるべと さくやこのはなーーーー」
理音
(さすがの強い音の波っ)
五十嵐
「たまのおよーーー」
千早
(空札っ)
千早は払いに行った手を空中で空振りさせる。
伊勢先生
(……!あの子いい動きだな)
(迷いがない動き、よく練習してきてある。しかも速い)
若宮
「…………(動き出しが速くてもべつに?って感じや)」
伊勢先生
(詩暢ちゃんは決まり字まで聴いてからの取りが特徴)
若宮
(決まり字ジャストであの手の下を抜いたらええ………)
五十嵐
「おくやまに」
若宮と千早の取りはほぼ同時。
伊勢先生
(おっ)
村尾
(おっ!?どっちだ!?)
千早
「ど、どーぞ。(あっ、また。先生にも肉まんくんにも怒られるー。だってたぶんセイムだったからー)」
譲られた若宮は黙って札をとりに立つ。
伊勢先生
(変わらんな…きわどい取りのとき譲りそうになる詩暢ちゃんの癖。強すぎて基本的に取りすぎるからその反動かもしれんけど)
幼い若宮は試合中の部屋に入り、グイグイと無理矢理に人を押しのけ札の前に座る。
女性
「えっ、なに?なにこの子。試合中…」
若宮
「やらせて、うちにもやらせて。」
女性
「あんたルール知ってんの?」
若宮
「知ってる」
「うちにもやらせて」
伊勢先生
(ものすごい早さで飲み込んでいった。)
伊勢先生は自分が教えたことを思い出す。
『全体を取るための暗記じゃ強ぉならん、札を想ってこだわりを持つんや』
『暗記ではペアにする札や友達同士、夫婦や三角関係とかな。物語を入れていくんや』
伊勢先生
(深すぎる没入。でも優しくて、友達とかるたを取るとわざと負けてしまう。明星会にも来んくなった。力になってやれんかった。たった一人きりの練習であそこまで強く)
五十嵐
「いまはただーーー」
これは若宮が鋭く払う。
観客
(おおっ)
(さすが速い!)
五十嵐
「ひとづてならで いうよしもがなーー」
村尾
(おおっ?さっきからいい勝負じゃないか)
桜沢先生
(クイーンが”いい勝負”させるなんてそうそうないのに)
伊勢先生
(詩暢ちゃんの練習スタイルは一人取り……一人では閃光のように速く取る)
(でも、ほんのすこしでも「いる」と思うと、一人のときのペースでは取れなくなる)
千早が次の札も連取。
観客
(あの子、そうだ、綿谷新を昨日負かした子だ)
(クイーン相手にもこの押し、すげえ)
若宮
(新に勝ったのもまぐれとも言い切れん……?冗談やない)
五十嵐
「おお」
伊勢先生
(いつもは決まり字まで手元で聴く詩暢ちゃんが「おおえ」を囲って「おおこ」を抜いた。「おおえ」を攻めにいった綾瀬さんの動きを止めた)
若宮
(子供のころから何度当たっても新には一度も勝てたことがない)
新は若宮が払った札を「はい」と渡すが、若宮はそれを荒々しく新の手から奪い取る。
若宮
(うちが勝たんうちに、どうでもいい子に負けるやなんて許さへん。うちの唯一の友達がどうでもいい子に)
考え事をしている間に次の札が準備される。
五十嵐
「うか」
『か』が音になるかならないかのタイミングで千早の手がすばやく札を払う。
千早
(いま、いま、いま、聞け)
同時に札を取りに行くタイミングで千早と理音の目が合う。
桜沢先生
(理音と綾瀬さん、さっきからものすごくよく聴けてる。「うら」もまだ出てないのに1字のタイミングで…相性…?)
理音・千早
(聴く、聴く、聴く、聴く、聴く、聴く。ずっと一番聴いて来たのは五十嵐さんの読み。)
千早のスマホ、理音のCDの専任読手は五十嵐七段の読み。
伊勢先生
(詩暢ちゃん、人のかるたを受け入れろ。人の強さを。自分のかるたしか取れなければ、クイーンの寿命は短いぞ。)
■ちはやふる 最新168話 ネタバレにつづく…





















































